0198 イベント運営は難しい…(2019.01.20.

カフェでやっている音楽のトークイベントが盛況で、少しやり方を見直さないといけないようだ。土曜日の夜にやっているものは昨年から満席続きの状況で、下手に改善するわけにもいくまい。内容的には1980年代も終盤に差し掛かり、本来は自分などがやるべきではない1990年代に突入するところまできた。やはりお好みの時期は皆さんそれぞれにあるようで、同じ1980年代でも前半と後半とでは参加者の半数が入れ替わることになる。有り難いことに、その一方で70年代だろうが80年代だろうが必ず参加していただける常連さんもいらっしゃる。1980年代はやはり特別に思い入れのある方が多いので、「この年ははずせない」といったことを耳にする機会も多い。もちろんそれぞれに思い入れのある曲や好きなミュージシャンがあって当然なのだ。むしろすべての時期の音楽状況を細かに話せる自分のほうが例外中の例外的な存在なのだろう。

 

一考を要するのは水曜夜に開催しているイベントである。同じことの繰り返しと言いつつ、以前よりは映像素材も増やし、トークの比率もかなり増やしたかたちで行っており、現在1976年まで終了したところだ。年によっては開催が危ぶまれるほど少人数でやっており、ワークショップ的雰囲気になっている。それが1976年の回は何故かかなり多くの方にご参加いただけたのである。開催した日にちが関係しているのか、本好きの方向けの窓辺スペースも満席に近い状況で、協力してくれているスタッフに申し訳ないことになってしまった。一人で10人以上の飲食の準備をするのは相当しんどいものである。勿論自分も曲をかけたらキッチンに飛び込んでドリンクを作るというかたちで手伝いはしたが、イベンターがバタバタしていては参加していただけたお客様も落ち着かない。ある程度で留めざるを得ない。いやはや、しんどいイベントとなってしまった。

 

毎度不思議なのだが、都合がいい日と悪い日というものは、何故に共通するのだろうか。カフェなどというものは、混む日はもの凄く混む一方で、空いている日は徹底して空いているものなのだ。そもそもお客様があまり多くないから水曜日にやっているのだから、皆さん都合はよくないのだろう。それがいきなり混んでしまったりする。ご予約をいただけていればまだしも、どうして突然こうも多くの方がいらっしゃったりするのか、状況を理解できずに唖然とした顔で立ち尽くすというみっともない姿を晒すことになる。前職で事務仕事をしている範囲内では、想定外の出来事があっても冷静に判断し、最善策で対処することもできた気もするが、自分が年を取っただけなのだろうか。イベントを含め、カフェ運営とは想定外の出来事の連続であり、それに対処していくことは、まさに想定外の難しさなのである。

 

また当のイベント数日前、J-WAVEの番組内でこのイベントを紹介していただけた。もちろんその告知で参加者が増えたというわけではなく、既にご予約でほぼ満席状態だったので、告知されること自体嬉しいような嬉しくないような気分ではあったが、有り難いことは有り難い。ファッション雑誌のモデルをやっていらした斉藤アリスさん自身が突然電話をしてきて、数時間後にはお店にやってきた。顔はわかるという程度だったので、第一印象は「ああ、この人か」という漠としたものだったが、話してみるととても感じのいい女性で、応援したくなるようなキャラクターである。これまでも、いろいろなメディアでお店の紹介をしていただいたことはあるが、やはり自分自身で足を運び、自分の舌で味を確かめるという基本的な部分をすっ飛ばすメディアが多いのである。そういう点でも好感度は高かった。ただし番組の中では、「おふくろの味」という評価をいただいたり、古い洋楽を「懐メロ」と表現してしまうあたり、「若いなぁ」といった印象は拭えない。勿論彼女のお仕事としては、それで十分どころかそうあるべきなのだろう。

 

さて、当の「懐メロ・イベント」だが、1988年はバブル絶頂期、重インフラ整備が結実した年という印象が強い。青函トンネル開通、瀬戸大橋開通、北陸自動車道も第1回目の全線開通、東京ドームのオープンもこの年だ。そして、告知してくれたJ-WAVEの開局もあり、さらには多くのレコード会社がアナログ盤でのリリースを終了するという、音楽を取り巻く環境にも大きな変化が見られた時期である。アメリカではヘヴィーメタル・ブーム絶頂期、イギリスではユーロビートなどが席捲している時期で、まったく異なったタイプの音楽が好まれた面白い年なのだ。もうアナログでお聞かせするというスタイル自体あり得ないものとなるので、様々なメディアを駆使することになったが、やはり視覚情報は強いといったところである。

 

イベント終了後、予告の意味を込めて、準備中の1990年代の曲をいくつか流してみた。当然様々なリアクションが巻き起こり、何人もの方から今後の予定を確認されることになった。自分自身が好きな曲だけかけているのであれば安楽だが、時代の空気感を蘇らせるという目的を持っているからには、いろいろご意見もうかがうことになる。また、特定のお客様に向けて発信するのであれば、その方の好みを勘案すればいいだけだが、それもできない。さあ、どうしたものか。満席になる定期イベントを持っているということは本当に幸せなことだと思うが、その一方でそれを維持するためにはより一層の努力をし続けなければいけないことも事実である。…さあ、どうしたものか。

 

 


   

         
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