0210 基本に立ち返って…(2019.04.14.

今日は老巨猫ジンジャー君のバースデイである。2002年の414日生まれなので、何と17歳になってしまった。さすがにこれはメデタイと思う。人間でいうと84歳程度、超高齢猫ということになる。一緒にもらわれてきたお姉ちゃんのペッパーは2歳半で天に召されたので、寂しくないかという心配もしないではないが、まあ、まったり、のんびり、美味しいものを食べて気ままに暮らしているから長生きできたのだろうし、羨ましい限りである。一生の長さが違うのだから、時間の流れも速く感じるのだろうか。人間の時間感覚はどんどん速くなっていってしまうものらしいが、最近の自分は忙しくしていることもあり、格別に速く感じている。一日一日をもっと大事に、丁寧に生きたいと常々思っているが、なかなか難しいことだ。日々淡々と生きている猫に学ぶことは多い。

 

さて、ここ数年、自分の時間の流れの感覚を握っているのがトークイベントである。特に土曜日の夜に開催しているものは、大体月一回開催なので、月単位のペース配分が身に沁みついており、時間の足りなさ加減も測り易い。3月はバイト君の帰省にともない、お休みしたので調子が狂ってしまった。いつもはある回が終わったら直ぐに次の回の概要を決めてしまい、徐々に準備のペースを上げていくようなパターンなのだが、一回お休みで時間に余裕があると思うと、途端にサボってしまうのは人間の常か。年度末のバタバタ落ち着かない時期でもあったので、いろいろ理由をつけては準備を先延ばしにしてしまった。2週間後に迫ってきたところで尻に火が点き、大慌てで内容を固め、急ピッチで準備を進めているところである。

 

これまでは多くの回が年縛りでやってきた。該当年のヒット曲を中心に30数曲お聞かせしつつ、当時のニュース映像やCM、映画のトレーラーなどを観ながら時代の空気感を蘇らせ、懐かしさを共有するようなものだった。年表や統計的な資料も作り込むので、それなりに楽しめるものだったと自負する。最大公約数的にある程度ヒットした曲で、しかも自分が好きな曲というフィルターを通すと、どの年も大体100曲程度までは簡単に抽出できる。そこからはトークの内容やアナログ盤の有無などいろいろな条件でふるいをかけて40曲程度まで絞り込む。毎回35曲程度かけられるので、最終的なプレイリストは少し多めにし、当日の気分でカットしたり、別の曲に差し替えたりなどということをしていた。

 

そもそも音楽は記憶とリンクしているので、トークの内容はかなり慎重に決めている。10人~20人程度の参加者の皆さんと一緒に、時間と空間を共有するかたちで当時の空気感を蘇らせるわけだが、紐づけられて蘇ってくる記憶は皆さんそれぞれである。例えば「母親がよく口ずさんでいた曲だ」とか「ライヴで演奏した曲だ」とか、単に「好きだったなあ」とか「カセットテープを作ってクルマの中でよく聴いた」などといったように、いろいろな反応が返ってくる。楽しそうに騒いでいる方は問題ないのだが、涙目になっていたり、物思いに耽って言葉を失っているような方は要注意だ。懐かしい家族との思い出や学生時代の貴重な記憶というものは誰でもあるもので、そのトリガーとなる曲だったりした場合、間違ってもその曲を蔑めるような評価や、演奏力が劣っているといったような評価は避けないといけない。そういった事情から、個人的な感想は無難なコメントしかできない。

 

正直なところ、浅く広くというポリシーにも限界がある。時代を色濃く反映し、それなりにヒットしたものでも、自分の好きではなかったミュージシャンというものはある。例えばベイ・シティ・ローラーズやプリンスなどは非常に人気があったことは承知しているが、自分のトークイベントで紹介すべき知識もなければ、そもそもレコード盤も所有していない。プリンスに関しては、非常にお好きなお客様がいらっしゃるので、敬意を表してかけたことはあるが、申し訳ないがコメントを付することは遠慮した。語れないし、語ったところで失礼なことしか言えない。実のところ、年縛りのイベントの選曲は、傍からみて想像つかないほどに苦労しているのである。

 

さて、そんなイベントも1989年まできて、先に進むことが躊躇われてしまった。アナログ盤が同時代的にほとんどリリースされていないことや、映像を駆使しないと充実した内容にできないと思われることが主だった理由である。それならいっそ原点回帰して、自分の好きな曲というポリシーを貫きつつ、極力アナログ・レコードで、それもできたら7インチ・シングルでという基本スタンスに立ち返り、聴き比べなどをしながら、できることならアナログで聴きたい曲をご紹介するイベントを数回開催してみたいと思っている。この際だから、これまで書き溜めてきた下町音楽夜話でご好評を頂戴した曲もセレクトしてみたい。結果としてかなり高山聡という人間の、個人的な趣味が強調されることになるとは思うが、イベントとしてやるからには、それなりに楽しめる内容にするつもりである。

 

恐らく参加者の数はグッと減ってしまうだろう。それでも内容は濃いものにするつもりだ。年縛りではないのでどういったタイトルを冠するか悩んだが、ここも基本に立ち返ってということで、「It’s Only Music … But Vol.1」とした。たかが音楽、されど音楽に人生を変えられたような人間ばかりが集まってくるイベントだ。開き直って正面から対峙するのも悪くはない経験だ。当然ながら、小ネタ満載、轟音でお楽しみいただきたい。個人的には、その3日前に水曜夜のシリーズで「1979年」があるので、こちらも頑張らなければいけない。さあ、ノンビリしている余裕などまったくない。一週間眠らないつもりで準備だ。統一地方選前日、420日土曜日の夜は、面白いことになりそうだ。ぜひぜひ!!

 


   

         
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