0112 メタルの時代、バラードの時代(2017.05.21.

昨夜は毎月恒例のトーク・イベントだった。お題は「7インチ盤で聴く1980年代」という、実に企画倒れ的なものだった。やはりミュージック・クリップが流行った時代だけに、7インチ盤でごり押しするのも自己満足の度が過ぎるかということで、急遽映像も駆使することにしたため、毎度のことながら直前にバタバタしてしまった。かけたい曲が140曲ほどあって、全曲のミュージック・クリップをダウンロードしたりしてみたが、所詮3時間ほどのイベント、40曲程度しかかけられない。悶々としていたが、思い切って丸一曲かけるものを30曲まで絞り、トークの時間にミックス動画を割り当て、残る110曲を数十秒ずつでもかけてしまおうという強引な手段に出たのである。

 

いやはや、思いついたら手が止まらない人間なので、4日ほどは睡眠時間を削って動画編集ソフトと格闘するハメになってしまった。有料の高機能なアプリを使えばもっといい感じに仕上げられたかもしれないが、OSにバンドルされた無料のもので切り貼りしただけのラフなミックスである。それでもこの作業は非常に楽しかった。素材の曲のどの部分が好きだったのか、どこを繋げは格好良いかを真剣に考えながら、短期間でイベント本番に間に合わせたわけで、少し前に比べると格段に愛着が増した。音質の悪さはどうしようもないので諦めるしかなかったが、どうしてもという曲を抽出する作業は楽しいに決まっている。今回はイベントに参加された皆さんのリアクションも大きく、喜んでもらえたことが見てとれた。これまた嬉しいではないか。「懐かしい!!」「この曲、好きだった!!」「この人たちのライヴに行った!!」「これ、カラオケで歌う曲」といった声が度々聞こえるという状況は、ここしばらくではなかったので余計だ。

 

イベントは18時スタートだが、17時頃から80sオンリーにしておいて、1730分ごろからはもうヴィデオがスタートしていたのである。1750分から18時の間は80年代に流れていたサントリーのCMをミックスしておいたものを流し、18時キッカリにイベントがスタートした。まずはボン・ジョヴィの「禁じられた愛 You Give Love A Bad Name」である。出だしの格好よさ、インパクトで右にでるものはない。しばらくは80年代を象徴する曲を続けるとして、エイジア「ヒート・オブ・ザ・モーメント」、ロバート・パーマー「アディクテッド・トゥ・ラヴ」、ホール&オーツ「プライヴェート・アイズ」、クォーターフラッシュ「ミスティ・ハート Harden My Heart」、スティーヴ・ペリー「オー・シェリー」といったところである。

 

ここで前述のミックス動画1本目「80s Pops」約13分を流した。ジョージ・マイケル、フィリップ・ベイリー&フィル・コリンズ、ベリンダ・カーライル、トンプソン・ツインズ、スタイル・カウンシル、フーターズ、スティング、キム・カーンズ、メン・アット・ワーク、スティーヴィー・ワンダーそしてマイケル・ジャクソンといったあたりである。続いて博愛主義の時代の象徴として、バンド・エイド「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」とUSAフォー・アフリカ「ウィ・アー・ザ・ワールド」をフル・バージョンで続けて観た。当時人気のあったミュージシャンがこぞって出演しているこの2曲はやはり必須だろう。

 

さらにはパンクの荒波を乗り越えて、ハードロック、ヘヴィメタルの時代を築いた連中を紹介するとして、ミックス動画2本目「80s Rocks」約12分半をご覧にいれた。ジョーン・ジェット、ウルトラヴォックス、ブルース・スプリングスティーン、ヴァン・ヘイレン、ZZTop、ラット、ウォレントなどなど、過度に様式美化していくヘヴィメタルと、自虐的に笑いの要素を加味したZZTopやツイステッド・シスターなど、バラエティに富んだ内容だ。その他にも、髪の毛が短くてもロックはできると示したブライアン・アダムス、ルックスがとりわけよくなくてもヒットを飛ばせることを示したヒューイ・ルイスなどもいたし、クイーンやデヴィッド・ボウイなどヴェテラン勢が頑張っているなか、デュラン・デュランやU2などの新しいロックもあり、実に雑多な楽しい時代だったのである。

 

次にその実例として丸一曲聴いたのは、まずエアロスミスの復活にまで繋がっていく、ある意味、時代の変節点になったRUN-DMC「ウォーク・ディス・ウェイ」を紹介し、グロリア・エステファン&マイアミ・サウンド・マシーン「コンガ」、ネーナ「ロックバルーンは99 99Luftballons」といった多彩さも80s特有のものということを示した。ヴェテラン勢としてはイエス、クイーン+デヴィッド・ボウイ、スターシップ、スティーヴ・ウィンウッドなどである。

 

さらにA-Haやザ・ポリスなどを聴いたのち、新しいものの例として外せないのは、何といってもハワード・ジョーンズである。ティアーズ・フォー・フィアーズやピーター・ガブリエルも聴きつつ、カセットテープの時代ということでテリ・デザリオが歌う「オーバーナイト・サクセス」の素敵なオーディション・シーンのヴィデオを観た。これは懐かしかったと非常に好評だった。ここらで終了時間が見えてきたので調整に入り、どうしても見ておきたかったものとしてチャカ・カーン「アイ・フィール・フォー・ユー」、ヨーロッパ「ファイナル・カウントダウン」、そして忘れられないデフ・レパード「シュガー・オン・ミー」を聴いた。

 

最終節として用意していたのは約11分のミックス動画「80s Ballads」である。ジャンルが細分化していく中、メタル・バラードの大ヒットが続き、普通にバラードをやるにもルックスはメタルっぽくなっていった実例としてハートやホワイトスネイクを示し、それらの源流を辿ると行きつくのはフォリナーの「ガール・ライク・ユー」や「アイ・ウォナ・ノウ」ではなかろうかという自説を展開して21時をまわり、終了となった。

 

結局のところ、9年分もの素材と格闘して無理矢理3時間に突っ込んだもので、80s満腹状態を満喫していただいた。ビルボードの年間チャートや角川映画一覧、高視聴率テレビ番組一覧など、40ページの資料をお配りしながらも、結局全く使わなかった。年表や流行のページなど、眺めているだけでも時代の空気感は蘇ってくる面白いものだったが、勿体ないことをした。いかにギュー詰めの内容だったかを物語る材料にはなるだろう。自己満足もここまで徹底すれば、少しは成果と見ていただけるようだ。さて次回からは1970年代を年ごとに追っていくことになる。上手く脳ミソが切り替わってくれるか、若干不安もある。

 


   

         
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