0108 7” de 80s」準備中(2017.04.23.

5月のトークイベントのお題は「7" de 80s」、7インチ盤で聴く1980年代ミュージック特集である。これまで単一年、もしくは3年区切りで特集してきたが、80年代一括である。1981年から1990年までと言いたいところだが、資料の都合上、1989年までの9年間を対象とする予定だ。ぞっとするボリュームの資料づくりの最中である。とにかく、1960年生まれの自分にとって、決して得意とする時代ではない。音楽に対する情熱がさめたとは言わないが、10代の頃とは異なるスタンスで接してきた時代である。81年に大学生となり、85年に就職した。いろいろ忙しかった時代だ。それでもミュージック・クリップの普及とともに、洋楽が身近な存在となった時代である。音的には、いかにもバブリーなハードロックとシンセポップが溢れていた。楽しい時代だったが、個人的には思い出したくもない記憶とリンクした音が、これでもかと蘇えってくる。…ぞっとしている。

 

あえて7インチ盤で聴くというスタイルのイベントにしたのは、こうでもしない限り、かけたい曲が多すぎて絞り込めないからである。6×6=36枚の7インチ盤のスリーヴでデザインしたチラシを作ったものの、これが全部かけられるわけでもないと思い、むしろ寂しくなっている。ポリスもハワード・ジョーンズもTOTOもジョー・ジャクソンも、1曲ずつで語れるミュージシャンではない。ボン・ジョヴィやデフ・レパードだって同様だ。個々に特集を組んで、30曲ずつかけたいところだ。

 

ハワード・ジョーンズ、A-HA、ティアーズ・フォー・フィアーズ、デュラン・デュラン、メン・アット・ワーク、ブライアン・アダムス、ワム!のように、時代の色が濃いものは外せない気もする。どの曲をかけるかはやはり悩ましいところだが、80年代を彩った曲が30~40曲まとめて聴けるとなると、それなりに面白そうだ。自分の好みのものかというと決してそうではないのだが、時代を語ることができる曲群であることは確かだ。

 

映画も大作ぞろいである。「炎のランナー」「愛と青春の旅だち」「カリブの熱い夜」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「フットルース」「ゴーストバスターズ」「トップガン」「ロッキー3」…、音楽で語れる映画がいっぱいある。さあどうしたものか。ここから2~3曲と言われても、無理だ。絞り込めるわけがない。7インチ盤で聴くということで制約を課して強引に絞り込む必要があるのだ。…しかし、例に出したものは全て手元にある。やれやれ、どうしたものか。

 

問題はマイケル・ジャクソンやピーター・ガブリエルやZZTOPのように、ミュージック・クリップを観なければ消化不良になりそうな曲も多いことだ。7インチ盤で音をお聴かせすることができる、できないではなく、例外的に映像を観ることにしないと、自分自身も含め、皆さん欲求不満に陥りそうだ。そもそも、この時代の特色は、音楽を映像付きで楽しむことが一般的になったことではないか。VHS対ベータマックスなどという規格戦争もあったが、ベスト・ヒットUSAやMTVなど、一生懸命録画したものだ。もう少し前はエアチェック、すなわちラジオ放送をカセットテープに録音して、ウォークマンで聴くという行為が、音楽好きの行動パターンではあったはずだが、録画という行為は特別に趣味的な色合いが濃いわけではなかったように記憶している。つまり皆やっていたように思う。

 

1982年にCDが発売になり、86年にはレコードが主要メディアの座をCDに明け渡した。80年代後半は、古いレコードが安売りされていた時代でもある。自分はこの時期に随分多くレコードを買い集めたものだが、この行為は一般的ではなかったはずだ。そもそも7インチ盤の売場は縮小の一途だったが、80年代に7インチ盤を探し求めていた人間は皆無だったのではなかろうか。プラザ合意を持ち出すまでもなく、タワー・レコードなどのおかげで安価な輸入盤が入手できるようになり、LPで聴くことが当たり前になった時代である。12インチ盤のブームもあって、好んで7インチ盤を買う人間は皆無だった。今回のイベントも「12” de 80s」にしておけばよかったのかもしれないが、自分はさほど熱心に12インチを集めたクチではないので、イベントとして成立しない。

 

そんなわけで、7インチ盤で聴く80年代の音楽というイベントが、実は非常に難しいものなのだということが言いたいのだが、こればかりは実物を目にした方でないと、なかなかご理解いただけないのだ。例えばマイケル・ジャクソンの「スリラー」しかり、ティアーズ・フォー・フィアーズの「シャウト」しかり、超有名曲でも「こんなスリーヴだったんだ」という感想しか聞かれないのが一般的なのである。前述の有名曲を36曲並べたチラシを手にしたお客様が、「ほとんど判る、でもほとんど見たことない」とおっしゃったことが、全てを物語っているようにも思えるのだ。ありそうでなかなかあり得ない貴重な体験になるかもしれない「7” de 80s」、どうぞお楽しみに!!

 


   

         
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