0124 語りたい時代(2017.08.20.

しばらくお休みしていたトークイベントを再開する。お客様のご要望もあるが、やはりうちのカフェのアイデンティティとして、こういうイベントもやっているということが定着してきているようなのだ。しっかり資料も作り込んで準備し、態勢を立て直すにはもう少し時間が欲しかったが、あまり時間をあけずに続けることも大事と判断した。まずは「1974年」だ。自分が思い切り洋楽にハマり込んでいく時期であり、諸々の場面において自我に目覚めた頃である。年表的にも非常に面白い時期であり、語るべきことが多い。思うところが深く、語り始めたら止まらないかもしれない。

 

前回1974年をテーマにしたのが昨年の4月であり、準備中にキース・エマーソンの訃報が飛び込んできて、非常に悲しい思いの中で開催したものだった。昨年はデヴィッド・ボウイやグレン・フライなど、年明け早々から有名ミュージシャンの訃報が続いており、寂しさに塗れていた。仕舞いにはジョン・ウェットンやグレッグ・レイクまで亡くなり、世界中のプログレッシヴ・ロック・ファンが悲しい思いをした年だった。70年代前半は英国産プログレ人気が頂点に達していた時代であり、ELPの他にもキング・クリムゾン、イエス、ピンク・フロイドなどは非常に人気があった。少し遅れてジェネシスも参戦してきて、5大プログレ・バンドなどと呼ばれていたが、いずれもが懐かしい。70年代を通してクオリティの高い盤を堪能できたことは、本当にラッキーだったと思う。年齢的なこともあり、今後もミュージシャンの訃報は続くのだろうが、あらためて音源を聞き返すなどして弔いとするにしても、あまり忙しくならないことを望みたい。

 

1974年といえば、エリック・クラプトンの「アイ・ショット・ザ・シェリフ」の世界的ヒットでレゲエが注目された年である。前回はクリス・ブラックウェル率いるアイランド・レーベルの存在意義や奥深さについてのトークにかなりの時間を割いたが、今回はどうしたものか。前回かけた曲をすべて除外してセットリストを組むこともできるが、やはり時代の象徴的な曲は数曲ダブってでもかけるべきだろう。「アイ・ショット・ザ・シェリフ」は既に当確だと考えている。一方でブラック・パワーの台頭もあり、また英国ではグラム・ロックの大ブームのさなかというわけで、ポップ・ミュージックが懐かしいという浅薄なはなしでは時代感覚も蘇らない。問題は、諸々考慮した末に当日の気まぐれでガサっと入れ替えることもやらかす人間だということで、どうなるかはやってみないと分からない。いずれにせよ、曲もネタも溢れているので、楽しいものにはなりそうだ。

 

今回スティーヴィー・ワンダーに関しては何曲かかけないわけにはいかない。前回あれこれ考えすぎてスティーヴィーの曲がすべて抜け落ちてしまったのだ。当時のヒット曲でも、とりわけ時代感覚を蘇らせる70年代色の濃いものが多いので、かける方も扱い易いことになる。名盤「インナー・ヴィジョンズ」からのシングル・カット「くよくよするなよ! Don’t You Worry ‘Bout A Thing」はインコグニートのカヴァーも懐かしいが、オリジナルの存在感はもの凄い。個人的にも大好きな曲でもある。また74年にリリースされた「ファースト・フィナーレ」からは「悪夢 You Haven’t Done Nothin’」や「レゲ・ウーマン Boogie On Reggae Woman(日本では「1000億光年の彼方」がA面だった)などが立て続けにヒットしていた。まさに絶頂期である。

 

また前回、アフター・アワーズへのブリッジとしてかけたスージー・クアトロも少し取り上げたいと思っている。こと洋楽に関しては、ビルボードやキャッシュボックスのヒットチャートが資料性も高く、データもしっかりしていることから素材となり勝ちだが、当時は日本独自のヒット曲も多く、スージー・クアトロのようなミュージシャンは忘れられやすいのだ。実際にラジオから流れていた回数などから考えても、結構人気があったはずなのに、現代では過小評価されてしまうミュージシャンにも光を当てなければいけない気がしているのだ。グラム・ロックに分類されるマッドやジョーディーも、英国ではヒットしているものの、アメリカではあまり売れていないので「忘れていませんか?」と言いたくなる代表である。

 

映画音楽の扱いは難しいことになるのが1974年だ。前年1973年がヒット作量産年だったので、その分影が薄いだけという気もしないでもないが、「ゴッドファーザーPartII」やパニックものの「エアポート1975」や「タワーリング・インフェルノ」あたりが有名なところで、とりたてて音楽的に惹かれるものがない。大好きな「ハリーとトント」もあるけど、音楽イベントでは扱いにくい。

 

日本人は、もっと難しい。殿様キングスのメガ・ヒットは見えないこととして、和製ジャクソン5、フィンガー5の「恋のダイヤル6700」や、小泉今日子のカヴァーも懐かしい「学園天国」あたりでもかけようかと考えている。確かにもの凄い人気だった。冷めたガキだった自分は、マネジメントも自分たちでやっているという一事が気になって、妙に記憶に残っているのだが…、さあ時間がいくらあっても足りない。少しトークの割合を増やすかな…。

 


   

         
 Links : GINGER.TOKYO  saramawashi.com  Facebook  
 Mail to :  takayama@saramawashi.com     
 Sorry, it's Japanese Sight & All Rights Reserved.