0162 80sといえば…(2018.05.12.

トーク・イベントが1980年代に近づいてきて、80s好きのお客様が盛り上がってきているようだ。次回519日の土曜日が1980年、616日が1981年と続いていくので、しばらくはこちらも80sネタが増えそうだ。如何せん、レコードの売上げもいきなり伸びてきているし、80年代のことばかり話題にしているので、年表が即答できる状態になってしまった。思うに1980年代は他よりも時代のカラーが際立っており、イベントの際は80s全体が見渡せる資料が欲しくなる。年表も、深掘りするより80年代全体が俯瞰できるものが好ましい。昨年5月に一度80sの回をやっており、その時の資料がデータであるので、今後しばらくはその資料を焼き直して使うかと考えている。

 

1980年代の日本は本当に好景気だった。戦後の高度経済成長期に計画され着工した重要インフラがどんどん完成し、稼働した時期でもある。1982年には東北新幹線と上越新幹線が開業し、中央自動車道が全線開通した。翌年には中国自動車道、1985年には関越自動車道、1987年には東北自動車道が次々全線開通した。果たして都市部と地方の貧富の差が縮小したかは疑問だが、こうした交通インフラのおかげで日本という国が随分狭く感じられるようになった。合わせて民営化の時期でもあり、1985年にNTTが、87年にはJRグループが発足した。財テク・ブームなどというものがあり、NTT株の購入は、当時新入社員だった自分のような若造にも声がかかった。何はともあれ、景気のいい話ばかりだった。日経平均株価は1984年に1万円を突破し、1987年には2万円突破、翌88年には3万円突破、89年の年末には市場最高値の38,915円を記録している。恐ろしい高騰ぶりだ。

 

ライフスタイルに関しては、その後のパソコン、インターネット、携帯電話にスマホといったものによる変化が大きすぎて、80年代の変化は忘れられがちだが、85年にはNTTのショルダーホンが発売されている。ポケベルを経て、本当に携帯できる携帯電話が普及するまではまだ10年以上の歳月がかかるわけだが、胎動はこの時期から始まっている。すれ違いというものがありえなくなった現在、ドラマや映画の脚本も構成が複雑にならざるを得ないわけだ。いい時代なのかどうかは微妙といったところか。オフィス内では、コピー機が湿式から乾式のゼロックスに切り替わる時期だが、ワープロの登場までには、もう少し時間を要する。

 

この1985年という年は、どうにも忘れられない。つくば万博が開催される中、自分が就職した年ということもあるが、夏には日本航空123便の御巣鷹山墜落事故もあった。プラザ合意が発表され、ここからバブルが加速していくわけだが、当然ながら当時は実感がまったくなかった。阪神タイガースが日本一になったのもこの年だ。東京では久しぶりに大きな地震があったり、過激派による電線カットの同時多発ゲリラなどということもあった。ロス疑惑の三浦和義が逮捕されたり、豊田商事の永野会長が殺害されたり、夏目雅子さんが亡くなったり…、落ち着かない世相ではあった。男女雇用機会均等法が成立したのもこの年で、翌年に施行され、同年に土井たか子さんが社会党の党首になった。1970年代のウーマン・リブという言葉を懐かしみながら、時代が変わったということを実感したものだ。

 

1982年にCDが発売になったときの驚きは忘れられないが、あまりにスッキリした音に満足はできなかった。そのCDの売上げがアナログ・レコードを上回ったのが1986年、その後のダウンロード販売やスポティファイなどのシェア・アプリによるサービスなど、当時は想像もできなかったが、自分は安く売られているアナログ・レコードを買い漁っていた時期でもある。LP400円から600円程度、人気のないものは100円から200円などという価格で売られていた。7インチ・シングルはほぼ50円だった。今でも神保町のマーブルディスクで状態のいいフュージョンものを30枚ほど買って、5,000円札で支払った時のことが忘れられない。持ち帰るのは非常に重たかったが、欲しかった盤が一気に入手できた喜びは相当のものだった。早速にカセットテープを数本作って楽しんだことは言うまでもない。

 

自分は英国のポップ・シーンがさほど好きには慣れず、かなり限られたものだけを聴いていた。とりわけ楽器を演奏するという要素が薄い音楽は苦手で、今でもその傾向は変わらない。それでも80年代に人気だったハワード・ジョーンズだけは例外的に大好きだった。とにかく美しいメロディには相当ハマっていた。ビジュアルやステージ上でデスクトップ端末に向かっている姿には、少々距離感を覚えたりもしたが、楽曲のクオリティに関しては結果も伴っていたので、あえて記すまでもなかろう。「ニュー・ソング」や「ホワット・イズ・ラブ?」など、ファースト・アルバムからのシングル・カットは、飽きもせず随分聴いたものだ。

 

自分にとって80sといえばハワード・ジョーンズとホワイトスネイクなのだが、皆さんそれぞれに思い入れのあるミュージシャンがあるのだろう。カフェでよくリクエストされるのは、マドンナ、マイケル・ジャクソン、トンプソン・ツインズ、ワム!、ジョー・ジャクソン、ユーリズミックス、ケニー・ロギンス等々といったところだ。これから数カ月間、1980年代漬けのトーク・イベントが続くが、心して準備せねば参加者の皆さんの思い入れの強さに圧されてメロメロになってしまいそうだ。さあ、頑張ろう。

 


   

         
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