0118 気まぐれ(2017.07.02.

昨夜は恒例のトーク・イベントだった。お題は「1973年」最も得意とする時期だ。学校があまり好きではない音楽小僧という、どこにでもいるタイプの13歳は、どうやら部分的に普通ではない記憶力を発揮するところもあるらしく、44年前のラジオから流れてきたヒット曲やDJの語りなどもまだ鮮明に憶えていたりする。カフェでお客様と会話しているなかで、時々気持ち悪がられることもある。このトーク・イベントに集まってくる方々は、皆さん普通以上に音楽が好きな方たちなので、「よく憶えているなあ」で済まされるが、やはり不思議に思われることもあるようだ。「普通に音楽が好きという程度では近づき難いイベントになってしまっているのかも」という指摘もあり、今後はしばらく休憩することにしたのだが、限界を超えているとも言われる多忙な日々の中、必然だったかもしれない。

 

さて、イベントはT.Rexのベスト盤を流して開始時刻の18時を待っていた。数分前まで1曲目はドゥービー・ブラザースの「ロング・トレイン・ランニン」にするつもりだったが、気まぐれをおこして変更してしまった。1757分からディープ・パープルの「ウーマン・フロム・トーキョー」の7インチ盤をかけ、聴き比べられるように18時からLPヴァージョンの同曲を聴くというかたちでスタートしたのである。際立って粗い編集が印象的な7インチ盤は256秒、LP550秒、浮遊感タップリのミドル・セクションがごっそりカットされているのである。毎度元気な曲からスタートすることにしているので、問題はない。

 

2曲目がドゥービーズ、3曲目はムーディ・ブルースの「ロックン・ロール・シンガー I’m Just A Singer (In A Rock And Roll Band)」、そしてカーペンターズの「イエスタデイ・ワンスモア」と、ここまで時代の象徴的な曲を続けてみた。次に日本独自に人気がある洋楽として、フランソワーズ・アルディ「さよならを教えて」とスージー・クワトロ「キャン・ザ・キャン」を選んだ。正直なところ、100曲以上ある候補から30曲に絞るのは無理だった。試みては思考停止に陥ることを繰り返し、40曲程度を手元に準備しての本番である。最も恐れるべきは、自分の気まぐれな性格といったところである。

 

ここからはビルボードの年間Hot100である。まずは100位から71位までの30曲を30秒ずつ映像で観ていただいて、ここから選んだのはエドガー・ウィンター・グループ「フリー・ライド」、デオダート「ツァラトゥストラはかく語りき(2001)」、ローリング・ストーンズ「悲しみのアンジー」、ポール・サイモン「僕のコダクローム」、スティーリー・ダンの「ドゥ・イット・アゲイン」の5曲である。上位に名曲がひしめいていることは分かっていても、好きなものは好き、語りもいつもより多くなってしまい、ここまでで予定より10分押している状況だった。

 

続いて70位から41位を観た後聴いたのは、2曲続けてということになるスティーリー・ダン「輝く季節 Reelin’ In The Years」、アルバム・チャートのNo.1でもあり既に3曲目の登場となるウォー「シスコ・キッド」、ロギンス&メッシーナ「ママはダンスを踊らない」、グラディス・ナイト&ピップス「夜汽車よ!ジョージアへ」、そしてジョージ・ハリスン「ギブ・ミー・ラブ」の5曲である。下位で5曲ずつは少々多いかと思うが、年間の100位に入っているだけでも十分に大ヒット曲である。時代を象徴するものであることに変わりはない。

 

40位から21は4曲、シールズ&クロフツ「ダイヤモンド・ガール」、スティーラーズ・ホイール「スタック・イン・ザ・ミドル・ウィズ・ユー」、スカイラーク「ワイルドフラワー」と少々マイナー路線を選んだ後、派手めのグランド・ファンク・レイルロード「アメリカン・バンド」で気持ちよく開き直ることができた。3分の2を終えたこの時点で15分押し、残る20曲は全てかけたい名曲揃いである。参加者の皆さんの声を耳から消すことに専念した。

 

さて、そのTop20からは、どうしてもかけたい4曲を抽出した。シェール「ハーフ・ブリード」、ストーリーズ「ブラザー・ルイ」、ダイアナ・ロス「タッチ・ミー・イン・ザ・モーニング」、そして年間第2位のジム・クロウチ「リロイ・ブラウンは悪い奴」である。マッカートニーの「マイ・ラブ」も、エルトン・ジョンの「クロコダイル・ロック」も、そして年間1位のドーン「幸せの黄色いリボン」もオミットである。いやあ、辛い、辛い。

 

この期に及んで、どうしてもかけたくなったその他は、アルバート・ハモンド「カリフォルニアの青い空」、レッド・ツェッペリン「ディジャ・メイク・ハー」、「迷信」はどちらにするかを参加者の皆さんに問いかけ、オリジナルのスティーヴィー・ワンダーで聴き、さらにはポール・マッカートニー&ウィングス「007 死ぬのは奴らだ」とした。ここで時間切れ、最後はロバータ・フラックの「やさしく歌って」で締めと思っていたが、ついついここでまた気まぐれが頭をもたげてしまった。急いで販売用の7インチの箱に駆け寄り、戻ってきてかけたのは、映画「スティング」のサントラ、マーヴィン・ハムリッシュの「ジ・エンターテイナー」である。もちろん、これはあくまでイベント本番での選曲への拘り、終了後、続けて「やさしく歌って」はお聴かせした。

 

毎度3時間では全然足りないと思いつつやっているが、参加者さんは「もう腹いっぱい」という。やはりやり方を少し考えないといけない時期にきているような気もする。音楽的な好みはまちまちの皆さんが、100%満足していただけるものをやろうとするのは無理がある。やはり自分の好みを中心に据えて、割り切らないことには運営が立ち行かない。ロック好き、ソウル好きが集う中、ポップス好きの自分が最小公倍数的にやるものが面白いかどうか何とも言えないが、しばらくは悩んでみるしかなさそうだ。…ああ、やっぱりカーリー・サイモン「うつろな愛」はかけたかったなぁ…。

 


   

         
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