0107 7 de Cinema」終了(2017.04.16.

昨夜は7インチ盤で映画音楽を聴く会「7” de Cinema」を開催した。毎月恒例のトーク・イベントだが、参加者は毎度かなり入れ替わる。映画音楽は間口が広く、極めてマニアックなファンから、単に懐かしいという方まで、誰でも楽しめるようなところがある。常連さんは自分が映画にさほど詳しくないことはよく知っているので、今回は「レベル3」、入門編ということはないが、同時に決して上級者向けでもない内容を目指した。

 

相変わらずの機器の不調のため、朝からPCを初期化するなどしながら夕刻をむかえ、最終的には10名の参加者を得て、イベントとして成り立つことにはなった。始めるころには汗ばむような陽気だったが、冷や汗も混じっていたことは気取られないようにしたつもりだったが、どうだったか。如何せん準備不足は否めず、イベントとしてのストーリーを組む余裕がなかったので、基本的に時代に沿いながら、100本ほどの盤からかけることにして、その場で選びながら進めるという荒業に出たのである。

 

最近のヘヴィ・ローテーション、「ラ・ラ・ランド」のアルバムでボリューム感に慣れて頂きながら、18時経過、プロジェクターでトレーラーを映しながら7インチ盤で音をお聞かせするというスタイルでいくことを紹介し、最初の一曲1939年「風と共に去りぬ」から「タラのテーマ」で幕開けである。続けて1952年「第三の男」、アントン・カラスのツィターの音が懐かしい大好きな曲だ。意外にいい音で鳴ることが嬉しかった。次に1957年「戦場に架ける橋」から「クワイ河マーチ」を聴きつつ、戦争の悲惨さや戦争が落としていた陰などに触れながらも、時代を変えるような娯楽作が出てきたことの例として、1958年の「監獄ロック」、1961年の「ウエスト・サイド・ストーリー」から「トゥナイト」を聴いた。まずは順調な滑り出しだったように思う。

 

時代が変わり、エポックメイキングな映画として、とてもオシャレな「シャレード」を紹介しつつ、戦争に翻弄された人々を描いた映画でありながらも、やはりとてもオシャレだったと思う「ブーベの恋人」を取り上げた。そこから60年代の展開の説明は資料等に任せることにして、時代の変化の象徴として1969年(日本での公開は1970年)「イージー・ライダー」からステッペンウルフ「ワイルドでいこう!」は外せない。ヴェトナム戦争やヒッピー・ムーヴメントなどに触れつつ、同作へのアンチテーゼ的立ち位置の作品として1972年の「グライド・イン・ブルー」を紹介したが、この盤は上手く鳴らず途中でカット、1970年「明日に向かって撃て!」に戻りB.J.トーマス「雨にぬれても」を聴いた。

 

1970年代は一連のパニック映画やカンフー映画のヒットが忘れられないが、音楽的には娯楽大作に名曲が続々という状況を解説し、1971年「小さな恋のメロディー」、名曲量産年1973年の「エクソシスト」から「チューブラー・ベルズ」、「スティング」から「エンターテイナー」、「007 死ぬのは奴らだ」を取り上げた。さらには、ジョン・ウィリアムズの一連の作品を紹介しつつ、ベタだったかもしれないが1977年「スター・ウォーズ」とともに、1978年「未知との遭遇」のアタマのワン・フレーズのみをお聞かせした。

 

さらにベタな路線と言いつつ、1977年「ロッキー」の第1作、そして、どうしても聴きたくなるとして1982年「ロッキー3」からサバイバーの「アイ・オブ・ザ・タイガー」を続けた。ここでは格闘技つながりで、ブルース・リーの1973年「燃えよドラゴン」もワン・フレーズのみで失敬した。面白いところでジャッキー・チェン主演の1978年「酔拳」のサントラは四人囃子ということで「拳法混乱」も聴いた。一方大ディスコ・ブームで一躍時の人となったジョン・トラボルタに関しては、1978年の「グリース」を取り上げ、オリビア・ニュートン・ジョンとの「愛のデュエット」を紹介した。

 

70年代を一通り俯瞰し、時間調整に1971年「バニシング・ポイント」からマウンテンの「ミシシッピー・クィーン」、1980年「復活の日」からテオ・マセロ作編曲、ジャニス・イアンが歌う「ユー・アー・ラヴ」を聴いたが、さほど面白くなかった。「角川映画のカネの使い方は~」という話題で80年代に突入である。ここらでPCが再起動してくれたが、「南極物語」「バウンティ」「ブレードランナー」など一連のヴァンゲリス作品を紹介し、1982年「炎のランナー」を聴いた。ジョン・ウィリアムズとの対比として、オーケストラでは難しい低音が豊富なヴァンゲリスの音を紹介できたあたりが、自分としては最も面白かったのだが、機器の不調でバタバタしてしまったことが残念だ。

 

邦画もということで、1984年「風の谷のナウシカ」、1981年「ねらわれた学園」からユーミンの「守ってあげたい」、同じく1981年「スローなブギにしてくれ」を取り上げたものの、あめり受けはよくなかったようだ。ここから80年代の娯楽大作は、多くを語らずどんどん流すということにして、まずは1982年「愛と青春の旅だち」、1984年「カリブの熱い夜(アゲインスト・オール・オッズ)」を紹介した。そしてこれはサントラと言うかと非難されつつ、ピンク・フロイドの1983年「ザ・ウォール」も聴いた。あくまで自分の趣味である。また同年の「フラッシュダンス」からはマイケル・センベロの「マニアック」、リクエストを受けて、1981年「ミスター・アーサー」からクリストファー・クロスの「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」、1986年「アメリカ物語」からリンダ・ロンシュタット&ジェイムス・イングラムの「サムホエア・アウト・ゼア」も聴いた。グッドである。

 

終盤、さらに語ることは避け、イントロあてクイズ的にお聞かせしたのは、1985年「バック・トゥ・ザ・フューチャー」からヒューイ・ルイス&ザ・ニュース「パワー・オブ・ラヴ」、1984年「ゴーストバスターズ」、同年「フットルース」からはマイク・レノ&アン・ウィルソン「パラダイス」、そして1986年「トップガン」からはベルリン「愛は吐息のように」といったところである。ベタではあるが、懐かしい。これらとともに青春時代を過ごした方には宝物の数々である。

 

ここで時間切れ、最後の一曲は2015年の「007 スペクター」からサム・スミス「ライティングス・オン・ザ・ウォール」の封切りである。初めて針を落とすのでいい音で鳴るのは当然と言いたいが、そうとも言い切れないところがアナログであって、少々心配したが、サム・スミスの美声は実に見事に響きわたってくれた。幕切れには相応しい一曲だったのではなかろうか。

 

無限にある映画音楽の中から、40曲程度を選び出すこと自体、かなり困難な作業だったが、ヒット曲中心とはいえ時代を反映した作品になるよう心がけた。トレーラーを観ながらというのも結構面白かった。はてさせ、皆さんご満足いただけただろうか。趣味趣向は千差万別、万人受けを狙っても詮無いが、青春の記憶をくすぐられたか、「明日への活力になった」などといった声が嬉しくもある。なかなか面白い時間をシェアさせていただいた。

 


   

         
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