0179 インターネットはお好き?(2018.09.08.

西日本の地震や台風被害に続いて北海道でも大地震が起きて、やはり自然災害と隣り合わせの日本列島に暮らしているのだということを再認識している。被災された方々には心からお見舞い申し上げると同時に、一刻も早く普通の生活に戻れるように祈念する。知人も何人か被災しているが、最近ではSNSなどで即座に状況が伝わってくるので、被災の程度からどの程度まで復旧したかなどということがテレビなどのニュースよりも早く知ることができる。こちらも早く安心できるというものだ。ネット社会というもののあり方も様々で、有効に活用できているうちはよいが、デマも流れればちょっとした意見を書き込んだだけで思い切り炎上したりもする。犯罪的な書き込みをする愚か者もたまにはいるが、品格を疑う程度の書き込みは実に多い。何度SNSなんぞ止めてしまおうかと思ったことか。

 

今の仕事を始めて、両刃の剣としてのSNSに嫌気がさしている。PRやイベント告知などには実に有効な手段となるが、PRに関しては使い方を誤ると即座に逆効果になる。しかも一旦ネット上に掲載すれば取り返しがつかないという恐ろしさがある。前言撤回は政治家の常だが、それすら許さない側面がネット社会にはあることが恐ろしいし悲しい。結局サイレント・マジョリティを生み出しているだけのようにも思える。右寄りも左寄りも極端な物言いに始終しているので、書き込みを見ていても不快になるばかりだ。忙しい忙しいと言いつつ、大量の書き込みをする人間もよく分からないが、どうやら一定の距離を置いて付き合うしかないようだ。

 

結局のところ、アナログ・レコードを聴かせるような飲食店を経営しているからにはインターネットも使わないわけにはいかないが、オススメの音楽をつぶやく程度にしておこうというスタンスに行きついてしまった。「政治的な発言は控えろ」ということは、キャリア・カレッジに通っていたころから言われていたことなので、もともと発信していない。どのみち世代的に多い中道ノンポリ、学生運動などからは距離を置いていた人間だ。積極的に発信したいことがあるわけでもない。そもそも政治的な発言ばかりしているオーナーのカフェなど、居心地がいいはずがない。いい音に浸りながら、ノンビリ、マッタリ、そういったことを忘れてボーっとできる場であるべきだろう。様々なメディアでご紹介いただけるときも、そろそろ「元公務員」という但し書きは勘弁して欲しいと思う。30年近く務めた地元区役所を辞して好きなことをやっているという人生の選択肢は面白いと映るのかもしれないが、そういった目で見られるのもそろそろ終わりにして、「美味しい」とか「居心地がいい」とかいった部分で勝負したいものである。

 

ここしばらく、イベント関連のことばかり書いていたこともあって、何故こういった文章を書いているのかということを置き去りにしていたようだ。わざわざオリジナル・ドメインを取得して、音楽に関して誰にも遠慮することなく好き勝手に書きたいから書いていたのに、「書かなきゃ」というプレッシャーが常に腹の底に蹲っているようになってしまった。同時に「もう少し自由に書きたいことを書いてみよう」という気持ちが頭の中を巡っていることもある。結局書くことは好きなので、好きな音楽についてはいくらでも書けるわけだが、今後はもう少しエクスキューズ的な要素を排してみようとは思う。

 

ここのところ、夜営業に関しては音楽好き、本好きが集まってくるという要素が一層強まっており、さっさと調理を終えて召し上がっているお客様としゃべっていることも多い。そんな中、ご自分の好みをはっきり伝えてくださるお客様は有り難い。「ダニー・ハザウェイあります?」は何回言われたことか?瞬時にリクエストに応えるのも一つのワザなら、そこから関連音源や同系統のオススメ音源に発展して行けるのもウデのみせどころで、楽しめる時間を提供できると自負している。ただし、こういったお客様は滅多にいらっしゃらない。多くは、ジャンル程度の好みを言っておいて「でも、マスターのオススメを聴かせてください」などと言われてしまう。そうなるとお客様のリアクションを見ながら好きそうなものを探っていくので、キッチンが完全に疎かになってしまう。

 

その一方で、挑戦的なリクエストをしてくるお客様もいらっしゃる。むしろこの手はこちらも楽しめるが、「そんなマイナーなのあるわけないでしょ」といったものや、「カフェですからちょっと勘弁してくださいよ」といったエキセントリックだったりハードすぎるものを求められたり、演歌や都都逸だったり、全くもっていろいろだ。懐かしい音源でも、シングル曲ではなくアルバム曲で好きな曲をリクエストされるのはウェルカムだが、アルバム名を思い出せなかったり、特定するのに時間がかかることもある。無音状態にしたくないので、「早めに言ってよ」的なことはままある。最悪レコードがなくてもYouTubeなどで検索して、だいたいの曲を聴くことはできるが、やはり音質的にはいただけない。どうして動画の音質はあんなに低音がブカブカになるのだろう。まったくもって、自分にとってインターネットというものは、いずれの側面でも100%満足いくことはあり得ないもののようだ。

 


   

         
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