00377インチ盤が教えてくれること(1)(2015.12.23.

相変わらず7インチ盤の整理に明け暮れている。理由はいろいろある。売れるからということも大きな理由の一つだし、20年以上も買ったまま放置してあったレコードがいっぱいあり、お客様との話題に上って「買ったはずなんだけどな」と残念に思うことも多いからという理由もある。LP盤ほど枚数が多いわけでもないが、データベースを作ったわけでもなく、記憶だけが頼りなので、「こんなの買ったっけ?」と驚かされることも多かったりする。そもそも杜撰な管理なので、好きな曲は2枚3枚とあったりする。一方で、ポール・マッカートニーの「ハイ・ハイ・ハイ」のように、裏焼きスリーヴやら別番号やらといった盤が存在するものもあり、そういった曰く付きを並べてみたりする楽しみも少しはある。

 

現時点で確認できている直径7インチのレコードは1000枚弱ほどあり、DJをやるわけでもない自分は、お店でかけることも滅多になく、少々もったいない状況であると感じていたのだ。そこで、思い切ってちゃんと売れるように古物商の免許を取ることにした。今風にカッコつけて言えば、シェアしようということだ。本来自分の所有物を売り捌くだけなら免許は要らない。しかし、ウチの場合、法人が個人から買い取って売っているかたちをとるので、法人は免許が必要ということになるらしい。深川警察で相談したときも、必要ないのではと言われるほどなのだが、ここで「では面倒なので」といって免許を取得しないという選択肢は、好奇心旺盛なオヤジにとっては有り得ない選択肢である。区役所を退職して間もなく2年になるが、この間、知らないことの多さに呆れるばかりで、何と無駄に年齢ばかり重ねてきたのかと反省しきりなのである。

 

盗品売買を防止するという制度趣旨からして、身元確認程度では済まされない。必要書類の多さに驚きながらも、頑張って集めてみた。法人に関しては登記事項の全部事項証明と定款の写しである。墨田区菊川の法務局に行って全部事項証明を取ったときには、意外に緊張してしまった。どうも役所は苦手である。元役人がそう感じるのだから、普通の方々はもっとなのかもしれない。何はともあれ、役所は苦手である。

 

区役所には行きたくないということもあって、郵送で請求できるものは取り寄せてしまった。江東区の場合、住民票は近所の自動交付機で本籍の載ったものが取得できるので簡単だ。取り寄せたのは、戸籍の身分証明書である。取り寄せるには定額小為替が必要なので、郵便局まで出向いて、100円上乗せした代金を支払い入手してきた。また、九段の法務局まで行って、登記されていないことの証明書も取ってきた。この2つは機能的には重複しているようだが、両方出せということになっている。こんなことで不平を言ったところで時間の無駄である。要は禁治産者等ではないことの証明だ。

 

その他にも誓約書だの経歴書だのを作って提出するわけだが、さらに登録料として1万9千円が必要になる。まあ、スピード違反一発と思えば安いものだ。警察署に行けるのは、遅く出勤できる日の午前中などに限られる。慎重に時間に余裕を持って出かけたが、意外にギリギリになってしまった。深川警察署の総合受付で来署の理由を伝えたところ、「アポはあるか?」と訊かれ、担当者と会うまでに20分近く待たされ、そこから防犯担当のフロアに連れていかれ、取調室の中で1時間程度根掘り葉掘り訊かれるのである。特別やましいこともないが、役人を辞めてカフェを始めたあたり、やはり普通の人間の行動とは思われないらしい。まあ、覚悟の上だ。そう、普通ではない発想の持ち主だから古物商もとるのである。

 

免許が下りるのは8週間後ということで、まだしばらくかかることになる。自分としては、お客様にお店に来て欲しいからレコードも置いているわけで、ネット上で販売する気は毛頭ない。それでも、このご時世、インターネットで情報提供しないわけにはいかない。カフェは食べログやホットペッパーなどのサイトに乗っかれば済むことだが、レコード屋はそういう訳には行かない。ここらでドメイン好きの虫が腹の中で動き出し、置いてある商品、つまり7インチ盤を紹介するサイトを作ることにした。スリーヴを全てスキャンし、トリミングは最小限にしてサイズを揃え、HTMLファイル上に取り込むところまで完了した。この間約一カ月、もちろんカフェをやりながらなので、閉店後の時間が中心だが、ヒマなときは営業時間中もどんどんスキャンしてはファイル名を書き換え…、といった作業を続けていたのである。

 

保有している7インチ盤のラインナップからして、60年代、70年代ポップ、70年代ロック、80年代、サントラ盤、日本人、その他の7つに分類し、それぞれに主だったミュージシャンは独立させ、その他は年代順に並べてという構成にした。映画のサントラも年代別で6分類し、さらにその中も年代順に並べてみた。大変は大変な作業だが、これが結構楽しいのである。リリース年月等も調べながらなので膨大な時間がかかったことは容易に想像できるであろう。ウィキペディアの英語版のディスコグラフィーがとても役に立ったが、意外なほど信憑性が低いミュージシャンもあった。販売するからには値札付けも必要で、まだまだ開店準備には時間がかかりそうだ。それでも意外に面白いサイトになりそうなので、乞うご期待といったところである。

 

 


裏焼き盤

修正済み同番号盤

番号取り直し盤

MPL, Odeon, EMI盤

         
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