0137 1990年、時の流れの早さに呆れて(2017.11.19.

昨晩は恒例のトーク・イベントだった。お題は「1990年」先月の「1989年」に続き、バブル真っ盛りである。当時の動画を検索すると、あまりにハッピーで爽やかな映像だらけで、時代の空気感の違いに驚かされる。イベントで使う素材をファッションの専門家に観てもらったら、女性は最近のものに非常に近いのだという。ダボダボスーツの男性ものは全く違っているらしいが、女性は「今これを着ていても違和感はない」ということだった。髪型の違いは笑ってしまうほどだが、当時は、みんな、本当にみんな同じような髪型をしていたのだ。懐かしさとともに、時の流れの早さに呆れてばかりいた数時間だった。

 

ここのところイベント続きで、マメな告知はできなかったので集客は期待できないなと思っていた。さらに追い打ちをかけるように、当日は非常に冷たい雨が降っていた。始まりの時点で常連さんお二人しか参加者がいないという状況に、申し訳ないが完全にやる気を失っていたが、4曲目のあたりでバタバタと数人いらっしゃった。そこから「さあ真面目にやりましょうか」という態勢になり、結局はいつも以上にしゃべり過ぎてしまった。準備していた40数曲から28曲しかかけられなかった。これまでで最も少ない曲数である。クインシー・ジョーンズの「バック・オン・ザ・ブロック」のように長尺曲もかけたので仕方ないという気もするが、よくしゃべったなという気もする。

 

来年1月からの新規事業の立ち上げを見越して、今後の予定を一度すべて無しにした。来月の第3土曜日はパーティにしてしまったので、しばらくは開催できそうにない。そんなわけで、状況説明も含め、いろいろ伝えたいことがあったのだ。実際、19911月の湾岸戦争の開戦に至るまでの数カ月は、「何故アメリカが?」という疑問を持ちつつあれこれ調べまくり、国際情勢などの研究ばかりしていた。ベルリンの壁の崩壊や、東欧社会主義の終焉を目の当たりにしていろいろ考えない人間はいなかったと思う。ディスコで現実逃避しているという選択肢もあるにはあったろうが、少なくとも自分の周りにはそういう人間はいなかった。私はディスコに行ったことがない。

 

まずは時代の象徴、モトリー・クルー「キック・スタート・マイ・ハート」で賑やかにスタートした。あまりのド派手さに、「まあ、こういう時代だったんだよね」という言葉が漏れてしまった。続けて時代の象徴としては、エアロスミス「ジェニーズ・ガット・ア・ガン」、ダムン・ヤンキース「カミング・オブ・エイジ」、エリック・クラプトン「バッド・ラヴ」、フィル・コリンズ「アナザー・デイ・イン・パラダイス」、故ジョージ・マイケル「プレイイング・フォー・タイム」といったところだ。

 

ここらで資料を概観し、邦楽代表はドリカム「笑顔の行方」、サザンオールスターズ「真夏の果実」、JR東海のヴィデオを観てから山下達郎「クリスマス・イブ」という鉄板の流れである。さらにはオリコンの年間チャートに食い込んだ洋楽を紹介し、カオマ「ランバダ」を背景の詳細な説明とともに映像で観た。まだ携帯もスマホもインターネットもない時代、懐かしい空気感が蘇ってきた。当時のドラマやCMのストーリーなどでは、待ち合わせのワクワク感やせつないすれ違いなどが、今では考えられない重要な要素として描かれていた。

 

次にカオマから引き続き、女性ヴォーカルものを続けてみた。グロリア・エステファン「オイェ・ミ・カント」、ウィルソン・フィリップス「ホールド・オン」、ジャネット・ジャクソン「エスカペイド」、アランナ・マイルズ「ブラック・ヴェルヴェット」、バーシア「クルージング・フォー・ブルージング」、新人マライア・キャリー「ヴィジョンズ・オブ・ラヴ」、大ヒット連発だったロクセットは映画「プリティ・ウーマン」から「愛のぬくもり It Must Have Been Love」、そしてマドンナ「ヴォーグ」と実にバラエティに富んだ楽曲が並んだ。

 

一方男性陣は、翌年一月に開戦した湾岸戦争についても触れながら、ビリー・ジョエル「ハートにファイア We Didn’t Start The Fire」からスタートだ。ロッド・スチワート「ダウンタウン・トレイン」、カナダ人トム・コクラン「ライフ・イズ・ア・ハイウェイ」、オルタナ・カントリーのアンクル・トゥペロ「グレーヴヤード・シフト」、新人ブラック・クロウズ「ジェラス・アゲイン」、マルチ・カルチュラルな時代の色を反映していたダン・リード・ネットワーク「レインボー・チャイルド」、そしてヴォーン・ブラザーズ「ハード・トゥ・ビー」と続けてみた。音楽的にも時代の変節点だったのではなかろうか。

 

ジェイムス・イングラム、マイケル・ボルトン、ルーサー・ヴァンドロス、ドン・ヘンリーといったオッサン・バラードも用意していたが、前述のとおり時間がなくなってしまった。今回は最後の3曲を決めていたので一気に終盤である。クインシー・ジョーンズ「バック・オン・ザ・ブロック」、プリンス「シーヴス・イン・ザ・テンプル」、そしてトリは同じくプリンスが作曲しシンニード・オコナーがヒットさせた「愛の哀しみ Nothing Compares 2 U」で終了となった。

 

今後の見通しが立たないのでこのイベントはしばらくお休みになるかもしれないということをお知らせしたが、何らかのかたちで続けられたらという気持ちもあるのだ。如何せん、音楽好きが集まる店を象徴するものであることは間違いない。せっかく音楽を通じて知り合えた人たちも増えてきたわけで、店にとっては財産でもあるはずだ。少々敷居は高いかもしれないが、入ってしまえば結構面白い世界なのである。何とか続けたいものである。

 


   

         
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