0131 FMラジオのAM化(2017.10.09.

清澄白河のカフェ・ジンジャー・ドット・トーキョー内には、ショップ・イン・ショップ形式で7インチ盤専門店「45rpm.tokyo」がある。約1,500枚の7インチ盤が販売されているが、その他にもバックアップが数百枚ある。これには簡単には手放せない非売品も含まれており、売りレコードは何枚あるの?と訊かれても、簡単には答えられない。いろいろ考えても、「1,500枚程度です。」としか言えないのである。1枚10万円近い価格で取引されているデヴィッド・ボウイの「スターマン」のピクチャー・ディスクや、リトル・エヴァの「ロコ・モーション」など、簡単には手放せないものも多く含まれているところがミソだ。洋楽邦楽の割合は大体2:1といったところだが、正確な枚数は分からない。

 

45rpmに関して言えば、ある程度全国区ということになる。7インチ盤目当てでご来店くださるお客様の1割程度かそれ以上は、地方からわざわざいらっしゃった方々なのである。鹿児島、岐阜、飛騨高山、名古屋、北九州、滋賀といった遠いところからお越しいただいたお客様には、本当に心から感謝している。もう少しマメに45rpmの情報を発信したいとは常々思っているが、なかなか実現しない。しかし先日から、複数のお客様のご要望もあって、ウェブサイトの更新を含め、現物の整理にもトライしてみたのである。これが、なかなか楽しい作業なのだが、ついつい見てしまったり、聴いてみたりということで、遅々として進まない。緊張感不足と言われれば仕方ないが、「好き」を仕事にしている典型なので、申し訳ないがそこは譲れない。

 

サブカル的な情報も含め、ローカル・メディア的に情報発信をするために作ったハコであるという部分は、開店当初からブレないでやっている。メディアに取り上げてもらえるというメリットも随分享受したし、そもそもSNSの時代になって、御贔屓筋がどんどん発信してくれるので、昔とは広報活動というものが大きく様変わりしてしまった。ある意味「45rpm」も、カフェの集客につながればと楽しみ半分にやっているものなので、情報発信に関してはやりたいときにやっていた。しかし、お問合せが増えてくるにつけ、ウェブサイトなどをもっとしっかり作りこみ、最新の情報を維持していかなければいけないと痛感したのである。お客様から「情報が古い、更新されていない」ということは時々指摘されていたし、「早く日本人の部分も作って」というご要望もいただいていた。忙しさにかまけて少々サボり過ぎたようで、ここのところ、お叱りを受けることが続いてしまったのである。

 

個人的には洋楽専門に近い人間で、聴く割合も90%以上が洋楽だが、レコード屋を営むにあたり、邦楽も侮るべからずと考え、少しは増やしたのである。ブラジル音楽専門店など、ジャンル的に専門を持つのはあり得るが、7インチ盤専門店というのは、他所で見かけたことがない。それなりに好きな方はいらっしゃるとは思うが、アナログが復権しているとはいえ、7インチ盤までその影響を感じることはまずない。やはり趣味性が高すぎる世界なのだ。それでも、スリーヴ付きに拘って集めてみると、世相や時代背景まで見えてくるから面白い。また、7インチ盤とアルバムとではテイクが違う場合も散見され、徹底的に拘るマニアックな方には、やはり見逃せないアイテムなのである。

 

シングル盤のリリースにあたり、7インチ盤が主要メディアであった時代、情報の多くはラジオからもたらされていた。洋邦のポピュラー・ミュージック、とりわけ洋楽がテレビを通じてお茶の間に流れ込んできたのは、ベスト・ヒットUSAMTV以降だ。NHKのヤング・ミュージック・ショーなどは、不定期に貴重なライヴ映像などを流してくれたが、ドキュメンタリー番組と同様の感覚で観ていたような気がする。そういう意味では、やはりラジオの方が主流だったのだ。そして、ラジオから流れてくるシングル盤の音源は、アルバムに収録されているものとは違うということがたまにあり、随分混乱もしたし、研究心を煽られもした。

 

思うに、最近FMラジオのAM化が酷い。パーソナリティの質の低下も目に余るものがあるが、局の方針か、いつの間にか流しているだけで楽しく音楽を聴けるメディアではなくなってしまったようだ。昔のFM局は東京FMNHK-FMも、フル・レングスで丸一曲を聞かせる番組が多く、しゃべりは最小限に止めていたように感じた。それが、最近のラジオ・パーソナリティはしゃべくりまくりだし、内容的にも面白くないものも多くて呆れる。音楽の知識が豊富とは言い難いパーソナリティも多く、浅薄な曲紹介に呆れてしまうことも多々ある。開局直後からずっと聴いているJ-WAVEですらも、時々聴けたものではない内容の番組があったりする。ちょっと悲しい状況であることは、友人との会話でも確認済みで、こう感じているのは自分だけではなさそうだ。猛烈にカルトな情報を発信していることもあって、マス・メディアの現状に納得がいかず、悶々としているのである。



追記:
書き過ぎではというご指摘を頂いたので、少々補足するが、これはあくまでも個人の印象である。頑張っているラジオ・パーソナリティの方々もいらっしゃるだろう。しかし、当時の空気を知らない若いパーソナリティが語る古い音楽の話は、やはり決定的に欠落している何かがあると思う。…結局それだけ自分が年齢をとったということなのかもしれないが…。特に古い曲を紹介するときに、その曲がリスペクトを寄せるもっと古い曲がある場合なのど解説に限界を感じる。そのもっと古い曲がリスペクトを寄せる曲があったりするから…、実はもの凄く勉強してないといけない世界なのではなかろうか。

 


   

         
 Links : GINGER.TOKYO  saramawashi.com  Facebook  
 Mail to :  takayama@saramawashi.com     
 Sorry, it's Japanese Sight & All Rights Reserved.