0200 飛行機事故(2019.02.03.) 2015年4月に掲載するウェブ・サイトを変更し、続・下町音楽夜話になってから200本目である。下町探偵団では666本まで掲載していただいたので、通算では866本ということになる。あと3年もしないうちに1000本到達となるわけだ。相変わらず音楽漬けの日々であるから、ネタには事欠かない。1000本を目指して書き始めたものであり、キリのいい数字は単なる通過点でしかない。ただし、ここまで書き溜めると資料的な価値も出てくるようだ。データベースは情報が一定量以上蓄積されてこそ価値のあるものになる。好きな音楽についてばかり書いてないで、もっと浅く広く書いていればよかったのだろうが、それではモチベーションが維持できなくなる。結局こうやって、日々好きなことを書き連ねていくことが楽しいわけで、その結果続けられることになる。継続は力なり。これはこれでよしとしておこう。 さて今年も2月3日がやってきた。世の中的には節分、豆まき、恵方巻の日なのかもしれないが、自分にはバディ・ホリーとリッチー・ヴァレンスが亡くなった日ということになる。何度か書いたことだが、この2人は1959年の2月3日に起きた同じ飛行機の事故で亡くなっている。もう一人、ビッグ・ボッパーというミュージシャンも同乗しており、亡くなっているが、よく知らない人物である。同時に3人のロックンローラーが亡くなったこの事故は、後にドン・マクリーンの「アメリカン・パイ」でも「音楽が死んだ日
The day the music died」と歌われたように、多くの人々に衝撃を与えた。とりわけ「ラ・バンバ」が有名なリッチー・ヴァレンスは1958年に「カモン・レッツ・ゴー」でデビューし、2曲目のシングルが「ドナ」そのB面が有名曲「ラ・バンバ」である。デビュー・アルバム「リッチー・ヴァレンス」は58年3月にリリースされており、当時まだ16歳だったこのメキシコ系アメリカ人の少年は一躍スターとなるが、翌年2月3日に17歳という若さで亡くなっており、あまりに短い人生の終りに驚きと衝撃を隠せない。 バディ・ホリーも1956年にデビューした人間だけに、リッチー・ヴァレンスほどではないが、活動期間は短い。「ザットル・ビー・ザ・デイ」「イッツ・ソー・イージー」「ペギー・スー」などのヒット曲を持っているが、3年に満たない活動期間はやはり短い。1960年代にデビューしたビートルズやローリング・ストーンズに多大な影響を与えた人物として、またギター2本とベースとドラムスという、後々ロック・バンドの基本形として定着する構成を確立したことでも音楽の歴史に名を残すことにはなるが、やはりもっと長く活動して欲しかったという気はする。 自分の場合、ミュージシャンの命日に関するデータベースを作っていろいろなミュージシャンが亡くなった日は直ぐにわかるようにしてある。こんな文章を書くにも必要なデータなのだ。1959年2月3日のことは「アメリカン・パイ」がヒットしていた頃に、歌詞について説明していたラジオ番組で知ったので、最も早くミュージシャンの死を意識した一人(2人)かもしれない。データベースでは2月4日(1983年)のカレン・カーペンターや、2015年のヴァレンタイン・デーに亡くなったシーナ&ザ・ロケッツのシーナさんも目立つ存在となっている。また2月の後半になると、セロニアス・モンク、リー・モーガン、ラリー・コリエル、パコ・デ・ルシアといったミュージシャンの命日が続くので、ジャズやフラメンコ・ギターなどといった音源にあたることになる。今年もスーパー・ギター・トリオを引っ張り出してくる季節がやってきた。 早くに亡くなったジャズ・ミュージシャンとなるとクリフォード・ブラウンやスコット・ラファロとなるが、ロック・ポップスだとジミ・ヘンドリックスにジャニス・ジョプリン、ドアーズのジム・モリソン、デュアン・オールマン、ジム・クロウチあたりになるのだろうか。ソウル系ではサム・クックやマーヴィン・ゲイの悲惨な死に方も忘れられないし、自殺してしまったダニー・ハザウェイにはもっと頑張って名作を作って欲しかったという気もする。そして、やはり気になるのは、オーティス・レディングだ。彼も飛行機事故で亡くなっているが、その3日前に録音された代表曲「ドック・オブ・ベイ」は、結局彼の死後に大ヒットしている。何はともあれ、気の毒でならない。 飛行機事故といえばレーナード・スキナードだが、スティーヴィー・レイ・ヴォーンもヘリコプターの事故で亡くなっている。振り返ってみると、ミュージシャンの死因で飛行機事故というのは意外に多いのかもしれない。オーティス・レディングの飛行機事故による死を受けて、アレサ・フランクリンは飛行機に乗らなくなり、来日は実現しなかったという。同様にヴァン・モリソンをはじめ飛行機が大嫌いというミュージシャンは多いらしい。こう考えると、飛行機の安全性の低さが音楽に与えた影響は予想外に大きいのかもしれない。まったく、もう…。
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