0126 アウスゲイル、オススメ!(2017.09.03.

アイスランドのアウスゲイルが耳について離れない。どうしても気になって、2014年にリリースされた「In The Silence」というアルバムを購入してみた。いかにもアナログで聴いてみたい内容なので、これはこれで正解だったと思う。ただ、これまで聴いてきたミュージシャンのように、すんなりと入ってこないところもある。大好きになりそうな気はしているが、しばらく時間を要するようだ。これまでも大好きな盤は、そうなるまでに時間がかかったものが多い。面白いものだ。

 

ラジオで聴いて、毎度「ジェイムス・ブレイクか?」と思うも、「いや、違うかな」と思い直す。声も同系統だが、如何せん音質が素晴らしい。ラジオで聴いていてその音のよさが気になるミュージシャンは少ない。ジェイムス・ブレイク以来か。MALAあたりのポスト・ダブステップなどと括られる一派あたりの音源をカーラジオで聴いたときには、思わずクルマを止めて聴き入ったが、それと似たような感触だ。レコードを買って曲を聴いてみたいと思うようになるまでは、さほど時間はかからなかった。しかしもう少し聴いてからと思いつつ、忙しさのあまり忘れていた。それでも時々、ふとした拍子に思い出してしまうので、やはり好きなタイプの音楽なのだろう。

 

芯はあるものの柔らかな声質のヴォーカルと、個性的な楽器の音が、ただ者ではないオーラを撒き散らしている。映像絡みの音源かと思わせるものもある。かなり若いことは声から知れるが、現時点で25歳だという。2014年から繰り返し来日しており、一部の日本人には非常に馴染み深いという。フジロック2014のラインナップにも名前が見える。今年もきていたので、最近よくラジオで耳にしたのだと思うが、いいミュージシャンは世界中に埋もれている。

 

最近の自分は、どうしても年代ごとに曲を聞かせるイベントをやっていることもあって、古いものばかり聴いている。自分を音楽好きにしてくれた往年のヒット曲にたっぷりの敬意を表したイベントではあるので、そうならざるを得ないのだが、アウスゲイルのようなミュージシャンを聞かないでいることは勿体ないという気持ちもある。梁山泊的なブルーノートのミュージシャンは当然ながらチェックしているが、その他の新しいミュージシャンとなると、TOKIO HOT100にでもランクインしてくれないと、知りようがない。さすがにこの年齢になって、新しいものを開拓し続けるというのも違和感のある行為だろう。好きな盤が山ほどあって、死ぬまでにあと何回聴けるかという思いがある一方で、新しいものを開拓するのはなかなか勇気も要るのだ。

 

アウスゲイルに関しては、まだ語るには少し早いかという印象も持っているのだが、如何せん英米のポップ・ミュージックとは明らかに違う、落ち着いた佇まいが、「語れ!」と言ってくる。来日公演も終わったタイミングで語るべきものはライヴ・レポート以外にあるのかと思わなくもないが、やはりこのミュージシャンに関しては、少しでも早く触れておくべきという印象なのだ。以前にも同じ思いをしたことがある。サム・スミスのデビュー時だ。世界的な大ブレイクをやらかす半年ほど前に、下町音楽夜話で触れていたので、お気づきの方もいらっしゃるか。どういった目的で書いているのかもよく分からない音楽エッセイで、タイミングにこだわることの意味は、やはり全体のクオリティの維持である。今、アウスゲイルについて語っていることが何を意味するのか、もう随分遅いではないかと思わなくもないが、やはり自分のカフェで定番的に流していたい盤として名を挙げたいと思うのである。

 

ジェイムス・ブレイクは、しばらくハマりにハマって、カフェでも流しまくっていた。結局その音源についてお客様と語ることはなかったが、分かる人はやはり声をかけてくれる。「お好きですか?」「音、いいですよね。」といった程度の会話をお会計時に交わす程度の瞬間的な交流でも、その人間を見る目は変わってしまう。「ワカルヒトダ」というデータがインプットされたお客様の顔は忘れない。

 

さて、アウスゲイルに関しては、今年5月にリリースされたニュー・アルバム「AFTERGLOW」についても語らなければいけない。こちらも既にアナログ盤で入手し、聴いてはいるのだが、「In The Silence」ほどの存在感は覚えていない。おそらく、こちらももう少ししたら大好きな盤になるであろう。ただ、昨今のオーディオの現状からしても、非常にクオリティの高いアルバムである上に、音や声の心地よさは相変わらずである。もう少しすればタップリ語るかもしれないが、フライング気味を承知でここに書き記しておく。アウスゲイル、非常にオススメである。

 


   

         
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