0109 80sという時代の音(2017.04.30.

5月のトーク・イベントの準備で80s漬けになっている。何せ9年分もの資料を作成しなければならないので、早め早めに行動しており、結果的にいつもより早く資料が出来上がってしまった。ビルボードの年間100だけでも凄い作業量になるのはご理解いただけるだろう。シングル・ヒットに関しては、ウェブ上にもいっぱいデータが掲載されているのだが、アルバム・チャートとなると途端に情報が減ってしまう。しかもスペル・ミスが多かったリ、バンド名の「The」は元データも含め省略されており、完全なカタチにするのに随分手間がかかるのである。映画の興行収入ランキングや受賞作品の一覧などは、妙に詳しく正確なデータが掲載されており、こちらはいかにシェイプ・アップするかに苦労するのだが、その差異が面白い。

 

また、当時の空気感を蘇らせるのに必要な「流行」に関する資料は、ファッションや書籍なども含め、複数の情報源からデータを集めてマッシュアップしているので、これまた結構な作業量になる。バブリーな時期だけに、「ワンレン」「ボディコン」などというキーワードが懐かしいが、「女性の太い眉毛」などといった部分に関しては、懐かしさだけでは済まされないものがある。「石原真理子とか眉毛太かったよね~」は80sイベントのお約束的話題ではあるが、何だか思い出したくない思い出に分類されそうだ。肩パットの入ったダボダボのスーツを着ていた自分のわきに立っていた女性の眉毛がどうだったか、思い出せないし、思い出したくもない。避けて通りたい話題ばかりが思い出されていけない。

 

音楽的には、やはりハードロック・ブームを思い切り楽しんだクチなので、ホワイトスネイクやデフ・レパードなどが懐かしさの中心にあるが、ポイズン、シンデレラ、ドッケン、グレイト・ホワイト、ジェフリアなどもう何十年も耳にしていない連中に、いちいち飛び上がりそうなほどの懐かしさを覚えている。ヴァン・ヘイレンやボン・ジョヴィなど、いまだに時々耳にするものは、こんなに売れていたかという別の感慨もある。また、ZZ Topもシングル・ヒット連発だったし、エアロスミスの見事な復活劇も痛快だった。楽しい時代だったとは思う。その一方で、ガンズン・ローゼスやモトリー・クルーが驚くほどチャートの上位にランク・インしているのには、正直なところ、データが正しいか心配になってしまい、いろいろ調べ直してしまった。

 

ビルボードのヒット・チャートに違和感を覚えたことは、決して勘違いではなかったようだ。この時期、ヒット・チャートはもう追いかけていなかったことと、主な情報源がラジオではなくテレビになったことで、ミュージック・クリップのオン・エアに記憶が引っ張られているのだ。ミュージック・クリップといえば、どうしてもマイケル・ジャクソンということになるが、年間のアルバム・チャートで、「スリラー」が1983年と84年の2年連続で制覇しているあたりは、記憶としっかりリンクしている。その他にも、複数年にわたり年間トップ100にランク・インしているアルバムの多いこと。大作が続々リリースされ、ロング・ラン・ヒットとなりがちだった素晴らしい時代なのである。この時代の音楽を思う存分楽しめたことはラッキーだったと思う。その一方で、80年代に10代を過ごしたという人々は、自分よりももっと思い入れがあったのだろうから、やはり羨ましい限りだ。

 

自分はどうしても70年代にティーンだった人間なので、70sの方が思い入れはある。そんな人間にとって、80年代のビルボードの資料を見ていて面白いのは、1982年と83年の年間トップ100アルバムズである。何せピンク・フロイドの「狂気 Dark Side Of The Moon」がランク・インしているのだ。2年連続でトップ100にランク・インするだけでも凄いことだが、19733月にリリースされたアルバムが、82年に65位、83年に95位にランク・インしているのである。何せ741週にわたってヒット・チャートにランク・インしていたというクレイジーな記録を持っているアルバムだ。もちろん1980年の年間1位のアルバム「ザ・ウォール」の影響もあるとは思うが、やはり凄い。

 

80sといえば、キラキラ、ピコピコ、といったイメージが拭えないのだが、ハードロックの時代だったことも忘れてはならない。ハートやジャーニー、スティックス、REOスピードワゴン、フォリナーなど、普通にハードなロックをやっていた連中も、ヒット・チャートの常連だったのである。ブライアン・アダムスやケニー・ロギンスなど、ポップな連中も十分以上にハードロック的な音を出していた。ロック好きには本当に楽しい時代だったのでる。もっと言えば、ウルトラヴォックスのように、ピコピコしたサウンドの連中でさえ、「ニュー・ヨーロピアンズ」のような激しいギター・リフを持った曲をヒットさせていたりする。ジャクソン・ファミリーやコモドアーズ、クール&ザ・ギャングなどが奏でていた、ダンサブルなブラコンも確かに時代の音ではあるのだが、メロディアスなハードロック・ギターも、80sという時代の音であることは間違いないのである。

 


   

         
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