0067 「王道1977」終了(2016.07.10.

毎月恒例となってきた音楽とトークのイベントが無事終了した。今月は「王道1977」というタイトルで、1977年のヒット曲を中心にかけまくった。1977年リリースの曲でも翌年に大ヒットしているような曲は勘違いを生むのかという懸念もあり、極力ヒットした曲ということで押してみた。初参加の方もいらっしゃったが、毎回ご参加いただいている方も多い。嬉しいことである。結局自分のコレクションを生かして遊べる方法はいろいろあろうが、自分のカフェで音楽イベントを開催して、音楽好きの方々と楽しい時間をシェアできるというのは、最高の活用方法ではなかろうか。

 

毎度30曲程度となるのだが、終わってみて32曲も聴けたことが不思議だったが、何のことはない、準備していた映像などを紹介するのも、年表などの資料を解説することも忘れてしまった。テレビゲームがブームになった年ということで、ゲーム機の歴史を解説する資料まで作ったが、配るだけとなったのは少々残念だった。ひたすら曲をかけて解説しただけの3時間、果たして面白かったのだろうか。結局のところ、個人個人の記憶とリンクして、いろいろ思い出して楽しんでいるという気もするが、あいまいになっていた記憶が整理されたということも言われ、少しはお役に立てたかと嬉しく感じたりもする。

 

今回は、スーパートランプの「ギヴ・ア・リトル・ビット」からスタートした。ロンドン・パンクの嵐が吹き荒れた年だけに、王道ロックは巨大産業化していった時期である。この連中もプログレ的要素を薄め、ポップ・ロック路線になってきた頃である。続けてハート「バラクーダ」、フォリナー「フィールズ・ライク・ザット・ファースト・タイム」、4000万枚とも言われるほど売れに売れた大名盤「噂」から、フリートウッド・マック「ドリームス」と続けた。当然ながら、アルバム・チャートの年間第1位である。シングルの1位はロッド・スチュワート「今夜きめよう」だ。これは意外という声が多かった。確かに他にもいい曲がいっぱいある年だけに分からなくもない。ここでオリコンの資料には目を通してもらい、邦楽代表としてジョー山中「人間の証明」、そして意外なことにオリコンのアルバム・チャートの第2位がイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」ということで、こちらのタイトル・チューンも続けて聴くことにした。

 

毎度工夫が足りないなと思わなくもないが、自分は1977年となると17歳、もうほとんどシングルは買わなくなっていたし、聴く音楽の幅も広がっていき、ヒット・チャートとは縁のないフュージョンなどにも手を出し始めていただけに苦しい。シングル・ヒットした曲を再生することにもそろそろ限界の年なのである。シングル・チャートの上位を占めるアンディ・ギブやエモーションズ、さらにはブラザーズ・ジョンソンあたりはYouTubeに頼らざるを得ない。イベント開始前にお詫びかねがねお聞かせすることになった。今回はその後もボストン、カンサス、ELO、ボブ・シーガー&ザ・シルバー・ビュレット・バンド、マンフレッド・マンズ・アース・バンド、アトランタ・リズム・セクションなどのヒット曲を続けることになってしまった。捻りの一つもない選曲に、申し訳ないと感じている次第である。

 

面白かったのは映画音楽で、こちらも映画史に燦然と輝く大名作ぞろいといった有様だが、取捨選択に困った、困った。「スター・ウォーズ」「ロッキー」「007 私を愛したスパイ」あたりは外せない。「ミスター・グッドバーを探して」や「グッバイ・ガール」など泣く泣く外しつつ、デヴィッド・ソウルが歌うテレビ・シリーズ「刑事スタスキー&ハッチ」のテーマソングはかけることにした。邦画では「八甲田山」、「八つ墓村」「人間の証明」などなど、洋画では「未知との遭遇」「サタデー・ナイト・フィーバー」「アニー・ホール」などもある年なのだ。まったく時間が足りない。

 

今回トリを飾ったのは、日本のフュージョン・バンド、プリズムのデビュー盤から、タンタンという女性シンガーをフィーチャーした「ラヴ・ミー」である。このクレジットすらされなかったヴォーカリストについて、以前詳しく書いており(下町音楽夜話第296)、その内容を資料に添付したうえで、追悼の意もこめて聴くことにした。和田アキラのギターも素晴らしい音で鳴ってくれたと思う。そして3時間が経過したところで、もう一曲、大トリをつけさせてもらった。翌日に参院選を控えている日程である。音楽界にコペルニクス的大変革をもたらしたロンドン・パンクについて少々触れておきたかったのだ。歴史は巡るということでもいい。反体制音楽だったロックが、いきなり批判される側になってしまい、プログレッシヴ・ロックやブリティッシュ・ハードは時代遅れの座に追いやられたのだから、当時の空気感を知る者としては、必聴という気もする。このムーヴメントを代表して、セックス・ピストルズの「アナーキー・イン・ザ・U.K.」で〆となった。意外にポップで大人しい鳴りに少々肩透かしと感じながら、楽しい3時間があっという間に過ぎてしまった。いやあ、楽しかった。

 



         
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