0150 コペルニクス的転換点 1977年(2018.02.18.

毎月恒例のトークイベントだが、不思議なことに何とか続けられている。傍目にはさほど感じられないかもしれないが、主催者である自分は、毎度イベントが成立するかヒヤヒヤしている。かろうじて2~3人で始めることはあるが、参加者が入れ替わりながらも、8人程度は集まっていただける。今回も常連さんがことごとくアウトという日だったにも関わらず、やはり8人の方が参加してくれた。初参加の方も多く、いつもとは違った雰囲気の中、真面目にしゃべりを多くしたため29曲どまりだった。しかし、これは長い曲も比較的多かったので致し方ない。むしろイベントが成立したことが驚きという印象で、頑張って続けるしかないのかと思った次第だ。

 

イベント前は当然の如くバタバタである。PCの音がおかしいことが15分前に分かり、取り換えたりしながら、2分遅れでのスタートとなった。一曲目はエアロスミスの「ドロー・ザ・ライン」である。3枚目のアルバム「闇夜のヘビー・ロック Toys In The Attic」が売れ続ける中、7712月にリリースされた5枚目のタイトル・チューンである。景気づけには最高の一曲だ。続けて時代の象徴的なヒット曲、妙にポップなキッス「クリスティーン・シックスティーン」、すっかりブルース・バンドではなくなったスティーブ・ミラー・バンド「フライ・ライク・アン・イーグル」、10cc「愛ゆえに The Things We Do For Love」、イーグルスはモンスター・アルバム「ホテル・カリフォルニア」から「駆け足の人生 Life In The Fast Lane」、フォリナーも複数ヒットしているが、デビュー曲「衝撃のファースト・タイム Feels Like The First Time」、全曲聴きたいフリートウッド・マックの「噂」からは「Go Your Own Way」を選んだ。実にロックな時代の象徴たちである。

 

ここからは「二極化を含む多様化」と称して、パンク・ロックとクロスオーバー/フュージョンが登場してきたことによる音楽界全体の変化について語ってみた。まず映像でセックス・ピストルズ「アナーキー・イン・ザ・UK」と「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」を観てみた。それまで反体制派の音楽だったロックがすべて体制側に追いやられたような新しさというわけだ。この年に音楽をしっかり聴いていたということは、まさにコペルニクス的転換点を目撃したようなものだった。その一方でフュージョンに関しては、リー・リトナー、スタッフ、ブレッカー・ブラザーズなどのアルバムを紹介しつつ、お聞かせしたのはアル・ディ・メオラ「レーシング・ウィズ・デヴィル・オン・スパニッシュ・ハイウェイ」の音質も素晴らしい超絶速弾き曲である。また、資料を参照しながら、ピンク・レディー旋風が吹き荒れた邦楽からは、石川セリ「ダンスはうまく踊れない」を代表に選出した。懐かしい。

 

次に大ディスコ・ブーム前夜としてのブラック・ミュージックの紹介は、アース・ウィンド&ファイヤー「宇宙のファンタジー」、スティーヴィー・ワンダー「回想 I Wish」、そして映像でジャクソンズ「僕はゴキゲン Enjoy Yourself」を楽しんだ。この時期のマイケル・ジャクソンが好きな自分にとっては外せない一曲だ。一方でウェストコースト・サウンドに触れないわけにはいかない。ブレイン的存在のアンドリュー・ゴールド「ロンリー・ボーイ」と、当時絶頂期にあったリンダ・ロンシュタット「ブルー・バイユー」の2曲を続けて聴いた。素晴らしい。

 

多様化した時代の中、映画・テレビにも名曲が山盛りの年だ。「スター・ウォーズ」「ロッキー」は絶対に外せない。テレビ代表はスタスキー&ハッチからデヴィッド・ソウル「やすらぎの季節 Don’t Give Up On Us」、そしてこの時期、角川映画第1作目のサントラ曲がテレビでやたらと流れていた。大野雄二「犬神家の一族 愛のバラード」である。他は映像もご紹介したが、この曲の映像は止めておいた。それでも懐かしいことこの上ない。

一番のリアクションをいただいた曲となった。

 

70年代を通して非常に人気があったプログレッシヴ・ロック代表は、エマーソン・レイク&パーマーの「ELP四部作 Works, Vol.1」から「庶民のファンファーレ Fanfare For The Common Man」だ。長尺だがよくラジオでもかかっていたし、忘れられない名曲名演だ。本当にロックしていた時代なのである。そういった時代の空気感を伝える曲を数曲続けることにして、エレクトリック・ライト・オーケストラ「ドゥ・ヤ」、クイーン「ウィ・ウィル・ロック・ユー」、スティクス「カム・セイル・アウェイ」、マンフレッド・マンズ・アース・バンドがブルース・スプリングスティーンの曲をカヴァーした「光に目もくらみ Blinded By The Light」などを聴いた。いやはやいい時代である。

 

2年にまたがるロングラン・ヒットのためダブることを承知で外せない名曲というものもある。ビリー・ジョエル「素顔のままで Just The Way You Are」は、78年の賞を語るときに外せないが、この年にリリースされた曲だ。76年の曲で前回のトリでもあったロッド・スチュワート「今夜きめよう Tonight’s The Night」は、この年のビルボード年間No.1だ。今回も聴かないわけにはいかない。そして、ナショナリズム云々を語りながらのエンディングに入り、ポール・マッカートニーは「夢の旅人 Mull Of Kintyre」、そしてこの年の11月に飛行機事故で空中分解したバンド、レーナード・スキナードの「フリー・バード」を1130秒もあることは承知の上で聴いてイベント終了とした。ちょっと長すぎたか。いずれにせよ、忘れられない名曲群である。

 

常連さんが少なかったため、アフター・アワーズはなんと1曲となってしまった。「犬神家の一族」のために選から漏れたジョー山中の「人間の証明」だ。角川映画の歴史も語り始めたらキリがないので、短く切り上げるには向かない曲だが、やはりいいものはいい。何気で自分自身が最も楽しんだかもしれない一夜だった。さて来月は1978年、スタッフの都合がつかないことが今から判っており、開催できるかあやしいところなのだ。さあ、どうしたものか。どなたか、ボランティアか単発アルバイトでもやりませんか?

 


   

         
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