0190 ジョ・ジョ・ガン(2018.11.25.

朝晩急に冷え込むようになって、短い秋が駆け足で去ろうとしていると思ったら、いきなりダウンしてしまった。風邪をひくことがないわけではないが、ダウンするほど酷いことになるのは数年ぶりだ。元々喉が弱く、聞こえ難い声であることは知人全員が知ることだが、そのせいもあって喉を大事にしているほうなのである。インフルエンザなどというものにもご縁がない。それでも今回はつれあいも驚くほど、見事に寝込んだ。丸2日飲み食いができず、ひたすら寝ていたら本人もビックリするほど頬がこけてしまい、いきなり老け込んだように見えた。それでも2日で食欲は戻り、予約が入っていたこともあって仕事は再開したものの、脚は動かない、酷い蕁麻疹は出っ放しといった有り様で、客足が途絶えたところで臨時休業の張り紙を出してしまった。いやはや年は取りたくないと思い知らされたが、疲れが溜まっているところに悪い菌でも頂戴したのだろう。一時は死ぬかと思ったほどだった。

 

酷い頭痛と全身の痛みは残ったままだが、吐き気が去った頃から寝ているのも辛くなり、レコードの整理を始めてしまった。イベントのたびに自宅と店舗の間を数十枚のレコードが往復する。もう少しスペースに余裕があればこんな苦労はしなくて済むのになどと思うが、余裕があればすべて埋まってしまうのがレコードラックというものの常だ。イベントで使いたいレコードが全て店にあるわけはなく、店には置いておけない貴重盤を中心に都度持ち込むことになるが、その分、しばらく聴きそうにないものを持って帰ることになる。そうやって持ち帰ったレコードが50枚ほど放置してあったのが気になっていけなかったのだ。これをとにかくレコードラックに戻して、ついでに未整理棚に目をやったらもういけない。脚が悪いもので、低い位置に仕舞うべきものが放置されていることもあり、せっかくなのでやっつけてしまえというわけだ。

 

ロギンス&メッシーナはイベントで「ママはダンスを踊らない」をかけたときに前期の盤をすべて紹介したので、これを持ち帰ってきて全てが並んだ。不思議なもので、あるべきものが全て揃うと、「Game Over」という文字が飛び出してきそうなほど、ラックの中で座りがよくなる。自分たちのあるべき場所が確保されたかのような存在感を示すのである。1980年代のイベントの方では夏過ぎに「フットルース」に続いて「トップガン」を紹介したので、ケニー・ロギンスのアルバムもいっぱい店に出かけていたので、久々に20枚程度のアルバムが並び揃うことになった。自宅では単純にファミリー・ネーム順に並んでいるわけではなく、概ねファミリー・ネーム順、主要バンドのメンバーのソロはその次、さらにサントラ盤などの重要関連盤を続けるということになっているのである。一定量以上ある場合は、単純な並びの方が探し易いことは重々承知しているが、昔から慣れ親しんだものでもあり、この並びが好きでやめられないのである。

 

さて未整理棚の中にファイヤーフォールのファーストがあったために、時間がかかることになった。ベース兼ヴォーカルのマーク・アンデスの存在が気になってしまい、「ハートにも在籍していたはず」というところからクレジット・オタクのツボにはまってしまったのである。ファイヤーフォールの前は確か…ジョ・ジョ・ガン!そう大好きなバンドだったジョ・ジョ・ガンの存在をすっかり忘れ去っていた。「RUN RUN RUN」という軽快なブギーが大好きだった。キーボードのジェイ・ファーガソンがソロで「サンダー・アイランド」というビッグ・ヒットを飛ばしたことで遡り知ったバンドだが、クセになるブギーの達人たちである。

 

ジョ・ジョ・ガンのネーミングはチャック・ベリーの曲から拝借したものだが、当時はそのことも格好良いと思えた。イーグルスやジョー・ウォルシュの人脈で語られるビル・シムジクがプロデュースしている盤もあるので、どうしてもウェストコースト・サウンドの中で語られるが、人脈的な行き来もあまりなく、西海岸臭は薄い。もう少し内陸寄りの埃臭さや田舎臭さの方が強く感じられるバンドである。ギターはマーク・アンデスの弟のマット・アンデスが弾いているが、彼はこのバンド以外での活動はあまり知られていない。ジョ・ジョ・ガン結成前に兄弟揃ってスピリットに在籍しているが、その他では名前を目にしたことがない。大好きなギタリストだが、おそらく他にメジャーなバンドでは活動していないはずだ。マーク・アンデスはキャンド・ヒートでキャリアをスタートさせているので結構いくつもの有名どころでプレイしていることになるが、自分としては80sハートとジョー・ウォルシュの「ザ・コンフェッサー」という大好きなアルバムでのプレイがベストである。

 

かくして、一旦レコード整理を始めると、クレジットを手繰っていったり関連する盤の参加メンバーなどをチェックしたりしてしまうので、時間を費やすことになってしまうのである。今回すっかり忘れていたジョ・ジョ・ガンのアルバムが全4枚のうち3枚手元にあることに気づき、懐かしさとともに、ブギー繋がりで、ZZ TOPやブラウンズビル・ステーションなども聴いてしまった。残る1枚も探してみようかなどと考えているが、さて、こんなマイナーなバンドのアルバム、どこぞに残っているものだろうか?

 


   

         
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