0177 原点回帰、楽しかった1984年(2018.08.25.

恒例のトークイベントは1984年も満員御礼とあいなった。36度という猛烈な残暑の中、21名もの方にご参加いただけたことは、ただただ感謝しかない。3名様のドタキャンもあったが十分だ。この人数でも冷房がなかなか効かず、前半はサウナ状態になってしまった。自分もレコードに針を落とすつもりで屈むと汗が垂れてくるし、カラダが傾いてしまって上手く立っていられず、倒れそうになっていることに気が付くというような始末だった。ガブガブと水分を補給し、曲をかけては席を外して涼みに行くということを繰り返して、ようやく最後までもったと言ったところだ。

 

1984年はハードロック・ヘヴィメタル(HR/HM)が次々とヒットチャートを駆け上った年である。クワイエット・ライオットがスレイドの曲をカヴァーしてヒットさせた上に、当のスレイドも「ラン・ランナウェイ」などをヒットさせ、相変わらず元気でおバカな姿を示してくれたことは実に嬉しかった。やはり洋楽を聴き始めた頃、大ブームだったグラムロックは思い入れがあるものの、10年の時を経てすっかり懐メロになってしまっていた。それでも好きなものは好き、まさに原点回帰の気分で、ロックを聴き続けるモチベーションにも繋がった。この時期からヒットチャートはロック色が濃くなる。その後は現在に至るまでR&Bがメインストリームになってしまうので、やはりこの時期が好きというロック好きは多いのだ。昨夜のイベントも思い切りロック寄りの内容となってしまったが、終わってみれば皆さん楽しんでいただけたようで、特別に個人的な趣味を押し付けたことになったわけでもなかったようで安心した。

 

イベント開始時点ではまだ日も高く、猛暑の中を歩いてこられた方々が到着早々「ビール!ビール!」と連呼する状態だった。そんな様子を横目に、1984年にリリースされたものの、タイミングで85年のヒット曲と扱うべき3曲、A-Ha「テイク・オン・ミー」、ティアーズ・フォー・フィアーズ「シャウト」、ハニードリッパーズ「シー・オブ・ラヴ」などをかけ、直前にジョン・ウィリアムズの手によるロサンゼルス・オリンピックのファンファーレをかけてからイベントのスタートとなった。カール・ルイス4冠も84年を象徴する出来事の一つではないか。

 

スタートはイエス「ロンリー・ハート Owner Of A Lonely Heart」である。メンバー・チェンジのあれこれは語り始めたら30分は語ってしまう。早々に切り上げてジェネシス「ザッツ・オール」、TOTO「ストレンジャー・イン・タウン」と繋げた。ヴィデオで音楽を楽しむ時代、印象的な曲も視覚的な記憶だったりする。ブルース・スプリングスティーン「ダンシング・イン・ザ・ダーク」、スティーヴ・ペリー「オー・シェリー」、ハワード・ジョーンズ「ホワット・イズ・ラヴ?」と続けた。

 

ここで、今回は絞り込めなかったということを詫びてミックス・ヴィデオを10分ほど流すという荒業に出てしまった。年間Top1003曲以上送り込んでいる10組のアーティストの曲をすべて繋げて紹介した。実はヴァン・ヘイレンは2曲のみ、マドンナは3曲に加えて「ライク・ア・ヴァージン」も紹介しているが、84年リリースの翌年大ヒットした曲だ。そんなことを語りながらヴァン・ヘイレン「ジャンプ」、シンディ・ローパー「タイム・アフター・タイム」、カーズ「ドライヴ」をかけた。「これを選ぶかぁ」という落胆の声も聞こえたが、全員が納得するプレイリストは不可能である。代表曲よりも、自分の好きな曲を優先してみた。

 

ここで戸叶さんのコーナー、ザ・サイケデリック・ファーズの「ヘヴン」という曲をご紹介いただいた。映画「プリティ・イン・ピンク」のタイトルの由来にもなったグループといった蘊蓄も語っていただいたが、全く知らないバンドである。有り難い。

 

ここからは、ブームとなったハードロック路線のものを続けた。ラット「ラウンド・アンド・ラウンド」、クワイエット・ライオット「クレイジー・ママ Mama Weere All Crazee Now」、スレイド「ラン・ランナウェイ」、ナイトレンジャー「シスター・クリスチャン」、スコーピオンズ「ロック・ユー・ライク・ア・ハリケーン」である。気持ちいい曲ばかりだが、やはり70年代のロックと比べると音が違うのである。ゲート・リバーヴのせいもあるが、どうにも納得いかない部分もある。

 

ジャジーな曲やAORということでは、ハービー・ハンコック「ロック・イット」、アラン・パーソンズ・プロジェクト「ドント・アンサー・ミー」、ティモシー・B.・シュミット「ソー・マッチ・イン・ラヴ」、ビリー・ジョエル「ザ・ロンゲスト・タイム」を選んだ。また日本人は薬師丸ひろ子「Wの悲劇 Woman」を選んだ。角川映画全盛期でもある。またチェッカーズや安全地帯などがブレイクした年ではあるが、時間の都合で割愛した。残念。

 

サントラに関しては、カリブの熱い夜からフィル・コリンズ「テイク・ア・ルック・アット・ミー・ナウ」、レイ・パーカー・Jr.「ゴーストバスターズ」、そして大ヒット映画フットルースからはマイク・レノ&アン・ウィルソン「オールモスト・パラダイス」を選んだ。「フットルース」からは5曲もヒットしており、ここでも自分の趣味で選ばせていただいた。ブラック・ミュージックは、年間の1,2、プリンス「When Doves Cry」、ティナ・ターナー「What’s Love Got To Do With It」に加え、スティーヴィー・ワンダーの大定番曲「I Just Called To Say I Love You」を選んだ。ライオネル・リッチーなどもっと売れていたものは確かにあるが順当線だろう。

 

イベントとして語るのはここで終わりとし、残りの時間はその他のヒット曲などだ。まずはソニー・ロリンズへの憧憬ジャケットが楽しいジョー・ジャクソン「The Verdict」、ジョン・ウェイト「ミッシング・ユー」、スキャンダル・フィーチャリング・パティ・スマイス「ウォリアー」、クリスティン・マクヴィー「Got A Hold On Me」、トンプソン・ツインズ「ホールド・ミー・ナウ」といったところである。そしてトリ前は紹介しなければいけない曲としてバンド・エイド「Do They Know It Christmas?」、そしてトリは忘れられないソニーのCM曲、テリ・デザリオ「オーヴァー・ナイト・サクセス」で終わった。

 

終了後は、残ってご覧になりたい方はどうぞということで、マイケル・ジャクソン「スリラー」をフル・レングスで、そしてポール・マッカートニー&マイケル・ジャクソン「Say Say Say」も映像でご紹介した。結構遠いところからもお越しいただいていることは承知していたので、半分程度の方は帰られるかと思っていたが、誰一人席を立たず、最後まで楽しんでいかれた。少々意外だったが、やはり皆さんお好きなのかなとも思う。

 

自分にとっては24歳の年、10代のころと比べてそれほど夢中になって音楽を聴いていたわけではないが、それでも年間Top100に知らない曲はない。強いて言えば、初めて自分のカネでクルマを買い、カーステレオで音楽を楽しむということを始めた頃で、個人的には映像の時代とばかり言って済まされる時代ではないのである。楽しみ方は時代とともに変遷するが、何はともあれ34年も前のこと、何もかもが懐かしいし、楽しい。それに加えて未曾有の好景気だったのだから、全くもっていい時代だった。

 


   

         
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