0140 たまにはCDも(2017.12.10.

こんどの週末に開催予定のGINGER PARTY 2017は、単に音楽好きが集まって好きな曲を紹介しながらかけるだけのものである。しかし、いざ何をかけるかと考え始めると結構楽しくて、このパーティはもう既に始まっているようなものである。「何をかければいいの?」などとご相談にみえるお客様もいらっしゃるが、そこまで空気を読もうとしなくてもいいと思う。原則自由、禁止曲は「天国への階段」と12分以上の長尺曲だけである。「天国への階段」が禁止という理由は、昨年この曲をかけてくれた方が文字通り天国への階段を上って行ってしまったからである。長尺曲をご遠慮願いたいのは運営サイドの都合だが、所詮スピーカーから大音量で流すわけで、その場にいる方全員に無理やり聞かせることになる。場の空気を読まずとも長い曲はかけ難くなる。

 

昨年の様子を思い出すに、概ね古いロックが中心である。テーマ年を決めてその年に流行った曲をお聞かせするイベントをやっていることから、その参加者の方が中心であり、おそらく古いロックを聴いてきた方々なのだろうと思う。普段はクラシックしか聴かないけれど、お付き合いでロックをかけるといった風情ではない。そういうスタンスは露呈するし、皆さんが納得する曲がかけられるとも思えない。こういった場合は、本音で好きな曲をかけるに限る。そうすることで、曲の粒も揃ってくる。つまらない曲をこういった場でオススメするほど好きになれるとは思えないからである。ただジャンル的に遠慮されることを警戒して、自分は昨年クラシックも邦楽もかけた。ウケ狙いでいくか、本音でいくかというのも迷いどころ、悩んでいるときが最も楽しいパーティだったりする。

 

会場となるcafé GINGER.TOKYOにはアナログでLPが約1600枚、7インチ盤が1500枚、CD500枚ほど置いてある。HDDプレイヤーのデータも10万曲ほどあるし、最悪の場合、YouTubeで検索してかけることもできるので、おそらくどんな曲でもかけられるだろう。昨年はトム・ペティたちがやっている「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」でプリンスが凄いギターを弾いている映像があるんだけど…というご要望にお応えしたことも懐かしいが、この2人ともが亡くなってしまったことを考えると寂しさが募ってしまう。「天国への階段」もハートがカヴァーしたものをその場で探し出した映像だった。本来は持ち込んでいただきたいが、柔軟に対応しますといった態勢である。昨年はひげダンスの曲やパティ・スマイスの「ダウンタウン・トレイン」など、いろいろな意味でGINGERになさそうなものがプレイされていた。まあ、派手めのロックや楽し気な曲がウケるのは当然の成り行きだろう…、一応パーティだ。

 

そんな理由でCDの整理などをしている。店内にあることは判っているが見つけられないということは避けたいからだが、CDというものは、とにかく探しているときには見つけられない不思議なものである。そして、諦めて用が無くなった頃にひょっこり出てくる皮肉なものでもある。CDに限った話ではないかもしれないが、やはりCDでそういう経験を山ほどしてきたので、怨念が積もっているのかもしれない。…CDは嫌いだ。ものによって妙にレベルの高いものと低いものがあるのも腹立たしい。一応カフェなので、突然大音量で出してしまった時の気まずさといったらない。お客様が一瞬跳びあがってしまったことは過去に何度もある。…申し訳ないとは思っている。

 

如何せんアナログ・レコードをウリにしている店でもあるので、普段自分がデジタル音源を積極的にお聞かせすることはしていない。従ってこういう機会でもない限り、なかなかオススメCDなどをかけることができないのだ。ここぞとばかり、CDでしか手に入らない音源を中心にチェックしているわけだが、そういったものにも当然いいものはある。1990年代以降のミュージシャンは、最近でこそアナログでもリリースしてくれるが、アナログ盤がない場合も多い。米国南部のものは、90年代はいつまでもアナログでリリースしていたくせに、最近の盤はアナログ・リリースがない。どういう理由なのだろう。ノース・ミシシッピー・オールスターズや、ニュー・オリンズのジョン・クリアリー周辺等、アナログで聴きたいと思わせる連中に限って手に入らない。困ったものだ。

 

さて、GINGER PARTYでは自分も一応オススメ曲をかける。何からスタートするか悩ましいなあと思いつつ、楽しげなパーティ・チューンを探すことはさすがに楽しい。例えばノース・ミシシッピー・オールスターズの「バン・バン・ルル」やデヴィッド・サンボーンの「バン・バン」など、いかにもなパーティ・チューンをご紹介したいなとは思うが、いかがなものか。他の方と重複する場合もあるので、3~4曲用意してとお願いしているが、まあこの辺は重ならないだろう。昨年は「ダウンタウン・トレイン」が重なって騒いでいた方もいらしたが、そういったことも含めて楽しめればと思う。好きなミュージシャンや知人等の訃報まみれだった一年だけに、少しは楽しいクリスマス・シーズンになって欲しいものである。

 


   

         
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