0105 アナログ盤で聴きたいギター・ロック(2017.04.02.

最近、ゲイリー・クラーク・ジュニアのギターを耳にする機会が増えた。エリック・クラプトンが2010年のクロスロード・ギター・フェスティヴァルで、新人大抜擢というかたちで世にその名を知らしめたギタリストである。その後は、シェリル・クロウやアリシア・キーズなどのアルバムにフィーチャーされたり、ローリング・ストーンズの前座を務めたり、いろいろなシーンでその名を目にするようになった。2012年のアルバム「ブラック・アンド・ブルー」は強烈な印象を残したが、その後、アルバムリリースの頻度はさほど高くない。2014年に「ライヴ」、2015年に「ザ・ストーリー・オブ・ソニー・ボーイ・スリム」をリリースしたのみだが、先日「ライヴ・ノース・アメリカ2016」というライヴ盤がまた出た。やたらとライヴ盤をリリースするあたり、腕に自信があるのだろうというようにも感じるが、いかがなものか。

 

シェリル・クロウが原点回帰したような内容のアルバム「ビー・マイセルフ」がまもなくリリースされるが、ここでもゲイリー・クラーク・ジュニアは印象的なギターを弾いている。ファースト・シングル「ハーフウェイ・ゼア」は、ストレートなギター・ロック・チューンだが、一発でゲイリー・クラーク・ジュニアだと分かる個性的な音を聴かせている。先日クルマのラジオから流れてきたときに、シェリル・クロウの新曲だということと同時に、ゲイリー・クラーク・ジュニアのギターかなということまで判り、嬉しくなってしまった。

 

実はここのところ、ゲイリー・クラーク・ジュニアの「ライヴ」を頻繁に聴いているのである。もちろんアナログ盤である。「ブラック・アンド・ブルー」もあったのだが、手放してしまった。欲しいという人間がいて、譲ってしまった。少し聞き飽きていたので、さほど惜しいとは感じていなかったが、最近「買い直すか」とすら思っている。「ライヴ」を聴き続けているのは、他に適当なギター・アルバムが見当たらないという消極的な理由もあるが、やはり繰り返し聴きたくなってしまうのだ。

 

ここ数年、ジョン・メイヤー以外に聴きたくなるギターがないというと言いすぎだろうか。ノラ・ジョーンズ、ホセ・ジェイムス、ロバート・グラスパーといった、コンテンポラリーなジャズ・シーンを支えているミュージシャンばかり聴いているからということもあるが、もともと好きなギター・ロックに関しては、寂しい状況が続いているのだ。デレク・トラックスは、スーザン・テデスキと一緒にやるようになって、つまらなくなってしまったし、レッド・ホット・チリ・ペッパーズも、ギターを聴くというバンドではない。相変わらず、ローリング・ストーンズやエリック・クラプトンなどの爺さんたちのアルバムなどでしか、満足のいくギターが聴けないような気がしている。せいぜいで、エド・シーランか、グリム・スパンキーか、といったところだ。

 

もちろんいいバンドはいくらでもあるのだろう。しかし、自分の耳に届くほど売れている、もしくは注目される若手がいないのだ。自分の場合、最近の音楽に関しては、クルマのラジオで聴くJ-WAVEが全ての情報源なので、勉強不足もいところだが、それでも毎日一定時間はラジオを耳にするし、週末には成田往復である程度まとまった時間ラジオを聴くので、ヘヴィー・ローテーションでオン・エアされるものは捕捉できる。「TOKIO HOT100」もときどき聴いているし、それで自分の耳に届かなければ、やはりないのだろうと思う。いい音楽の情報は、不思議なほど集まってくるのである。

 

自分の場合、最近はアナログ・レコードでしか購入していないので、アナログ盤でのリリースがないと聴けないに近い。それでも大抵のものはYouTubeでもチェックできるし、キュレーション・マガジンなど、様々な媒体の音楽情報がウェブ上には渦巻いている。昔は雑誌などで、気になる新しいミュージシャンを見つけていた。気になる文章に出会い、音を知らずに購入しても、ハズレることはほとんどなかった。最近は、チョイ聴きでも、音を耳にしてから購入するので、ハズレることはない。しかし、聴きたいと思わせるものがないのは、それ以前の問題だ。困ったものである。

 

シェリル・クロウは、これまでアナログ盤でのリリースはほとんどない。自分がめぐり合っていないだけの可能性もあるが、結構しっかりチェックしているし、中古盤店でも見かけたことがないので、やはりアナログ・リリースがないと考えるべきだろう。しかし新盤の「ビー・マイセルフ」は、ついにアナログ盤でリリースされるのだ。アナログ盤は2ヶ月遅れでリリースされるそうだが、喜んで待とうではないか。初期のシェリル・クロウ同様、新作はいかにもアナログ盤で聴きたいと思わせる内容なのである。これを機に、初期のアルバムもアナログ盤で再発してもらえないだろうか。

 


   

         
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