0098 コンパリ2終了(2017.02.11.

トーク・イベント「Comparison Vol.2」が終了した。毎月開催しているものだが、一月があっという間に経ってしまい、毎度準備不足で本番を迎えている気がする。それでも、どの曲を選ぶか考えるだけでも楽しいもので、マッタク辛いという感覚はない。終わるとホッとするが、直ぐに次の回の内容を考え始めてしまう。今回は常連さんが風邪などの理由で何人も参加できなかったことが残念ではあるが、イベントとしては盛況だった。

 

今回も時間が足りなくなって、ジャズ曲の聴き比べを諦めることになってしまったが、その分、アドリブも加え、映像を駆使して楽しめる内容にした。オープニングは1960年のヒット曲、ボ・ディッドリーの「ロード・ランナー」である。まずはエアロスミスの「ホンキン・オン・ボー・ボー」のアタマを飾るド派手なカヴァーからスタートだ。作者版は時代色濃いライヴ映像で紹介した。続いてジェームス・テイラー、デヴィッド・サンボーン、マーカス・ミラー、ハイラム・ブロックといった錚々たるメンツでのライヴ・テイクを観た後、映画「バック・ビート」のサントラに収録されているデイヴ・グロール等によるカヴァーが、全然ビートルズの特徴をつかんでないことなどを紹介しつつ、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ザ・フーといった有名どころのカヴァーを聴いた。やはり有名ミュージシャンの個性というものは素晴らしい。

 

次にYMOの「ビハインド・ザ・マスク」を選んだ。キーボーダーのグレグ・フィリンゲインズがマイケル・ジャクソンやエリック・クラプトンのところに持ち込んだ関係で、意外なほどのビッグネームがカヴァーしているのである。マイケル・ジャクソンの素晴らしいミュージック・クリップは好評を博した。

 

次に、ジミ・ヘンドリックスのバラード2題、まずは「リトル・ウィング」だ。多くのギタリストが腕試しのようにカヴァーしている。スティーヴ・ヴァイ、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ポール・ギルバート、スティーヴ・ルカサー等の演奏を試聴しつつ、自分がベストとして選んだのはスティーヴィー・レイ・ヴォーンである。もう1曲はジミ・ヘンドリックスのデビュー・シングル「ヘイ・ジョー」である。ラベルの「ボレロ」と合体させたディープ・パープルのカヴァーや、ZZTOP、ザ・フー、レニー・クラヴィッツ、レッド・ツェッペリンなどを聴き比べた。意外に個性が出にくい曲らしい。

 

次は先月からの積み残し、キャロル・キング2題、まずは大名曲「君の友だち」だ。「つづれおり」に収録された作者版、大ヒットしたジェームス・テイラー、意外に知られていないマイケル・ジャクソンのソロ・デビュー・アルバムに収録された可愛いカヴァー、そしてダニー・ハザウェイの渋いライヴ・テイクなどを聴き比べた。これは実に多くのカヴァーを生んだ曲だが、やはりこの辺が定番だろう。もう1曲はザ・シティのアルバム冒頭を飾る「スノー・クイーン」である。本人が「パールズ」でセルフ・カヴァーもしている曲だが、ここでは渋谷系の連中が大好きだったロジャー・ニコルズ&スモール・サークル・オブ・フレンズの名カヴァーとブラッド・スエット&ティアーズのブラス・ロック・スタイルのカヴァーを選んだ。ジャジーな要素を内包する曲だけに座りがよい。

 

次はマイク・オールドフィールドの「ファミリー・マン」を見事にカヴァーしたホール&オーツ版の紹介だ。ここでは「ライヴ・フロム・ダリルズ・ハウス」というテレビ番組で、ダリル・ホールがゲストとして迎えたチープ・トリックの面々と一緒に演奏している映像を紹介した。少々粗い演奏だが、自分はこの映像が非常に好きなのである。

 

今回の特集はロッド・スチュワートである。まずはフェイセズがポール・マッカートニーの大名曲「メイビー・アイム・アメイズド」をカヴァーしたライヴ映像を紹介し、ロニー・レインには申し訳ないが、ロッドの上手さ華やかさの引き立て役になってもらった。また「ジ・アート・オブ・マッカートニー」というトリビュート・アルバムに収録されているビリー・ジョエル版も紹介した。

 

次は「トム・トラバーツ・ブルース」だ。これはさすがにトム・ウェイツの作者版に軍配が上がる気がする。映画のワン・シーンのようなアルバム・ジャケットも好きだ。「ダウンタウン・トレイン」もカヴァーしているロッドだが、この周辺ではハスキー・ヴォイスが必須らしい。もう一曲はジェリー・ゴフィンとバリー・ゴールドバーグ作の「イッツ・ノット・ザ・スポットライト」である。「アトランティック・クロッシング」でカヴァーしたテイクは素晴らしいが、少々あっさりしている。これも作者版の方が味が濃い。この曲は浅川マキや金子マリのテイクも試聴した。

 

時間切れで最後となってしまったのは、ホワイトスネイクの「ヒア・アイ・ゴー・アゲイン」である。1982年の「セインツ&シナーズ」のブルース・ロック然としたオリジナル・テイクと、1987年の大ヒットしたヘヴィメタ・スタイルのテイクの違いが面白い。アメリカ市場向けのシングル・テイクも存在し、聴き比べると意外に面白いのである。

 

2回続けて時間が足りなくなってしまったのだが、実は事前に秒単位まで計測してシミュレーションしているのである。それでも、いざ本番となると、あれこれ話したくなってしまうのだ。参加者の皆さんは楽しんでくれているようなので、とりわけ問題はないのだが、30分も足りなくなるのは、やはり問題ありという気もする。ま、それだけ楽しんでいるということで、何卒ご理解いただきたい。

 


   

         
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