0173 台風一過(2018.07.29.

今年の夏は世界中で猛暑ということだが、西日本の豪雨災害からの復旧が進まないというニュースが流れるなか、これまでに例がないコースをとって台風が東側からやってきた。西の方に親族が多いので、心配は心配だ。自分は気圧の変化が大きいと体調がよろしくない人間なので、お店のほうはスタッフに任せて自宅でじっとしていたが、夕方からはフジテレビの「タイプライターズ」という番組でお店が紹介されたこともあり、普段は観ないテレビなどを観ていた。台風に関する文字情報で画面が小さくなっていたが、嬉しいやら、恥ずかしいやら、「自分ってこんな風に見えるんだ」という妙な感想しか出てこないまま、いろいろ思いを巡らせながら観ていた。実際に収録にやってきたスタッフの様子を思い出しつつ、見事な編集作業に「上手く作るね」などと言いながら、「プロの仕事はすごい」と感心したものだ。

 

さて、その後は牡丹町の名店「Saotome-ke」で音楽イベントがあり、お誘いを頂戴していたので、横殴りの雨が降ったり止んだりする中を出かけていった。「日本の曲だけのDJイベント」という、自分の好みからすると極北の地に向かうようなものだが、主催者や場所からして、さほどつまらないものではないだろうとの期待もあった。結果は音の良さが際立っていたことと、ストーリーを組み立てながら曲をかけるDJの腕のよさもあって、なかなか満足度は高いものだった。つまり久保田利伸「TIMEシャワーに撃たれて」からRCサクセッション「雨上がりの夜空に」に繋げるあたりは、「座布団一枚!」などと言いながら面白がっていたというわけだ。

 

このイベントには自分のトークイベントの常連さんも参加されており、会話も楽しめた。そんな中でオールタイムのベスト10はという話題で、図らずも固まってしまった。正直なところ、最近はお客様の好みに合わせてBGMを選曲することばかりで、自分の好みなど考える余地がなかったので、今自分がどういった音楽が好きなのかさっぱりわからないのだ。20164月にARBANというジャズ系のウェブ・メディアで、「アナログ・レコードで聴きたい3曲を紹介しなさい」という企画にお声がけをいただき、7インチ盤専門店店主という立場でステッペンウルフ「ワイルドでいこう! Born To Be Wild」、ジェイムス・テイラー「きみの友だち You’ve Got A Friend」、キャット・スティーヴンス「人生はさすらい Sitting」の3曲を挙げていることを思い出したが、今問われると果たしてどうだろうか。イベントやパーティで一人ボーッとしていることが平気なというか得意な自分は、直ぐにこういう世界に入り込んで行ってしまう。よろしくない性格だ。

 

アルバムでいけば、キャロル・キング「つづれおり Tapestry」が安定してトップだろうが、曲で問われると難しい。レッド・ツェッペリンはどのアルバムをいれようか迷うほど好きなバンドだが、では1曲と言われると決められない。「Thank You」か「How Many More Times」あたりのさほど人気のない曲を選びそうだが、普段好んで聴くのは「Good Times, Bad Times」などのポップな曲が多い。シチュエーションで全然違ってしまいそうだ。ギタリストだとジョー・ウォルシュは当確だが曲は絞れない。ディープ・パープルだとトミー・ボーリン在籍期が好きだったり、結構ヘンな趣味ではあるが、要はレス・ポール使いが好きだったり、短い曲が好きなどといった癖が出てしまう。

 

また続けて、映画のオールタイム・ベストはという話題になり、スマホに入力して常にベスト10を更新しているというリストを見せてもらったり、その場で10本入力してみたりして遊んでみた。映画も「ブレードランナー」や「ターミネーター」といった別格で好きなものはあるが、10本となると、なかなか難しいものだ。「ダイナー」「天国から来たチャンピオン」「炎のランナー」「チンピラ」「愛と青春の旅立ち」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」…「イージーライダー」は時と場合による、やはり難しい選択だ。音楽が好きな映画のベスト10くらいは作っておきたいものだ。しいて言えば、ジャズのベスト10もやっておかないといけないだろう。自分はジャズも聴かないわけではないが、人生においての優先順位となれば、ヒット・チャートを賑わせていたポップスやロックのほうが圧倒的に上位にくる人間である。

 

トークイベントに関しては、今週は「1969年」と「1983年」の2つを開催することになっている。混乱しないか不安はあるが、年が離れているので問題はなさそうだ。むしろ問題は、夏休みの時期になって、スタッフの確保が難しくなってしまうことのほうだ。平日の夜のイベントは、おそらくドリンクのみの対応になってしまうだろう。それにしても、60年代後半から70年代前半にかけてが、やはり個人的には最も好きな時期らしく、好みの曲の多いこと。80年代はむしろジャズ/フュージョンや、ハードロック/ヘヴィメタルなどのチャートとはあまり関係ない音楽のほうに好きなものが多く、選曲に関してもエクスキューズが必要になりそうだ。さて、今夏も暑さを乗り切ると言うよりは、音楽漬けで暑さを忘れるしかなさそうだ。台風一過、夏本番である。

 


   

         
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