0044 7インチ盤専門店まもなくオープン(2016.01.30.

先日、よやく古物商の免許がいただけた。カフェ開業から間もなく一年なので、そのタイミングで7インチ盤専門店をオープンすることにしようと思っている。どのみちカフェの中にあるショップ・イン・ショップだ。大規模にやるものでもない。1000枚程度は常にあるようにしたいが、それも今は洋楽邦楽半々といったところなので、もう少し洋楽を増やしたいなと考えている。せっかくショップとするからにはある程度のバリエーションも欲しいと思い、邦楽は全然聴かないが買い集めたものである。したがって大したラインナップにはなりようもない。

 

また以前からブローカーというわけではないが、自分の趣味としてレコード漁りに行くついでに探してくるようなことを請け負っていたので、相場はある程度分かるのである。人気があるものは何か、といった部分には触れたくない。どのみち音楽は個人的な体験や記憶とリンクしているもので、他人が判断できないものと考えている。その人にとっては価値のある曲というものが存在する限り、自ずと限界が生ずる。網羅するなどということは有り得ない。そこは開き直って、自分の好きなミュージシャンのものを集めるしかない。ロクに聞いていなかった邦楽に関しては、ヘタに語ることもできないので、他のショップなどを参考に人気のありそうなものを申し訳程度に置いておくということになる。

 

ただアイドルというものに関しては、その人にとって音楽への入口であったり、子どもの頃の強い思い入れのあるアイテムとなり得るわけで、それなりに尊重もする。70年代の南沙織、山口百恵、キャンディーズ、ピンクレディ、80年代の松田聖子、中森明菜、小泉今日子など、一世を風靡したアイドルは揃えるようにした。また、サザンオールスターズやユーミン、山下達郎といった自分も少しは聴いたものは集めたくもなる。しかし意外に手に入らないものでもある。もちろん状態のいいものに拘って集めたつもりではあるが、さすがに30年前40年前のものがいい状態であることは難しい。収集にかかっている時間は相当長いもので、そこが価値あるコレクション、ラインナップになっているかと思う。

 

また、LPレコードではなく、7インチ盤であることの面白さももっと追求してみたいと思う。単にシングル・カットされたというだけでなく、アルバム未収録曲というものは殊の外多く存在する。後々CD化されたときにボーナス・トラックとして追加収録されたり、ベスト盤に収録されたりというかたちで聴けるものが大半だろうが、それでもそういった曲は7インチ・シングルのかたちで聴いた人が多いということにもなるわけで、「懐かしい」と騒ぐことが多いものでもある。また映画のサントラ盤からシングル・カットされたもののように、売れる事情や背景を持つものも多い。自分もそうだったが、サントラ盤はアルバムを通して聴くことが苦痛なほど楽曲にばらつきがある。古いものだとセリフが入っているものもある。一時期から、有名どころのロック・ミュージシャンの曲を集めたサンプラー的なサントラ盤が増えたが、そういうものは例外としても、余程の思い入れがある場合を除いてサントラ盤は厳しいものが多いのである。そんな理由で、サントラ盤7インチも、結構充実させているのである。

 

自分の場合、40年以上同じ趣味を続けている人間なので、自分の好みで欲しいというものは、概ね揃ってしまったのだ。もちろんコレクター諸氏がエンドレスな楽しみを続けていることは十分承知のうえで、あえて言うが、自分のコレクションは終わっているのである。湯水のごとく金が使えて収納する場所も問題なければ、オリジナル盤だの各国盤だの集めたくなるものは際限ないのだろう。しかし自分の場合、自分の記憶や体験とリンクした盤があればいい人間で、再発だろうが輸入盤だろうが、その当時見慣れたものが懐かしく思え、自分にとって価値があるのである。英国盤のラミネートもさほど拘らないし、マトリックスなどチェックしたこともない。やはり自分はコレクターではないのである。

 

そんなことからも、7インチ盤もスリーヴがないのはつまらないのである。レッド・ツェッペリンやビートルズ関連の英国盤のオリジナルとか言われると、一応気にはなるし、リーズナブルと思えれば買うこともあるが、滅多に手は出さない。むしろスリーヴがある国内盤の美品が、見ても、聴いても、楽しめると思うのである。古いものに関しては、もうあまり手に入らなくなっているように思うが、ときどき出くわす美品には惚れ惚れしてしまうものもある。主要メディアがCDに切り替わってからは、売っている店も限られてしまったが、そんな頃に超美品のスリーヴ付き7インチなどを見つけたときは、本当に喜んで買ってきたものである。それからもう20年25年といった年月が経っているのだから、状態のいいものの価値はさらに増しているようには思う。自分が押入れの中にしまい込んでいた盤たちがようやく陽の目を見る時が来たのかもしれない。まだまだ整理が追い付いていない状態ではあるが、清澄白河のカフェ・ジンジャー・ドット・トーキョー内に7インチ盤専門店「45rpm.tokyo」、来週オープンである。翌週あたり、オープニング・セールも予定しているので、お楽しみに!

 



         
 Links : GINGER.TOKYO  saramawashi.com  Facebook  
 Mail to :  takayama@saramawashi.com     
 Sorry, it's Japanese Sight & All Rights Reserved.