0182 J-WAVE開局30周年オメデトウ!(2018.09.30.

大好きなFMJ-WAVE1988101日の午前5時に本放送をスタートして、明日で30周年となる。メデタイ、メデタイ。開局当初からお世話になったというか、随分聴いてきたラジオ・ステーションだけに、愛着はある。ジョン・カビラ、クリス・ペプラー、ルーシー・ケントの御三方の声に随分に励まされもしたし、癒されもした。その他の多くのパーソナリティにも好きな方は多い。最近では野村訓市さんのTRAVELLING WITHOUT MOVINGなど、夫婦して日曜夜のオンエアを楽しみにしていたりもする。別所哲也さんのTOKYO MORNING RADIOも毎朝聴いている。ビジネスマン必聴とも言えるコンテンツが嬉しい。

 

1988年当時の自分は本当に腐っていた。病んでいたというのとも違い、思い切り凹んでいたのだ。1985年に就職し、86年に最初の結婚、89年には離婚したと言えばご理解いただけるだろう。バブル絶頂期、昭和の最後に何ともつまらない日々を送っていたのだ。惰性で続けていた司法試験の勉強は、ドロドロした現場の話を聞くにつれ嫌気がさして、もうどうでもよくなっていた。安穏とした公務員生活も悪くはなかったが、ヤリガイとは縁遠いものだった。自宅から1分ほどのところにあった池袋のロサ会館で毎日のように古い映画を観ていたのもこの時期だ。勿論一人で観ていたのである。おかげで随分映画には詳しくなったが、要は現実逃避の典型だ。30年前のあの頃、もう少し将来を考えて真面目にやっていれば、何かしら違っただろうかと時々は考えるが、おそらくなるべくしてなった事態だったと思う。年を重ねて反省することも少しは学んだ。

 

198810月といえば、映画「グッドモーニング、ベトナム」が公開された時期でもある。アメリカでは前年に公開されたものだったが、日本公開までに随分時間がかかった一本である。ロビン・ウィリアムズ扮するエイドリアン・クロンナウアが大好きだった。自分は以前、下町音楽夜話第82曲「ワンダフル・ワールド」でもこの映画には触れている。この文章を書いたのは2004117日であり、大嫌いなジョージ・W・ブッシュ大統領を非難するような内容も多く含まれていたが、音楽エッセイであることを省みて削りに削った文章なのである。結果として自分の中では消化不良となってしまい、中途半端なものになってしまった。補足的なものをいつか書きたいと思いつつ、引っ掛かったままになっている一本だった。

 

この文章が掲載されることになっていた117日は、1995年に阪神淡路大震災が発生した日付でもあるが、1991年に連合国軍がイラクを空爆して湾岸戦争が始まった日付でもある。パパ・ブッシュの顔写真が載った当日の夕刊を走り回って買い集め、読み漁った日のことが忘れられない。絶対におかしいと思っていた。あまりに凹んでいる自分に、上司が海外派遣研修の話を持ってきて、翌年度にはカナダに行くだろうと言われていた時期だったこともあり、国際情勢に目が行っていた頃でもあった。その忘れられない117日という日付にアップされる文章は、随分力んで書いていたというわけだ。2001年に9.11が起こり、アメリカ政府がやっていることに吐き気がするほどの嫌悪感を持っていた時期でもある。

 

14年前にアップロードした文章を修正する気にもなれず、ここで書き記しておくが、まずルイ・アームストロングが「この素晴らしき世界 What A Wonderful World」をリリースしたのは1968年ではなく、1967年だった。68年はシングルに遅れてアルバムがリリースされた年であった。また本文中に「アメリカ人には何か特別な意味があるのだろうか。」などと書いているのだが、やはり特別な意味があるのだろう。音楽プロデューサーのボブ・シールがこの曲の詞を書いているが、彼はベトナム戦争を嘆き、平和な世界を願って書いたということだ。やはり1967年にリリースされるべくして書かれた曲なのだろう。勿論返還前の沖縄には前線をバックアップする基地があったかもしれないが、極東の島国に暮らす我々には理解できない部分がこの曲にはあるらしい。「いい曲だよね」では済まされないものがあるから、UKチャートでは1位を獲得したこの曲が、アメリカのビルボードでは最高116位どまりなのだろう。

 

何度も書いたことだが、自分の世代は、強くて豊かなアメリカに憧れるような教育を受けて育った。それでも、ベトナム戦争や過激化する学生運動などを目の当たりにして、問題意識こそ持っていたとしても、サイレント・マジョリティ的ノンポリを決め込むシラケ世代、無気力世代と括られたクチである。まだ洋楽が好きだったので、海外に目を向ける習慣があっただけ、少しはましだったかもしれない。「ホテル・カリフォルニア」の意味するところを気にしつつ、ユーロビートには行けなかった路線とでも言っておこうか。

 

自分にとって、J-WAVEは、英会話も学べるラジオ・ステーションという意味合いもあった。読み書きはできるが会話が下手という典型だった自分も、組織から海外に行かされる立場として危機感を持って猛勉強したりもした。J-WAVEのナビゲーターの言葉が聞き取れることで、少しは自信につながったように記憶している。それにしても、ジョン・カビラさんが映画「グッドモーニング、ベトナム」の中で「この素晴らしき世界」が流れるシーンに触れたときのことは、今でも忘れない。「愛」という言葉を、絵空事ではなく発せられる人間がいることに驚きもしたし、2018年に至ってもJ-WAVEを愛聴し続けているリスナーを作りだすだけのパワーがそこにはあった。たかが音楽、されど音楽、愛すべきラジオ・ステーションJ-WAVE万歳。開局30周年、心からお祝い申し上げる。

 


   

         
 Links : GINGER.TOKYO  saramawashi.com  Facebook  
 Mail to :  takayama@saramawashi.com     
 Sorry, it's Japanese Sight & All Rights Reserved.