0144 ブルース月間・ジャズ月間(2018.01.06.

毎年のことだが、自分にとって1月はブルース月間なのである。110日がハウリン・ウルフの命日(1976年没)なので、年明け早々から渋いブルースのレコードをターンテーブルにのせることになるのだ。129日にはウィリー・ディクスン(1992年没)の、130日はライトニン・ホプキンス(1982年没)の命日もあり、どうしてもブルースを意識することになる。その一方で、実は14日がポール・チェンバース(1969年没)、113日がソニー・クラーク(1963年没)とマイケル・ブレッカー(2007年没)という、大好きなジャズ・ミュージシャンの命日もあり、実は年によって切り替わったりもしている。そのときハマっている音楽でこの辺の感覚が変わってしまうのはしょうがないだろう。

 

加えて昨年あたりからその感覚が激変してしまった。2016年の110日にデヴィッド・ボウイが亡くなり、続けて118日にはグレン・フライが亡くなったからである。昨年からは、1月といって意識するミュージシャンといったら、どうしてもこの2人になってしまった。かといってロック月間というほどではないので、まあいいのだが。如何せんここ数年、自分が子供のころから聴き馴染んできたミュージシャンの訃報が増えてきて、命日データベースの更新が追い付かない。実に寂しいことなのだが、それでも一方でミュージシャンが羨ましいという感覚も根強くある。本人が亡くなっても、音楽は聴き続けられる。普通に人生を全うした人間と比べ、音楽に限らず作品を残して亡くなったアーティストは、いろいろな意味で、その存在が現生にとどまり続けている度合いが高い気がする。

 

暑さ寒さゆえか、1月や8月に亡くなる人は多い気がする。1月の北半球は真冬だ。1月の命日は、前述のほかに14日フィル・リノット(1986年没)、113日ダニー・ハザウェイ(1979年没)、114日ロニー・ジョーダン(2014年没)、115日ハリー・ニルソン(1994年没)、123日テリー・キャス(1978年没)、129日プロフェッサー・ロングヘアー(1980年没)といった有り様で、自分の大好きなミュージシャンの命日が続くのである。もちろん病死だけではない。事故死や自殺など、人生終焉の原因はさまざまだ。寒さに関係ないケースもあることはある。それでも、毎年1月には命日を意識するので、この寒さが思い起こさせているように感じている。

 

それは、12月という極めて印象深い命日がいくつもある月があってのことでもある。師走の忙しさに追われ、ろくに悼む余裕もないが、1976124日に志半ばで亡くなったトミー・ボーリン、1980128日に凶弾に倒れたジョン・レノン、19671210日には、飛行機が大嫌いだったオーティス・レディングが飛行機事故で亡くなってしまった。19641211日には、サム・クックが33歳という若さで悲惨な死に方をしている。毎年ジョン・レノンだけはテレビのニュースでも命日であることが報じられ、奥方のオノ・ヨーコさんと一緒に作った「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」が流される。大して売れた曲ではなかったが、季節的な符合もあり、毎年耳にすることが悲しさを増幅させる。

 

正直なところ、最も命日を意識するのは9月である。有名ミュージシャンで9月に亡くなった人間が多いことは誰もが知るところだ。ニッキー・ホプキンス、キース・ムーン、ジョー・サンプル、ビル・エヴァンス、マーク・ボラン、ジミ・ヘンドリックス、グラム・パーソンズ、ジム・クロウチ、ジャコ・パストリアス、ジョン・ボーナム、ジミー・マックロウ、マイルス・デイヴィス…、本当に多い。早すぎる死を悼むせいか、一般のニュースで速報が伝えられた、ある意味世の中に衝撃を与えたミュージシャンの訃報がいくつも含まれている。若すぎる死、絶頂期での突然の死、売れ始めた途端の死、まだまだ名作が作れたであろうことを惜しむ死、人それぞれの感じ方は異なるだろうが、やはり悲しいし寂しい。長年音楽と接してきて、ミュージシャンの訃報と接するたびにいろいろ考えさせられたこと数知れず、命日データベースもかなりのボリュームになってしまった。

 

自分がミュージシャンやレコードのデータベースを作り始めたのは、1995年頃である。Windows95が出たときの騒ぎで、これからはパソコンの時代がやってくると思い、練習を兼ねてファイルメーカーというソフトを使い始めたのが端緒である。まだ携帯電話もインターネットも普及していない時代のはなしだ。2008年頃までは、インターネットの情報よりも、自分のデータベースの情報のほうが充実しており、インターネットは参考程度にしか活用していなかったが、2013年頃からはデータベースの更新もロクにしていない。時代とともに音楽との接し方も変わってはきたが、20025月に下町音楽夜話を書き始めてからは、随分音楽との距離が縮まったよう思う。データベースを参照しながら音楽を聴くなどシャレた行いとも思えないが、こんな文章を書くためにはどうしても必要なのだ。さて、命日データベースを更新せねば。悲しいことに、ここ数年、加速度的にデータが増えている。いやはや、大変な作業になりそうだ。

 


   

         
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