0004 EDMDJ、トラックメーカー???(2015.04.25.

若く見られることは多いが、自分は55歳である。正真正銘ジジイである。平均寿命が延びて、まだまだ先は長いと言われるが、四捨五入すれば60歳、アラ還に突入している年齢である。小学校4年生、10歳のころから音楽を聴き始めているので、キャリアだけは長い。40年以上も同じ趣味を続けているので、筋金入りであることは確かだ。その自分が、最近は中古レコード店で分からない言葉に出くわすことが増え、困ってしまうのである。これもやはり年齢のせいなのだろうか。

 

昔の中古レコード店など、ロック、ソウル、ジャズ、ブルース、日本人…といったざっくりとした分類で、英米の分け隔てなくABC順に並んでいたので、案外探し易かった。それがいつの頃からか細分化が始まり、オルタナティヴという言葉が出てきてからというもの、もうわけの分からないジャンルらしきものが増えて諦めの境地に至っている。そもそもDJという言葉も、昔はラジオのDJ、今で言うパーソナリティという意味で使っていたではないか。ターンテーブルを並べてレコードを擦っているあの人たちを指すようになったのはいつ頃からだろう。

 

最近、「何コレ?」と店員に訊いてしまったのが、「EDM」という言葉である。「エレクトリック・ダンス・ミュージックっていうヤツですね、細かく言うともっといろいろあるみたいですけど…」と面倒くさそうに言われたので、「一般的なの?」と訊きかえすと「まあ…」と言葉を濁された。どれほどのものかわからないままグーグルで検索すると、確かにいろいろな情報が出てくる。アヴィーチーとかハードウェルとか少しは知った名前も出てくるが、とにかく、DJさんたちがやっている音楽の総称のようで、自分たちで演奏しないものを一括りにしたような言葉らしい。

 

そこで、オヤジは固まってしまう。音楽のジャンルやスタイルのはなしではなく、プレイスタイルの分類が混在しているというわけだ。トラックメーカーと言われる、演奏はしないが、DTMで作った自作曲を発表している連中も含まれているようだ。有名なDJは皆トラックメーカーだという。中にはDJプレイをしながら歌う人もいるので、さらに細分化できそうだ。トラックメーカーは自分で曲をつくる人たち、DJは他人の曲をつなげたり重ねたりして聞かせる人たち、と分類できればいいが、どうもそうスッキリしていないようだ。DJ〜と名乗っている人たちには大抵自作曲がある。オヤジにはもうこの辺が限界だ。音楽スタイルでいくと、ダンス・ミュージックばかりでなく、カントリーに近いような曲を作っているトラックメーカーもいたりする。完全にお手上げである。単純にロックやジャズで分類できる時代が懐かしい…。

 

しかし、あくまでも浅く広く聴いてきた人間だけに、アタマごなしに否定する気は毛頭ない。聞いていると案外アッパーでポジティヴになれる曲も多かったりする。レイヴなどというDJイベントも、こういう曲をいっぱい聞かせられると気分がいいだろうなと思うわけで、ある意味、羨ましくもある。自分の場合、ダブステップ、ポスト・ダブステップあたりで、もう限界を感じて新規開拓は諦めたので、開き直って古い音源を懐メロ的に聴いている。ジェイムス・ブレイクやブリアルあたりに引導を渡されたようなものである。

 

お店にくる若い人たちも、結局のところ、ネタを探しているということもあるのか、古い音楽を否定するわけではない。「元ネタ」の世界として、古い音源はそれなりに価値があるようで、まあ捨てたものではない。最も食指が動かないのが、古いミュージシャンの新しい盤なのかもしれない。古いライヴ音源などは有り難く聴いているわけで、古いミュージシャンの活動ペースが落ちるのは、年齢のせいばかりではないような気もしてきた。

 

何はともあれ、ポール・マッカートニーがまたコンサート・ツアーのためにやってきた。おまけに日本武道館のステージに立つという。伝説のザ・ビートルズ日本武道館公演は、1966年の6月末から7月アタマにかけてであり、自分にとっても歴史の中の出来事だ。49年ぶりという数字はさすがに凄い。自分が初めて行ったライヴは1975年のエリック・クラプトンだから、それよりも昔の来日公演は全て伝説のライヴであるが、さすがに6歳では記憶にすらない。

 

元気なオヤジ達は大勢いる。ポール・マッカートニーを筆頭に、ローリング・ストーンズ、エリック・クラプトン、ボブ・ディランあたりは現役であることだけでも絶賛に値する。自分が70歳で何ができるかと考えると、やはり信じられない元気さである。チケット代は少々高過ぎるような気もするが、次があるという保証はない。観たい方は観ておかないと後で後悔することだろう。如何せん元気いっぱいだし、演奏も声も、クオリティは全く落ちていない。前回2014年は中止になったが、その前年の公演は観に行った。あの時は驚異の元気さに呆れたものだ。しかも水も飲まずに歌い続けている様子は、異様にすら思えた。

 

自分にはできないと嘆いても仕方ない。せいぜい元気を分けてもらえればいいと思っている。音楽に励まされ、ここまで生きてきたようなものだ。自分の好きなものを見極めればよいではないか。今の時代、若い方は少々気の毒な気もする。あまりに細分化された中から好きなものを探し出すのはご苦労さんという気もする。しかし、どんなスタイルであれ、ジャンルであれ、耳にして心に響くものを探していけばいいだけだ。我々も好きなものを聴き続ければいいというだけのはなしである。



 

   

         
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