0062 「混淆1976」準備中(2016.06.05.

自分が自分の店でやっている音楽とトークのイベントも4月目となった。今月のお題は1976年である。実にロックな年だ。「フランプトン・カムズ・アライブ」の大ヒットは忘れようもないが、アルバム・チャートの上位には「ファンタスティック・マック」「スピード・オブ・サウンド」、ボブ・ディランの「欲望」、クイーンの「オペラ座の夜」などといったロックの大名盤が名を連ねる。一方でイーグルス、シカゴ、アメリカといったバンドのベスト盤も上位に食い込んでいる。その他にもキッスも大ブレークした年だし、フォガットやテッド・ニュージェント、ナザレスといったハードロックがチャートを賑わせたりもした。まさにロックな年なのである。

 

また面白いのは、ビルボードの年間トップ50にエアロスミスのアルバムが3枚も入っていることだ。この年、「闇夜のヘビー・ロック(Toys In The Attic)」と「ロックス」の連続大ヒットに連られて、74年リリースのファースト・アルバムからのシングル・カット「ドリーム・オン」が再度ヒットしたのである。また翌年には、初来日公演も実現している。ドラマーのジョーイ・クレイマーが体調不良で、妙に短いライヴだったことが忘れられないが、驚くほどタイトな演奏だったことが強く印象に残っている。その後何度も来日公演には足を運んだが、やはりもっとも勢いのあったこの時期のライヴが最高だったと思っている。

 

実にロックな年だったと言っておきながら、非常に印象に残っている曲はKC&ザ・サンシャイン・バンドの「ザッツ・ザ・ウェイ」や「シェイク・ユア・ブーティ」だったり、シルバー・コンベンションの「フライ・ロビン・フライ」、ミラクルズの「ラブ・マシーン(パート1)」のようなディスコっぽい曲だったりする。この後「サタデイ・ナイト・フィーバー」によるディスコの大ブームに向けての助走期間のような年なのだ。もうこの年はディスコ・ブームが始まっていたと言って問題ない。ワイルド・チェリーの「プレイ・ザット・ファンキー・ミュージック」やドナ・サマーの各曲など、ラジオでも本当によくかかっていた。

 

1976年というと、個人的にはジェフ・ベックの「ワイアード」も忘れられない。チャートに入ってくるようなヒット作ではないが、前年の「ブロウ・バイ・ブロウ」とこの2枚は、現在に至るまで繰り返し聴き続け、最多再生回数を誇る盤ではないかというほど聴いた。面白いことに「ワイアード」は、本国イギリスでは最高38位どまり、アメリカでは16位、日本では7位まで上昇している。日本人は妙にジェフ・ベックが好きな国民であるということがよく知れる。ジェフ・ベックとエリック・クラプトンが大好きな日本人のために、彼等は繰り返し来日してくれる。実に有り難い存在なのである。

 

ちなみに、自分の店では毎週火曜夜は特定のミュージシャンなりジャンルなりの縛りをかけてBGMを流すことになった。明後日の第1回はご要望の多かったジェフ・ベックである。単にジェフ・ベックのアルバムを流しっ放しでかけるのであればしょっちゅうやっていることなので、少しは工夫するつもりである。ジェフ・ベック本人のリーダー作のみならず、関連音源も含めると40枚を超えるボリュームである。一応あらかじめ選曲を練り込んでおくつもりである。例えばUPPや、ジェフ・ベックが好んでカヴァーしているドン・ニックスの曲など、裾野を広げれば相当広い。ヤードバーズもあれば、映画「欲望」のサントラもある。果たしてかけるべきか。アーノルド・シュワッツネーガー主演映画「ツインズ」のサントラにも面白い音源が含まれている。こちらはおそらくかけることになるだろう。いやはや楽しみだ。

 

ちなみに、1976年、オリコンの年間チャートでは、450万枚以上の数字を記録しているダントツの1位がある。子門真人の「およげ!たいやきくん」である。またこの年、「ビューティフル・サンデー」が3曲、トップ50入りを果たしている。太田裕美の「木綿のハンカチーフ」や荒井由実の「あの日にかえりたい」など、忘れられない大ヒット曲もある。またトップ50内には、山口百恵4曲、岩崎宏美4曲、桜田淳子3曲といった売れっ子も現れる。今回もかける曲にひどく迷うことになりそうだ。

 

また年表に目を移せば、周恩来と毛沢東が死去、過去最大の犠牲者を出した唐山地震の発生、四五天安門事件の発生、四人組逮捕など、中国は激動の一年だった。日本ではロッキード事件で政財界の大物が逮捕され、「記憶にございません」が流行り言葉になった。また、ベレンコ中尉がミグ25で函館に亡命してきた年でもある。「クイズダービー」や「徹子の部屋」の放送が開始され、巨人が前年の最下位からセ・リーグ優勝を果たし、富士スピードウェイでF1日本グランプリが初開催となった年でもある。私の下手なしゃべりなど無用、曲を聴きながら資料を読んでいる方が面白いかもしれない年なのである。さて、何をかけるやら…。

 



         
 Links : GINGER.TOKYO  saramawashi.com  Facebook  
 Mail to :  takayama@saramawashi.com     
 Sorry, it's Japanese Sight & All Rights Reserved.