0077 Late60sイベント準備中(2016.09.18.

月一回のペースで音楽とトークのイベントを催しているのだが、今月からテーマ年を3年分まとめているので、資料作りが膨大な作業量になってしまい、苦労している。単に年間TOP100等を入力するだけなら、さほどの労力を要するとも思わないが、資料本やウェブの情報等が意外に正確さを欠き、気になる場合は複数の情報源に当ってみるなどしているので、猛烈に時間がかかる。それでも、自分自身の曖昧になった記憶を整理することにもなり、結構楽しみながらやっている。ただし、来月のテーマは「Late60s 1967-69」であり、リアルタイムで聴いた時代ではないので、本来はやりたくない。参加者の皆さんも相当に詳しい方が多いので、釈迦に説法とならないかも注意しなければならない。それでも、該当年のレコードを引っ張りだしてみると意外なほど枚数もあり、何とかこなせるかという気にはなっている。

 

資料の準備を始める前は、どうせビートルズとローリング・ストーンズがチャートを席巻しているものと思い込んでいた。しかし、ビルボードの年間TOP100などに当ってみると、必ずしもそうとは言い切れない。シングル・チャートでは、67年のTOP3はルル、ボックス・トップス、ボビー・ジェントリー、68年はビートルズ、ポール・モーリア、ボビー・ゴールズボロ、69年はアーチーズ、フィフス・ディメンション、テンプテーションズとなっている。アルバム・チャートではビートルズもストーンズも年間TOP3には入っていない。資料を打ち始めて直ぐに考えを改めることになったことはご理解いただけるだろうか。

 

問題はアルバム・チャートだ。例えば1967年のTOP100を見ると、ビートルズは10位と56位、ローリング・ストーンズは44位、62位、63位、75位となっている。この年、1位、2位、45位に3枚チャート・インしているのがモンキーズである。ママス&パパスは24位、25位、28位の3枚、凄いのはハーブ・アルパートとティファナ・ブラスで、7位、8位、9位、11位、21位、34位、43位とTOP50に7枚も送り込んでいる。彼等は68年にもTOP100に5枚送り込んでいるので、ラテン・ミュージック絶頂期の輝かしい記録ということになるが、それにしても凄い。またコメディアンのビル・コスビーも、12位、16位、19位、38位、39位とTOP50に5枚がチャート・インしているが、こちらは漫談ともいうべきもので、単純に比較すべきものではない。

 

恐れ入ったのは、1965年に公開された映画「サウンド・オブ・ミュージック」のサントラ盤で、65年のアルバム・チャートでは3位、66年には2位、67年に4位、68年に14位と、ロング・ラン・ヒットと言う言葉で片づけてしまうには凄すぎる記録を残している。この映画は、自分が生まれて初めて劇場で観た映画であり、「もう一回観たい」とダダをこねて母親を困らせたという、自分にとっても忘れ難いものではあるが、これほど愛されていたものとは知らなかった。実は「サウンド・オブ・ミュージック」のオリジナル・キャストによる劇場版のアルバムは、1960年1位、61年も1位、62年4位、63年18位、64年98位とチャート・インしているのである。モンスター級という言葉が適しているかは疑問だが、後にも先にもあり得ない売れ方である。1950年代後半から60年代前半にかけては、「マイ・フェア・レディ」や「ウェストサイド物語」なども猛烈な記録を残しており、オリジナル・キャスト盤やサントラ盤が強かったことが窺える。

 

思うにミュージカルの舞台や映画が、今よりも娯楽の中心に位置していた時代であり、そこで聴かれる音楽を記録したレコードの価値は、非常に大きかったのではなかろうか。また、ラテン・ミュージック然り、イージー・リスニング然り、単にポピュラー・ミュージックと言ったところで、随分バラエティに富んだ音楽がヒットしていたように思う。この後、ロックが市場を席巻し、さらにはメイン・ストリームがR&Bにとって代わられて行くわけだが、そこに優劣があるわけではない。時代を色濃く反映した音楽が古びてしまうのは致し方ないにしても、それ故に価値があるということも考えられる。

 

1960年代のヒット曲には、美しいコーラスを聴かせるヴォーカル・グループのものも多い。シュープリームスやテンプテーションズ、フォー・トップスといった連中の素晴らしいコーラスは、紛れもなく60年代の象徴である。60年代後半にはサイモン&ガーファンクルの名曲群も出てくる。まさに新時代の音が、素晴らしい声で表現されている。モッズやスウィンギン・ロンドンの洒落者もいれば、サイケなフラワー・チルドレンも魅力的な楽曲を披露する。ジミ・ヘンドリックスやレッド・ツェッペリン、キング・クリムゾンといった新しいロックの素晴らしさも忘れられない。やはり、ビートルズやローリング・ストーンズだけで語れる時代ではないのだ。これはもう、じっくり向き合って研究しなければ済まされないようだ。

 



         
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