0057 古本屋「下町文庫」始めました(2016.05.01.

7インチ盤専門店に続いて、古本屋も始めることにした。元来病気的レベルでのレコード好きかつ本好きなので、これも予定通りの行動ではある。役人を辞めて何するかと考えたときに、他にもいろいろ選択肢はあったが、レコードと本の山の中で考えていれば、至極当然な発想という気もする。年間365冊読破も過去に6回達成しているほどと言えば、程度が知れるだろうか。金曜の業後に大手町のOAZOの丸善で7冊から10冊ほど買ってきて、自宅に帰り着くまでに3冊は読み終えるようなことを繰り返していた。小説は比較的じっくり時間をかけて読むが、ビジネス書やエッセイなどは思い切り斜め読みである。自分なりの速読法だが、原理は単純だ。事前にオビや前書きなどでどういった本なのかということを頭に入れ、そのことを強く意識しながら読むというだけである。

 

読み終えた本は他人様に差し上げてしまうことが多いが、もう一度読みたいと思うものは手元に残してあるし、気に入れば何冊でも買う。カフェを開業するときに、カフェの雰囲気に合うものは少し持ち込んでいたのだが、同じ情報発信するという点から考えれば、窓辺の本棚に置いてあるというだけでは少し弱い。せっかくなら本好きにも訴えたいなと思い、レコ屋のついでに古本屋もと相成った。同時スタートも考えたが、宣伝効果など考慮して、少し遅らせたほうがよいということになった。事実直前2週間の作業は、睡眠時間を削ってやることになったので、正解だったようだ。

 

ただ、当初と大きく違ったのは、単に自分の本を売るということではなく、ご近所さんや知人、カフェの常連さんなどに声をかけて、一箱古本市の常設版的なものにしたのだ。古書店名とロゴを決めてもらい、一棚を月100円で貸し出すことにして、全体を「下町文庫」と呼ぶようにした。直前に出店が決まった方もおり、ゴールデンウィーク初日の4月29日に、10軒の本屋さんがひしめき合っているという物言いで、ユルーくスタートした。なかなかに個性的な店が並ぶことになり、目論見は当たったことになるが、自分は床すれすれの見づらい下段を利用することにしたので、自分の本はあまり売れないだろう。

 

カフェには発信力があるということは何度か書いてきたが、実際に多くの人が来訪し、口コミで広めてくれるということもあるが、マスメディアで取り上げられることもある。清澄白河はコーヒーの町として俄かに人気スポットとなっており、ただの住宅街を多くの歩行者が往来する。これもいつまで続くかと思わなくもないが、やたらとテレビや雑誌で取り上げてくれる。それなりにやっているウチにも、雑誌やらの取材依頼が舞い込んでくることになる。今週は取材対応3本ということになった。これでこそ発信力のあるカフェということも言えるのだが、これまでは控えていた。テレビもお断りしていた。理由はいくつかある。一つは受入体制が整っていないのにドッと来られてもかえって迷惑をかけてしまうということ、またビルの2階にあるようなカフェは、いかに落ち着けるかという点も大事なわけで、こういう店はお客様に発見していただいてナンボだと考えている。あえて看板もちゃんと出していないわけで、「いいところ見つけた」という感覚をより強く持っていただけるようにしている。たまにパーティの参加者のお客様から「わかりにくい」とお叱りを受ける。この程度でちょうどよいと考えている、…いた。

 

これからは、「下町文庫」に参加してくれた皆さんのためにも、少しは宣伝しないといけないかという思いはある。新人スタッフも加入し、少しは体制が強化されつつある。自分は店に居る時間を減らしているが、本来カフェは他人に任せて自分はそこでイベントを仕掛けたりといった、その他の部分をやろうとしていたので、これは当初からの予定通りの行動なのである。さらを回しに行っているので、平日の夜は大抵居るが、平日昼間や土日祝日は不在ということになる。まあ、優秀なスタッフのおかげで、自分は居ないほうがカフェとしては上手く回っているような現状なのである。

 

さて、自分が売りに出している本は、大きく「music」「life」「cat」というカテゴリーに分かれている。バランスよくというわけにはいかないが、音楽書籍は当然ながら充実している。加藤玄生著「蓄音機の時代」はあえてプレミア付き価格にしてみた。秋尾沙戸子著「スウィング・ジャパン」など読み物を中心に、状態のいい本が並んでいる。自分の場合、子どもの頃から物を大事に扱う性格だったので、レコードも本も非常にコンディションがいいのである。どうしても資料性の高い内容のものは手放せないが、お買い得なものが多くなっている。

 

安く入手したければ、ブックオフやネット通販で購入すればよい。そうではなくて、売る人との繋がりを提供するこういった古本屋で本を買うという行為は、全く別の価値観に基づくことになる。カフェGINGER.TOKYOで快適かつ知的に過ごすということは、モノ消費ではなく、コト消費の一環として考えていただきたい。そこがご理解いただけるお客様には頗る楽しいものとなっていると自負している。「下町文庫」、ぜひとも、よろしく。


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