0064 ミュージックバード(2016.06.19.

ラジオ番組のゲスト出演という、非常に有り難いお仕事をいただき、東京FMのビルまで行ってきた。ミュージックバードという衛星デジタル放送の音楽専門チャンネルである。クルマでは何度も前を通っている東京FMのビルは、地図で確認しなくても問題ないと思ったが、半蔵門の駅から歩いて行く途中は、さすがに不安になった。午前中だからか、曜日のせいか、ホールの入り口になっている正面玄関もあいておらず、ウロウロ迷いながらも何とか中に入ることはできた。セキュリティ・チェックを通り、入館証を首からぶら下げるなどという行為は、以前、自治体で情報セキュリティの担当をしていたこともある身にとっては懐かしいと感じてしまうが、カフェにとってのセキュリティなどということを考えながら、目的地であるスタジオに入ることになってしまった。

 

そもそも、あまり深くは考えていない。自分が普段やっているトーク・イベントの延長で何とかなるだろうという気がしていたからである。しかし、ああいったトーク・イベントを緊張することなく無難にこなせるのは、しこたま準備をするからである。お声がかかって1週間という短期間でできる準備には限界があり、手持ちの資料はある程度といったレベルにとどまっていた。しかしよくよく考えれば、自分がオススメする曲をかけながら、しゃべるだけである。ど忘れなどということがない程度にメモがあれば十分とも言える。前職の為せる業とも言うべきか、ついつい資料を作り込んでしまうが、これもただの安心材料と考えれば必要以上のものではあったかもしれない。

 

ホストはオーディオ評論家の田中伊佐資氏である。自分にとっては、「analog」という季刊誌でお馴染みの有名人である。以前にVINTAGE JOINのキヨト・マモルさんのオーディオ・イベントがGINGER.TOKYOで開催されたときにご来店いただいたことがあるので、初対面というわけではない。店の様子はご存知で、番組の中でも随分ご紹介いただいた。実に有り難いことである。こちらでお役に立てることは何かないかと、あれこれ考えてしまう嬉しさである。スタジオは小ぢんまりといった印象で、機械操作は全て担当のディレクター氏がやってくれる。ミキシング・エンジニアになりたかった過去を持つ自分にとっては、むしろディレクター氏の動きの方が気になっていけなかった。アナログ関連機器の扱いに慣れていないスタッフばかりという嘆きは予想していたことでもあり、そういった話題が出たときは、思わず笑ってしまった。

 

和やかな雰囲気の中、軽くサウンド・チェックをしたら、いきなり本番と言う。この辺は結構驚きの連続だった。自分の場合、喉が弱く非常に声が細いので、どの程度のボリュームを求められるのか心配ではあったのだが、特に何も言われない。田中さんはハリのあるよく通る声なので、とてもバランスがいいとは思えない。きっと放送音源が出来上がるまでに、ディレクター氏は苦労されるのだろう。申し訳ない。番組は冒頭のテーマ的なSEに続いてしばらく会話が続く。音楽専門チャンネルというから、しゃべりはホンの少しだけかと踏んでいたのだが、少々甘かった。自分のトーク・イベントでは3時間で30曲程度かけることになるが、この番組、1時間で5~7曲というから確かに少ない。準備した曲のうち、カット候補の曲は全てカットである。もう少し時間が欲しいと思うほどだった。

 

1時間番組を2本収録したのだが、2回とも同じテーマ「日本ではなぜか人気がないのにいい曲」、忘れられた名曲たちである。マイナーとは言い難いがあまり人気がない、アメリカン・ロックが中心となる。1曲目は、これがいい音で鳴らなければ何も始まらない、自分にとってはレファレンスでもあるモントローズ「灼熱の大彗星」である。「何のこっちゃ」と邦題を笑いながらも、意外に低音が出るモニター・スピーカーのクセを確認する。芋づる式にロニー・モントローズ関連で、エドガー・ウィンター・グループ「フリー・ライド」、キャシー・マクドナルド「ハートブレイク・ホテル」と続ける。さらには日本ではマイナーとなる一つの原因と思われる、歌詞で聞かせるタイプの典型としてハリー・チェイピン「ゆりかごの猫」へと続くといった按排である。

 

どうしてもマイナーになりがちなサザンロックなど、諸々聴きながら約3時間があっという間に過ぎてしまった。ラストはお決まりのキャット・スティーヴンス「人生はさすらい Sitting」である。我が人生のアンセムは欠かせない。かなり細かいクレジット情報にまで触れられたので、自分のようなクレジット・マニア、データ・マニアには、必然的に楽しい時間となる。どうしてもホストの田中さんと声が被らないようにする必要があるのかと神経を使ってしまったが、予想以上に楽しめたといったところだ。ミュージックバードの124ch―THE AUDIO、「アナログ・サウンド大爆発!~オレの音ミゾをほじっておくれ」という番組で、放送は9月ごろという。ぜひチェックしてみていただきたい。オーディオのプロやマニアの方たちが聴くものではなどと考えるとお腹が痛くなりそうなので、何も考えないようにしておくべきだろう。何はともあれ、感謝、感謝である。

http://musicbird.jp/programs/analog/

 



         
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