0154 テクノポップの萌芽(2018.03.18.

昨夜は毎月恒例のトークイベントだった。お題は「1978年」、何はともあれ、ジョン・トラボルタの年と言っても過言ではないだろう。「サタデー・ナイト・フィーバー」に続いて「グリース」も大ヒットし、時代の顔となったことは間違いない。あの「サタデー・ナイト・フィーバー」のキメのポーズや「グリース」のリーゼント姿は忘れられるものではない。また、ディスコ・ブームのという切り口では、多くのロック・ミュージックにおいても、リズムが変化した年であることが面白い。

 

毎度バタバタの状況で当日を迎えることが恒例となっているようだが、今回も酷かった。スタッフの具合が悪くなったりして、直前3日がフルタイム勤務の上にランチタイム以外はワンマンという時間の融通がきかない中、当日に無理やり準備して本番を迎えたので、気まぐれによる選曲の変更が許されない状況だった。それでも最近は参加者数も増えてきており、あまりいい加減なことはやりたくない。特別な準備はなくても語れる時期ではあるが、動画素材などは集めなければいけない。それなりに頑張る必要もあった。ともあれ、文脈はパンク・ニューウェーヴを受けてテクノポップの萌芽、ニュー・ロマンティックの源流を確認することと、ディスコ・ブームの中でもリズムの変化といったところだ。とはいえ、チャートには思いのほかロックの曲が多い時期でもある。

 

イベントは定刻にスタートできた。まずは時代の象徴、ELOの「ミスター・ブルー・スカイ」でスタートだ。そしてアメリカン・プログレ・ハードなどといわれたものを続けた。ボストン「ドント・ルック・バック」、カンサス「ダスト・イン・ザ・ウィンド」、スティクス「ブルー・カラー・マン」といったポップなあたりだ。英国からはクイーン「ウィ・アー・ザ・チャンピオン」、エリック・クラプトン「レイ・ダウン・サリー」、ジェリー・ラファティ「霧のベイカー街」そしてロッド・スチュワート「胸につのる想い You’re In My Heart」だ。ニュース映像やテレビのCMなども映しているので、はもうこの辺で十分時代感覚は蘇っていたと思う。

 

ここからはテクノポップの話題を掘り下げた。1979年にはYMOの大ブレークがあるが、その前年、英国ではウルトラヴォックスの過激なライヴが話題になっていた。「スロー・モーション」を聴きながら、ジョン・フォックス脱退後の音の変化などを話題とした。ドイツからはクラフトワークだ。「ロボット」が懐かしい。そしてYMOの源流という位置づけもできる渡辺香津美と坂本龍一の双頭バンド、KYLYNの「アイル・ビー・ゼア」を聴いた。テクノポップの源流であると同時にフュージョンの名曲でもある。矢野顕子のヴォーカルも素晴らしい。ここでは続けてジャジーな音源も紹介することにして、ブレッカー・ブラザース「イースト・リヴァー」とジョージ・ベンソン「オン・ブロードウェイ」もかけた。後者は10分弱ある長尺であり、本来はかけるべきか迷っていた曲だった。結果的に時間不足を招くことになったが、時代を象徴する音であったことは事実である、これでよかったのだろう。

 

次に邦楽だ。この時期、チャートはピンクレディーが席捲していたものの、一気に邦楽のレベルが上がってきたという印象がある。今回は4曲と多めにかけてみた。クリエーション「スピニング・トゥ・ホールド」、柳ジョージ&レイニーウッド「雨に泣いてる」、八神純子「みずいろの雨」、そして新人サザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」であるいずれもチャート・アクション以前に忘れられない名曲群である。

 

ディスコ・ブームということで選んだのは、アース・ウィンド&ファイヤー「太陽の戦士Serpentine Fire」とナイル・ロジャース率いるシックの「おしゃれフリーク Le Freak」の2曲である。続けてロックのリズムに与えた影響として、ローリング・ストーンズ「ミス・ユー」とロッド・スチュワート「アイム・セクシー」も聴いた。当時はあまり好きになれなかった曲だが、やはり懐かしいことは懐かしい。

 

ここらで随分時間が押していることが感じられたので調整に入り、ウェストコースト関連は丸ごとカットすることにして、映画関連に進んだ。まずはスティーリー・ダン「FM」だ。当時のヒット曲満載のサントラも楽しいのだが、どうも忘れられている映画という印象が拭えない。サタデー・ナイト・フィーバー関連は、ビー・ジーズ「愛はきらめきの中に How Deep Is Your Love」を選んだ。他の曲の7インチが直前に売れてしまったので、これしかない。グリース関連はやはりジョン・トラボルタ&オリヴィア・ニュートン・ジョン「愛のデュエット You’re The One That I Want」だろう。少々無理のあるキャスティングという気もするが、何はともあれ懐かしい。

 

残りの時間はヒット曲をランダムに抽出してかけた。ニコレット・ラーソン「溢れる愛 lotta Love」、チープ・トリック「サレンダー」、ビリー・ジョエル「ストレンジャー」、ウィングス「With A Little Luck」、リトル・リヴァー・バンド「リミニシング」、ボブ・シーガー&シルヴァー・ビュレット・バンド「裏切りのゲーム Still The Same」、そして最後がAOR新時代の幕開け的な一曲としてTOTO「ホールド・ザ・ライン」で終了とした。やはり時間が足りない。好きな曲が多すぎて絞り込めない。ボブ・ウェルチ、アンブロージア、ジェファーソン・スターシップ、ニック・ギルダー、リンダ・ロンシュタットといったあたりがアフター・アワーズに回ることになった。参加者の皆さんは概ね喜んでいただけたようで、選曲もこれでよかったのかと納得はしている。しかしやり方を変えなくてはという気もすれば、これ以上長くするのはいかがなものかという気もする。はてさてどうしたものか。

 


   

         
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