0171 人気急上昇中(2018.07.16.

毎月恒例のトークイベントは1982年まできた。いよいよ70sらしさが薄れてきたが、まだ完全に80s的なもので満たされているチャートでもない。1970年代終盤の大ディスコ・ブームのわりには、ブラック・ミュージックは落ち着いてしまい、あまりかけたいヒット曲がない年でもある。主流はハードロックの語法で語られるポップ・ミュージックといったもので、純粋のハードロックやヘヴィメタルとも違うが、随分ハードなサウンドを持ったギター・ロック的な音が主流である。また、前年に脚本家のストライキがあって、映画の公開がこの年の後半にずれ込んだものが多く、年の前半は邦画中心、後半は洋画の名作てんこ盛りの面白い年である。必然的にサントラ曲が多くなってしまった。併せて英米でもヒット曲が大きく違った年でもあるので、その辺を意識した選曲にならざるを得なかった。果たしてその辺の意向が、参加者の皆さんに伝わっただろうか?

 

毎度イベントの1曲目は元気な曲から景気よくスタートすることにしているが、今回は元気な曲だらけで、結局いつも以上に迷うことになってしまった。エイジアもいいなあ、サヴァイヴァーもいいなあ、ヴァン・ヘイレンもいいなあ、と悩みつつ、やはり最もインパクトがありそうなジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ「アイ・ラヴ・ロックンロール」でスタートすることにした。いやはや気持ちのいい音で鳴るレコードだ。続いてヒューイ・ルイス&ザ・ニューズ「ドゥ・ユー・ビリーヴ・イン・ラヴ」、ホール&オーツ「プライヴェート・アイズ」、J・ガイルズ・バンド「堕ちた天使 Centerfold」と元気印をたたみみかける。今回も「もっとしゃべって」というご要望をいただいており、蘊蓄やらトリビアやらしゃべくりまくりとなってしまった。

 

時代を象徴する曲は多い年だ。続けてジャーニー「オープン・アームズ」、ヴァン・ヘイレン「オー・プリティ・ウーマン」、TOTO「ロザーナ」、38スペシャル「コート・アップ・イン・ユー」、サヴァイヴァー「アイ・オブ・ザ・タイガー」と続けてみた。実にロックしているし、鳴りのいいレコードばかりだ。これまで米国色が濃いものを続けたが、ここで2曲ほど英米混成チームの曲を紹介、ポール・マッカートニー&スティーヴィー・ワンダー「エボニー・アンド・アイボリー」とフォリナー「ガール・ライク・ユー Waiting For A Girl Like You」だ。いやはや、ここまではもの凄い盛り上がり様だった。

 

ここで戸叶さんのコーナー、インド色濃いモンスーン「Ever So Lonely」(自分はまったく知らない曲である)をご紹介いただき、引き続き英国勢に突入だ。やはり年間アルバム・チャート1位、誰もが「出た~」と声が出るエイジア「ヒート・オブ・ザ・モーメント」で始まり、ニューウェーヴ色はどこへ行ったと言いたくなるザ・ポリース「マジック Every Little Thing She Does Is Magic」、米国では翌年の大ヒットとなるデュラン・デュラン「ハングリー・ライク・ザ・ウルフ」と繋げた。ここで次は最も英国色が濃い一曲と考えて用意していたウルトラヴォックス「聖歌 Hymn」を取りやめ、米国では全くヒットしなかったロキシー・ミュージック「アヴァロン」に変更してしまった。今回最大の気まぐれ発動である。

 

ここで映画が面白い年ということで、資料も見ながらサントラ曲を続けた。まずは今秋公開予定の新作「Death Wish」のトレイラーを観て、旧Death Wishシリーズの2作目「ロサンゼルス」からジミー・ペイジの「殺ったのは誰だ Who’s To Blame」のインスト版シングル、実に英国的なヴァンゲリス「炎のランナー」、邦画代表ローズマリー・バトラー「汚れた英雄」、米国代表はおバカな映画にもかかわらず素晴らしいサントラ盤だった「初体験リッジモント・ハイ!」から、ジャクソン・ブラウン「誰かが彼女を見つめてる Somebody’s Baby」をご紹介した。

 

相変わらずのAORブーム等もあり、ここではローカルFM局のせいで大ヒットしたリバイバル曲シャーリーン「愛はかげろうのように I’ve Never Been To Me」をヴィデオでちょっとだけご紹介した後、かけるつもりでLPが見当たらなくなっていたパット・メセニー・グループ「ついておいで Are You Going With Me?」を一旦諦め、ジョージ・ベンソン「ターン・ユア・ラヴ・アラウンド」、驚くほど古さを感じさせるヴィデオが笑える領域のボーイズ・タウン・ギャング「君の瞳に恋してる Can’t Take My Eyes Off You」、ドナルド・フェイゲン「アイ・ジー・ワイ I.G.Y.」、バーティ・ヒギンズ「カサブランカ」などをご紹介した。続けてAORとも少し違うが、サックスのサウンドが印象的な曲ということで、クオーターフラッシュ「ミスティ・ハート Harden My Heart」とメン・アット・ワーク「ノックは夜中に Who Can It Be Now?」をご紹介した。この辺の曲は最近ほとんどラジオではかからない。さすがに皆さん懐かしかったようだ。

 

AOR/フュージョンに関しても英国勢を意識すると忘れてはいけない曲が2つある。アラン・パーソンズ・プロジェクト「アイ・イン・ザ・スカイ」とシャカタク「ナイト・バーズ」だ。米国のジャズに基づいたテクニカルなものとも違い、おシャレな感覚が新鮮だった。邦楽は好きな曲があまりない年で、山下久美子「赤道小町ドキッ!」一曲、ブラック・ミュージックも王道ではないがサード・ワールド「ラヴ・アイランド Try Jah Love」に代弁してもらうこととした。

 

ここらで終わりも見えてきたということで、シカゴ「素直になれなくて Hard To Say I’m Sorry」と年間No.1シングル、オリヴィア・ニュートン・ジョン「フィジカル」を聴き、トリはクイーン&デヴィッド・ボウイ「アンダー・プレッシャー」をフレディ追悼ライヴでのアニー・レノックスをフィーチャーしたものと本来の音源のものと2パターンを視聴して終了となった。さて、ここでお笑いだったのは、パット・メセニー・グループの盤はなんと壁面に飾ったままになっており、常に見えるような位置にぶら下がっていたのだ。途中でそのことに気がつき、本編終了後に無事かけることができた。

 

今回も超満員で開催することができたことは本当に有り難い。ご参加くださった皆さんに心から御礼申し上げたい。少し前までは、スタート時点で3人などという状況だったことを笑い話のように懐かしんだりもしたが、何故参加者が急増したのか理由はまったく分からない。一応既に次回84日(土)の「1983年」も12名様のご予約をいただいている。…ただ単に80sが人気というだけなのだろうか?誰か教えていただけないか?

 

 


   

         
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