0023 メディアの現在(2)(2015.09.05.

今月から土曜日の営業も再開した。先週、先々週とイベント的に土曜日に開けてみて、さほど混み過ぎず、少人数でも何とかなりそうだということで、夕方まで営業することにしたのである。激混みというのにスタッフが少ないとなると、お客様に迷惑をかけてしまうから、躊躇していたのである。そうした告知も、最近ではSNSである。フェイスブックを使わずに店舗経営は成り立たない時代となったようだ。お客様と繋がることがどれだけ営業を後押しするか、数字的に説明できるものではないが、イベントの告知などに「いいね!」してもらえるだけでも安心できるものである。

 

それでも、フェイスブックなどのSNSが好きか嫌いかと問われれば、嫌いと即答してしまう自分がいることも事実で、どうも過激な意見ばかりが飛び交うようなSNSの世界は自分の居場所ではない気がしてしまう。安保関連法案の反対デモが凄いことになっているが、あれもSNSから火がついて燃え広がったような気がする。個人的には戦争なんて反対に決まっているし、殺し合いは当然犯罪行為だから法的担保なんてありえないと考えている。今「戦争反対」と叫ぶのは、ベクトルの向きが少しズレているように思わなくもない。どこの国と戦争しようと言うのか。そうではなくて、新日米ガイドラインなどの検討経過やアメリカの要求など、情報を公開しないまま強硬採決しようとする政府の強引なスタンスに反対すべきだろう。

 

誰もカフェのオヤジに偉そうなことは言われたくないだろう。小難しい政治的なことはよく分からないということにして、あくまで中道ノンポリを貫きたいが、お客様の手前、全く発言しないこともできず、結構悩ましかったりもする。結局のところ、メディアの現在というテーマ自体、音楽エッセイに馴染まないかもしれないが、SNSで情報を収集する時代は、同時に個人個人が情報を発信できる時代でもあるわけで、一億総評論家などというレベルではなくて、一億総放送局状態なのだから、恐ろしいと思う。

 

音楽情報は、実際にミュージシャンからも発信され、ライヴ情報なども漏らさず捕捉することができる。セットリストを公開してくれるミュージシャンも多いわけで、ライヴの楽しみ方もSNSを使うか否かで変わってしまいそうだ。結局のところ、昔の音楽雑誌の役割をキュレーション・サイトのMUSICINFOが賄ってくれるわけで、スピード感も正確さも飛躍的に向上したことになる。嬉しい時代ではないか。アナログ好きとして、アナログ・レコードに拘ったカフェをやっているとはいえ、情報はデジタルで収集するほうが質は高い。増してや、ミュージシャンが随分身近な存在に感じられるのが楽しい。

 

さて、パッケージ・メディアとしてのアナログ・レコードの復権は目覚ましいものがある。販売枚数は倍々の勢いで伸びているという。最近はアナログ・レコードを買うのもインターネット上の通販サイトやオークション・サイトに頼ることとなる。大手の中古レコード店も独自海外買い付けなどと謳って安さを武器にしているが、送料がもったいないと思うか否か程度の違いだろう。送料が一律350円のアマゾンのマーケット・プレース経由で海外の店舗から直接買うという手もある。結構しっかり梱包してあるので、状態に問題はない。またクロネコヤマトや佐川急便などのロジスティクスもサービスが充実しており、受取りもどんどん便利になっている。本当に有り難い時代になったものだ。

 

時代が変わっても、アナログ・レコードで音楽を楽しむという行為から得られる心地よさは、何物にも代えがたいよさがある。やっていることに何等違いはないのだが、やはりいつの時代になっても、昔懐かしく、安心できる、そして場合によっては癒されるアナログと、スピード感があり、実に手軽な、最先端技術のデジタルな世界は、使い分けが必要だ。TPOごとに上手く使い分けられると、より豊かなライフスタイルを確立できるというわけだ。繰り返し言っていることだが、アナログが絶対だのと拘り過ぎず、上手く使い分けることで、お気楽に良質な趣味世界が堪能できのであれば、それに越したことは無い。カネをかける、かけないではなく、いかに楽しめるかが問題ではないか。

 



         
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