0206 7インチ盤のセレクトショップ(2019.03.17.

バイト君がハワイに帰っていることもあって、今月はトークイベントを開催することができない。お客様も年度末でお忙しいだろうということで、イベントどころではなさそうだ。4月に備えて態勢を整えておけばよい。そんなわけで、ヒマさえあればレコードの整理をしている。また久しぶりに仕入れに行ってみた。もう7インチ盤の状態がいいものなんて手に入らないのではという思いは年々強くなっているが、案外品物は出ている。ここ数年のアナログ・ブームのおかげで活況を呈しているのは嬉しいが、お値段はそれなりに上がっている。これまでも価格チェック用に見てきた諸々のアルバムが驚きのプライスになっている。当然ながら個々の盤の状態にもよるが、2~3年前の倍近いお値段になっているものが散見される。いやほとんどがそういう状態だと言って間違いない。ロックやポップスに関しては、LP盤はもう欲しいものがそれほど残っていないので問題ないのだが、ジャズの名盤もある程度はアナログで聴けるようにしておきたいという気持ちはあるので、残念と言えば残念だ。

 

そもそもジャズは聴き始めたのが遅いので、既に名盤をアナログで集めることは無理だなと感じていた。OJCの廉価盤などである程度は集めたが、それも相当好きな盤のみで、ガイドブックなどに登場する多くの名盤はCDで済ませてしまった。従ってCDの方はそれなりに揃っており、そこからデータを構築したHDDプレイヤーはジャズの名曲は概ね揃っている。カフェで流すことを前提に買い揃えていったわけではないので、意外なものが抜けていたりはするが、やはり浅く広くということは徹底しているし、自分の好きなミュージシャンのものはしっかり揃っている。言い換えれば、好きでないミュージシャンの音源はおざなりというわけで、例えばスタン・ゲッツなどはほとんどないに等しい。「ゲッツ・ジルベルト」は嫌というほどリクエストもあり、聴く機会も多いので、アナログ盤も通常盤と高音質盤が聴き比べできるように置いてあるが、これは例外中の例外だ。過日HDDプレイヤーに一曲も入っていないことに気が付き、少しは入れたいなと反省している。

 

HDDプレイヤーはアナログ盤をひっくり返している余裕がないとき用」というポリシーを持って現在の態勢を築いてきたのだが、ここにきてお店が混んできており、日中はほとんどHDDプレイヤーで流している状況だ。想定外の活躍ぶりを見せる助っ人は、意外なほど音質もよく、大満足している。デジタル音を補正して再生する技術は意外なレベルに達しているようだが、アナログと聴き比べるとやはり違和感が無いわけではない。そもそも別物だ。アナログはそれほど分離がよくない塊感がある鳴りだが、デジタルは分離がよく、各楽器の音がしっかり聴き取れる。中低音の膨らみが足りないと感ずる音源が多いのは相変わらずだ。そもそも新譜のCDを購入する機会がめっきり減っているのであくまでも個人の印象だが、新譜のアナログ盤はこれでもかというほど高音質の極みに達しているように思う。4月にリリースされるノラ・ジョーンズの新譜も早速アナログ盤を注文してある。非常に楽しみだ。

 

話を戻すと、先日久々に新宿の某店舗へ行ってみた。若い女性客がいることもその印象を強くしているのだろうが、昔ではあり得ないような明るい店舗が違和感バリバリである。70年代の頃、昼飯を抜いてでもレコードを物色していた薄暗い店舗が懐かしくもあり、「いい時代になったなあ」という妙な感慨に浸っていたりもする。自分のお目当ては当然ながら7インチ・シングルだが、こちらも昔に比べて随分枚数が増え、一定の場所を占めていることが嬉しい驚きである。昔以上に7インチ盤の市民権が拡大したようだ。新宿駅南口の方に某店舗が新たにアナログ盤のフロアを開設したという情報は得ていたが、ここで十分楽しめそうだということが瞬時に見てとれた。案の定それなりに状態のいいものがかなりの枚数並んでいる。ただしお値段もそれなりに上がってしまっている。7インチ盤はブームと縁遠い現状、価格高騰はLPほどではないようだが、かなり底上げ感がある。100円コーナーなどというものもあるにはあったが、当然ながらロクなものが入っているとは思えない。10秒ほどを無駄にして新入荷やABC順に並んでいる通常の箱のチェックに取り掛かる。そして30秒後には大収穫の感触をつかんでいた。

 

面白いことに高額盤はもうほとんどない。有名曲のオリジナル盤などは冗談のような値段になっているが、そもそも輸入盤には興味がない。国内盤の時代感覚あふれるスリーヴがあるものだけがターゲットである自分にとって、この状況は実に嬉しい。ある程度の価格帯の中で状態のいいものだけを選んでも、それなりの収穫が得られることになる。ELO「ターン・トゥ・ストーン」、ニコレット・ラーソン「溢れる愛 Lotta Love」、アル・スチュワート「イヤー・オブ・ザ・キャット」などは、なかなかレアにもかかわらず、非常に状態のいいものがそこそこのお値段で手に入った。80年代の盤は、カセットテープに録音してウォークマンで持ち歩くような利用のされ方だったのか、それ以前のものと比べ盤の状態が格段によくなる。それが70年代の盤はピンキリなのである。60年代は50年以上も経っているわけで、盤質に関してはある程度諦めもつく。要は70年代の状態のいいものが主要ターゲットというわけだ。

 

昔、仕入れと称してレコード漁りをしていた頃は、言葉通りゴミの山からお宝を掘り当てる作業だった。当然時間もかかるし、膨大な知識も必要となる。それが先日出かけた某店舗ではかなり選別されたものが並んでいるようで、輸入盤さえなければ言うことなしの状態だった。お宝の山から好きなものを選び出している作業は昔とは大違いの感覚だ。さてその結果、純粋にお宝のみが並んでいるうえにコーヒーやビールなどを飲みながら、ゆったり時間をかけて選べる45rpm@Cafe GINGER.TOKYO、なかなかクオリティの高いセレクショップという状態になってきたようだ。お値段は「売りたくない度」で決まるため、高いものもあれば安いものもある。高いと感じた場合は、店主との価格交渉をお楽しみいただければと思う。その盤の価値がわかって買っていただける場合は、お値引きもいたしますぞ。

 


   

         
 Links : GINGER.TOKYO  saramawashi.com  Facebook  
 Mail to :  takayama@saramawashi.com     
 Sorry, it's Japanese Sight & All Rights Reserved.