0010 2015年における7インチ・シングルの価値(2015.06.06.

体調不良もあって2週間ほどお休みを頂いている間、何もしないでカラダを休めたいという気もしないではないが、できるわけがない。そもそもじっとしていることが苦手な人間だし、年齢のせいか、長い時間寝ていることもできなくなってしまった。朝が早いというだけでなく、長時間眠れないのである。多めに睡眠をとるにしても、小刻みにとるしかない。そうしてでもとった睡眠のおかげか、体調は回復傾向にあるが、気分がなかなか上向かなくて苦労した。そんなときは好きなことにでも没頭するのがイチバンなのはわかっているが、音楽を聴くにしても、どうも要らぬ心配ばかりが浮かんできていけない。喫緊の課題である店舗のレコードの値札つけもそそられるが、その前にまずは整理をしないといけない。結局レコードの整理がイチバン楽しく、没頭できることなのか…。

 

自分はコレクターではないという自負はある。浅く広く少しでも多く聴くという性向が、コレクター的でないと思うからである。特定のミュージシャンなどを掘り下げるときにはコレクター的な部分も頭をもたげるが、浅く広くということに徹するということは、全てにおいて中途半端にならざるを得ないのである。ラジオが大好きで、子供の頃からヒット・チャートものを夢中になって聴いていたからか、特定のミュージシャンをディグするよりは、いろいろ聴いてみたいという方向に行ってしまったのである。

 

それでも、レコードに関しては、圧倒的にLP派だった。ジャケットの魅力に早くから開眼し、とにかくLPを買うことに集中していた。シングル盤を買うのは子供、というヘンな見栄もあった。シングル盤は、よほどのことがない限り、手を出さなかったのである。それがLPからCDに切り替わる頃、安く売られていたこともあって、好きな曲の7インチ・シングルは、ある程度そろえることができたのである。LPが高いもので600円程度、200円から400円でだいたいのものが買えた時代である。シングル盤は50円か100円だった。それでもLPが200円だとすると割高にすら感じていたものだ。

 

ここにきて、自分の周辺では昭和歌謡がブームのようだ。カフェに置いてあるレコード盤も欲しいというお客様には譲ることもある。元々「欲しいレコードがあれば、一緒に探しますよ」というスタンスの活動を続けてきたので、その提供の仕方がちょっと変わっただけでもある。カフェでこれまで売れたのは全て日本人のものである。LPはほとんど洋楽しかないので、邦楽に関しては7インチ・シングル専門である。そんなに数多くあるわけではないが、グループ・サウンズや加山雄三の時代から、1980年代終盤まで幅広い年代のものを浅く広く取り揃えてある。従って誰もが、何かしらに引っかかるといった有り様で、妙に人気のある箱なのである。サザンオールスターズやクワタバンドは好きだったので、それなりに揃っているし、YMOなどもそれなりにある。洋楽好きが見ても、案外騒げるのである。

 

実はアイドルものも、見えるところには置いてないが、それなりにある。非常に状態がよくてしかもリーズナブルなお値段でないと買わないが、誰かしら欲しがるかもといういい加減な考えで、そこそこの枚数がしまってあるのである。松田聖子や中森明菜といった偉大なるアイドルのものは、タマ数も多いし、状態のいいものが多い。一方でピンクレディーは子供向けの売り方をしたせいか状態の悪いものばかりだ。自分が欲しいわけではないので、ついつい観察眼で見てしまうだけだが、如実な傾向として見てとれる。子供向けの売り方をしたものは仕方ないのだ。日本で売上げ枚数が最も多いシングル盤「およげたいやきくん」は、1975年の「ひらけ!ポンキッキ」のオリジナル・ナンバーだが、現在中古レコード店で流通しているほぼ全てのものが、付属していた塗り絵がないか、塗られてしまっている状態である。完品が皆無なのは致し方ないのである。…そういえば、レッド・ツェッペリンの「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」はどうなんだろう。

 

千枚には届かないが、カフェの店内に置いてある7インチ盤は数百枚にのぼる。さほど思い入れのないものは「300円でいいですよ」などといったやり取りの後、欲しいという方はお買い上げいただくこともあるが、やはり値札をつけなければと考えていた。定価で購入したものもいくつかあるが、ほとんどは50円、100円、せいぜいで300円といった価格で購入してきたものだ。ビートルズに関しては、ウェブ上でも当該盤の価格帯が知れるが、他はアマゾンのマーケットプレイスで売られている価格などしか頼れるものがない。結局は自分の思い入れの強弱で適当な値を付けることになる。

 

会計処理などの直ぐに飽きてしまうような仕事の合い間を利用して、少しずつ7インチ・シングルに値札を付けている。500円、700円、1000円、1500円、2000円、3000円といったラフな値付けである。3000円はビートルズやジャニス・ジョプリンなどのボックスセットだ。価格の正当性や理由などまず無い。おおよそ気分である。つまり値段が高いものは、売りたくないという意思表示なのである。また値段の付けようもない代物や思い入れの強いものは、「非売品」のシールを貼っている。…何と非売品の多いことか。実は40年近く前に兄貴が購入したものに関しては、一応義理立てて「非売品」にしたのである。

 

そんなわけで、レコードラックの整理や値札付けに夢中になっている間は、体調が気になることはまず無い。リニューアル・オープンに向けて、準備は着々と進捗しているが、この手の作業がないとモチベーションまで失ってしまいそうだ。音楽好きが夜な夜な集うカフェを、早く再開したいものである。それには、まずしっかり寝てカラダを休めなくてはいけない。さあ頑張って…寝よう。

 

 



         
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