0085 英国勢恐るべし(2016.11.13.

毎月恒例の音楽とトークのイベントだが、昨夜のお題は「Early70s 1970-72」だった。前回は思い切り機器の不調にみまわれ、残念な結果となってしまったので、今回は慎重に調整した上でイベントに臨んだ。加えて、マイクを手に持ってしゃべりながらレコードを交換するのも面倒だったので、ターンテーブルを2台繋いでみた。DJスタイルでクロスフェードさせる気は毛頭ないので、2台は要らないと思っていたが、やってみるとやはり快適だった。試聴機用のテクニクスをオーディオ・アルケミー製フォノ・イコライザー経由で繋げているので音は悪くないし便利は便利だが、常時このセッティングにするつもりはない。

 

今回もご予約だけで満席に近い状態で、嬉しいことこの上ない盛況ぶりである。毎度元気のいい曲からスタートすることにしているが、今回は前回のリベンジも兼ねてヴィデオからスタートした。まずはジェフ・ベックとジミー・ペイジが展開した、R&Rホール・オブ・フェームの授賞式でのパフォーマンス「ベックズ・ボレロ~移民の歌」である。続けてまだオジー・オズボーンが普通の人間に見えるブラック・サバス「パラノイド」1970年ベルギーでのライヴだ。シンプルだが迫力のある演奏が好きなモノクロ映像である。ここまでは挨拶がわり、本番はここからだが、如何せん時代を象徴する名曲だらけの時期がテーマである。外せない曲から順番にという安易な構成で突き進むことになった。

 

まずは、ギルバート・オサリバン「アローン・アゲイン」、ロバータ・フラック「愛は面影の中に The First Time Ever I Saw Your Face」、アメリカ「名前のない馬」といった定番曲である。実は鳴りが地味なものを前半に持ってきている。次は自分がこの時期洋楽にハマった原因となった曲のひとつ、後のABBAの男性2人、ビヨルンとベニー「木枯らしの少女 She’n My Kind Of Girl」を披露し、大名曲ドン・マクリーン「アメリカン・パイ」、ニール・ヤング「孤独の旅路 Heart Of Gold」へと繋げ、グラムロック代表はT.Rex「メタル・グルー」だ。

 

次に解散してしまったビートルズのメンバーの曲である。まずリンゴ・スターの強烈なリズムを強調した「バック・オフ・ブーガルー」だ。ブルー・アップル・レーベルが面白い。盗作問題で敗訴してしまったジョージ・ハリスン「マイ・スウィート・ロード」、ポール・マッカートニーは放送禁止になった2曲に挟まれたシングル「メアリーの子羊」、そしてジョン・レノン「イマジン」と繋げた。この曲は今でこそ大名曲と認めるが、当時は地味過ぎて好きではなかった。結果的に自分が後々までビートルズを聴かなかった原因にもなる曲ではある。ただこの辺りの音源は、無難にいい音で鳴る。まだ英国優位の時代である。

 

この時期、シンガー・ソングライター・ブームの一方で、ハードロック・ブームでもある。ここでは、最も派手なステージを展開していたと言われるジェスロ・タル「アクアラング」、日本では非常に人気があったディープ・パープル「ブラック・ナイト」、ビルボードの資料では驚くほど上位にくい込んでいるゲス・フー「アメリカン・ウーマン」といったところだ。いやはや、かけたい曲だらけで悩ましいことこの上ない。

 

ここでまた時代の象徴的な曲だ。スリー・ドッグ・ナイト「喜びの世界」、カーペンターズ「クロース・トゥ・ユー」の2曲は、やはり外せない。次は映画のサントラだが、今回は「小さな恋のメロディー」と「ジーザス・クライスト・スーパースター」を選んだ。またフェイドアウトさせてしまったが、アンディ・ウィリアムス「ゴッドファーザー愛のテーマ」もかけた。ここではテレビCM曲ということで、ジェリー・ウォレス「マンダム - 男の世界」、ニュー・シーカーズ「愛するハーモニー I’d Like To Teach The World To Sing」も紹介した。いずれも映像とともに、時代感覚を蘇らせてくれる愛しい音源だ。

 

さて後半はトークを控えめにして、一気に名曲を続けていく。CCR「雨を見たかい」、ジェームス・テイラー「きみの友だち」、素晴らしい鳴りのキャロル・キング「イッツ・トゥ・レイト」にエルトン・ジョン「僕の歌は君の歌 Your Song」、恐ろしく低音がないミッシェル・ポルナレフ「愛の休日」、ビートルズと同様に素晴らしい鳴りのバッドフィンガー「デイ・アフター・デイ」はさすがアップル・レーベルといったところだ。さらには、シカゴ「サタデイ・イン・ザ・パーク」、ブレッド「愛の別れ道 Baby I’m-A Want You」、ポール・サイモン「母と子の絆」、ニルソン「ウィザウト・ユー」等々、素晴らしい時代である。また、ソウル・ミュージックも多々名曲がある時代だが、ここはマーヴィン・ゲイ「ホワッツ・ゴーイン・オン」を代表曲とさせてもらった。ダニー・ハサウェイの名盤「ライヴ」も捨て難かったが、限られた時間の中ではやむを得ない。加えてもう1曲はスティーヴィー・ワンダー「迷信」を選んだが、こちらはジェフ・ベックをフィーチャーしたライヴ映像での紹介とした。

 

いよいよ時間も無くなってきた。終盤はロックの名曲である。デレク&ザ・ドミノス「いとしのレイラ」、ローリング・ストーンズ「ダイスをころがせ」、レッド・ツェッペリン「ブラック・ドッグ」、レオン・ラッセル「ア・ソング・フォー・ユー」、そしてビートルズ「レット・イット・ビー」といったところだ。再びビートルズ音源の音のよさが際立つ。そして〆の曲は、やはりサイモン&ガーファンクル「明日に架ける橋」だ。ビートルズの後で、録音の悪さが目立ってしまったが、名曲は名曲、シングルもアルバムも年間チャート1位となるだけのものではある。

 

今回はとりわけ、アップル・レーベル音源の音のよさが際立つこととなってしまった。70年代の音源はまだまだ音質にバラつきがある。特に日本やアメリカのレコードは、大ヒット曲でも酷い録音のものがある。ブリティッシュ・ハードは無難にいい音で鳴ることも再認識したが、やはりビートルズ関連の音源はいずれも素晴らしい鳴りだ。加えてこの時期は、アルバムの音源とは違う、シングル・ヴァージョンも多く確認された。まだまだ研究の余地もありそうだ。いくら時間があっても足りない感覚が強くなってしまったが、何はともあれ、楽しいイベントとなったことは間違いない。わざわざ足を運んでくださる参加者の皆さんに感謝せずにはいられない

 

後記:
今回邦楽に関しては、オリコンの資料もはちゃんと作ってあったし、7インチ盤も大量に用意してあったが、結局1曲もかけなかった。吉田拓郎や南沙織など、好きな曲はあったが、いずれも音質がチープ過ぎることと、場の雰囲気に合わないと判断したからである。それでも、イベント終了後にリクエストがあり、古井戸の「さなえちゃん」をかけた。ほとんどの方がその場にとどまり、ニヤニヤしながら聴き入っていたことは書き記しておかないといけないだろう。

 


   

         
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