0193 ゴスペルはお好き?(2018.12.16.

GINGER.TOKYOでは、飲食店なので当然ながらパーティを開催することはできるが、スペース貸しでイベントを開催することもできる。時々飲食に関するイベントも開催されるが、正直なところ、これに関しては「お前の料理は要らないから、場所だけ貸せ」と言われているようでイマイチな気分にはなる。難しいのは両方の要素を持ち合わせているイベントが開催される場合で、先日は深川界隈にある2つのワイナリーのワインを飲み比べながら、ラクレット・オーブンで溶かしたチーズを食するイベントが開催されていた。今回はウチのお料理も2種提供するということで、料金の設定も複雑になるし、お料理を提供するタイミングもなかなかに難しかった。イベンターの要望でシチューが最後になったために、ヘンだと言うお客様もいらしたが、こちらの知ったことではない。いろいろ考えさせられるイベントだったが、音楽好きの方も何人か参加されており、少しは楽しく会話することもできたし、ご利用いただけるだけでも有り難いと思うべきなのだろう。

 

さて、昨日は夏頃から企画されていたゴスペルDJイベントが開催された。こちらはパーティ形式で飲食は提供するが、音楽は持ち込みという、レア・ケースである。DJが3人いらっしゃると言うからカートリッジくらい持ち込んでくるかと思いきや、お一人目は、すべてウチのオーディオ・セットを使い、アナログ・レコードを鳴らしていらっしゃる。お二人目はiPadを接続して鳴らすということ、3人目のティーチャーはCDをかけるだけというやり方だった。これはDJイベントなのか?と疑問符が噴き出すなか、こちらは飲食を提供することに集中していた。

 

正直なところという前置きがなくても、この文章の読者ならご存知だとは思うが、自分はゴスペルが得意ではない。ロック・ミュージシャンや好きなブルースマンがやっているゴスペルは聴くし、宗教に対する特別な考えも特にはない。ただゴスペルと銘打っているレコードを積極的に買うかといわれれば、ノーである。まず食指が動かない。ミック・テイラーがギターを弾いているボブ・ディランの「セイヴド」が嫌いかと言われれば、ディランの中では好きな方だし、毛嫌いしているわけではない。音楽スタイルとしてのゴスペルに興味があるかと言われれば「ない」という程度のはなしである。

 

さてイベントの中身はというと、プライヴェートな貸し切りイベントなので詳細をここで紹介するのはまずいだろうが、簡単に表現すれば、教会の方々が普段歌っているゴスペルの知識を共有するためのイベントだったらしい。お二人目の方はブルース・ギタリストだということで、選曲も他のお二人とは違って、ポピュラー・ミュージックの中でゴスペル的な歌詞が出てくるものをご紹介していた。お一人目と最後のお二人は教会活動の延長的内容で、要は自分が苦手とするゴスペルである。とにかくウルサイ。宗教的なものや音楽的な部分を否定する気は毛頭ないが、とにかくウルサイ。しかも普段大きな音で聴いたことがないのか、必要以上にボリュームを上げるので、参加者の中には逃げ出して本好きスペースに避難していた方もいらしたほどだ。音楽には快適なボリューム域というものがある。ボリュームを上げれば迫力のある音かと言われれば、そこがイコールではないところが音楽の面白いところで、大きすぎる音はウルサイだけで迫力もない。

 

オーディオや音楽の世界は、ある線までは好き嫌いの上に成り立っているものなので絶対的な評価は難しいが、GINGER.TOKYODENONのアンプは高効率で、JBLのスピーカーを見事に鳴らしきる。普通に音楽がお好きな方が耳にすれば、かなりいい音で鳴ると評価していただけることになる。ただクセがある。テクニクスのターンテーブルのせいもあるだろうが、音源を選ぶところがある。最近リリースされたアナログ盤はほとんどいい鳴りを示すが、昔の盤に関しては、ものによってノイズがかんでいるような鳴りをすることもある。盤の状態が悪いわけではなく、同じ曲の7インチ・シングルがどれも同じように鳴る。何度も書くが、サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」などはシングル、アルバム、すべてにおいて上手く鳴らない。スティーヴィー・ワンダーも残念な鳴りである。一方で、ノラ・ジョーンズやパット・メセニーはレファレンス的に使っているので、これらがいい音で鳴らないということはあり得ないのだが、ビージーズの古い盤が気持ち悪いほどいい音で鳴ったりもする。面白い。

 

さて、ゴスペルという言葉の定義が気になって調べてみた。Wikiでは、「ゴスペル (gospel) または福音音楽(ふくいんおんがく)は、アメリカ発祥の音楽の一ジャンル。元来はキリスト教プロテスタント系の宗教音楽。ゴスペル音楽(ゴスペルおんがく)ともいう。ゴスペルは英語で福音および福音書の意。」とある。随分狭義の解説だなと思いつつも、「宗教に拘らず、人の心に響く音楽はいくらでもあるな」などということが、頭の中でグルグルと巡っている。クリスマス・ソングが流れる年の瀬の清澄白河に鳴り響く轟音のゴスペル・ミュージックは、いったい何を物語っていたのだろうか。残念ながら、自分には福音的なメッセージが全く届かなかった。

 


   

         
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