0009 古いロックで行こう(2015.05.30.

清澄白河でカフェを開業し、早4か月。この間いろいろなことがあった。いろいろな方とお知り合いになれたことは、自分の人生にとって大きな収穫だったとも言えるだろう。もちろん趣味が合う方とは直ぐに親しくなってしまうのは、ご理解いただけるだろう。音楽好きという面だけではなく、古いもの好き、美味しいもの好き、ワイン好き、カフェ好き、まったり好き、地域おこし好き、情報発信好き、…結局自分のこういった性分を再認識させられた4か月でもあった。一方飲食業界でやっていくことの難しさ、人を使うことのむつかしさ、経営者としての才覚のなさ、…いろいろなことも思い知らされた4か月であった。

 

飲食店は3ヶ月から半年くらいでかなりの数が淘汰されると言われているが、御多分に漏れず、自分にも経営危機がやってきた。ここで踏ん張るか、あっさり諦めるか、大きな選択を迫られたわけだが、まだ諦める気にはならない。もうしばらくは頑張ってみるかと思い、取りあえず一旦閉めることにした。何はともあれ4か月働き続け、疲労も蓄積したのか、体調が頗る悪くなってしまったのである。4か月で13kg痩せてしまった。また、今のままズルズル赤字を垂れ流していることも危険だし、現体制では全然楽しめなくなってしまったという理由もある。けじめとして一旦閉め、リニューアル・オープンに向けて充電期間に入ったところである。

 

取りあえず、メニューやオペレーションを見直さなければならない。ランチはご好評をいただいているので、「もっと早く、もっと美味しく」を目指して改革を実施する予定である。また「自分でやるならガレット」という思いもあったので、ティータイム以降はガレット屋さんに切り替えることにする。さらにディナータイムはディナーセットも用意して、昼とは全く違うメニューにする。せっかくランチが人気であれば平日営業に切り替え、土日祝日はお休みさせていただくことにする。ただしコーヒーのまちとして人気の清澄白河というロケーションだ、店舗は稼働させないともったいないので、土日祝日のみ営業の、全く別形態のカフェ運営を他の人に任せることにする予定である。

 

さてコンセプトの見直しだ。運営方針が二転三転してしまったこともあり、軸がないような店舗になってしまった。自分でやるつもりがなく、丸投げ委託するところからスタートしたのに、立上げ当初だけ手伝うつもりがズルズル4か月きてしまったこともあり、結局自分がやらざるを得なくなってしまった。それであれば話は簡単、アナログ・レコードがいっぱいあって、ちょっと昔懐かしいスタイルだが同時に現代風という、ウェブを活用しまくっているのにアナログ・サウンドに拘っている自分そのものの性格を前面に出してしまえばいいだけだ。

 

思うに、昨今、スタバであれ、コンビニであれ、どこに行ってもオシャレ感の演出にジャズが使われている。また、アナログといえばジャズみたいな風潮もどこかしらある。どうも気に入らない。天邪鬼な性格は変えようもない、ジャズは申し訳程度に100枚ちょっと置いてあるが、このスタイルは維持して、古いロック中心で行こうと思う。これまでは、昼ロック、夜ジャズという使い分けも意識していたが、結局夜もロックをリクエストされることが多く、結果的にほとんどロックになっていた。それならそれでいいではないか。70年代、80年代のロックやポップスを聴いて育ったことはまぎれもない事実であり、自分の得意分野で戦うのが最も有利と考えるのは至極当然のことだろう。キャロル・キング、エルトン・ジョン、エリック・クラプトン、ジェネシス、フリートウッド・マック…、カフェとの親和性ということも考えなくもないが、好きな音楽を聴きながら働ける環境はやはり最高ではなかろうか。

 

さらに、ソーシャル・デザインというほどでもないが、地元のお役に立つというコンセプトも、結局何もできないでいるようなものだ。区役所に勤めていたときにはできなかったことが、個人だからこそできるというものはいくらでもある。税金から賄われる役所の予算の使い方は原則団体支援で、個人を支援することが難しいのである。そういった部分を補えればいいのだが。地元のアーティストさんに発表の場を提供するなどということは、最もイメージし易いだろう。ワークショップなどにも活用していただければ、これまで感じられなかったメリットがお互いにありそうだ。いろいろ可能性はあることだろう。

 

「たった一回の人生だから、思い切り行こう」というスタンスでこれまで生きてきた。この辺はどうにも変えられない性分らしい。20歳ごろにも体調が悪く、大学受験にもかなり影響してしまったことが、こういう考え方に繋がっているのだろう。とにかく自分に残された限りある時間は大事に使いたいという思いが強くある。好きなことは徹底してやりたいし、他人様のお役に立てるのであればなお結構だ。さあ、リセットして、態勢を立て直し、次のステップに進もうではないか。長い人生だ、たまには立ち止まって、次に備えることも必要なのではなかろうか。

 

 



         
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