0221 ターニングポイント(2019.06.30.

今日は我々夫婦の22回目の結婚記念日である。25年目の銀婚式や50年目の金婚式などという〇婚式の決まり事もないようなものだが、もう〇〇年かという感慨は毎年覚えている。そもそも結婚記念日の〇婚式というものはイギリス式なのだそうで、15年目まで毎年あってその後は5年ごとに設定されている。夫婦などというものはそういうものかと思わなくもないし、何だか面白い。熟年離婚も増えているという昨今、見直すものでもなかろうが、違和感はないのだろうか。ともあれ、ウチは上手くいっているのでとやかくいうことでもないが、これだけ好き勝手に生きていられるのもつれあいのお陰である。感謝、感謝の毎日だが、はてさて、あちらはどう思っているのやら…。とにかく猛烈に真面目な人間で、仕事も常に忙しい人なのだが、そういった人間に毎日カフェの皿洗いまで手伝わせているのだから罪深い。

 

カフェの経営はなかなか難しい。まだ、たかだが4年とちょっとだが、ここまでくるのには語り切れないほどの苦労もあったし、学ぶことも多かった。役人を29年もやっていれば、世間知らずもいいところで商売が上手いはずはない。それでも、ランチは徐々に人気になって、昭文社の「Re東京」などという大人向けのガイドブックで紹介されるまでになったし、満席でお断りすることも多くなってしまった。有り難いことこの上ないが、少々困惑もある。ここまで混んでいるカフェでありながら黒字にならないし、混みすぎて快適な空間とはいえない状況も散見され、やっていて全く楽しめる状況ではないのだ。週末以外は3時間睡眠の日々というのも、年齢からして無理がある。

 

そもそも原点に立ち返って、何をやりたかったのかというと、人と人を繋ぐ場づくりのためのスペース、音楽好きや本好きが集うサブカル情報発信拠点、若手アーティストに活動の場を提供する壁面貸しのできるハコが作りたかったのであって、激混み飲食店がやりたかったわけではない。せっかくそういう場を提供するなら飲食も美味しい方がいいよねと思い、カフェの専門学校に通ってもみた。現場を知らない社長になりたくないということを念頭に、他力本願ではあっても、自分の哲学が浸透した運営スタイルにするつもりでいた。他力本願という部分も、極力やりたい人に場を提供するというスタンスで回していきたいという思いからそう言い続けていたのだが、現状は理想から大きく離れてしまった。副次的なはずの飲食店部分がメインになってしまい、自分の哲学も時々表出して驚かれてしまう程度だし、コンセプトを理解して利用してくださる方は少数にとどまっている。まだそういう方が少数でもいらっしゃるからモチベーションも維持できるが、現状が長く続くようだと、やり方を見直さないといけないだろう。

 

音楽夜話でカフェの愚痴ばかり書いていても詮無いが、ローカル・カルチャーに関わる部分もうまくことが進まない。地元深川に関する小唄・端唄のSP盤が手元にあり、これをカフェで死蔵していていいものだろうかという疑念とともに、いろいろ調べたりはしているのだが、結局何もできないでいる。紫綬褒章も受章した藤本二三吉さんという歌手が歌っている「深川」「木遣りくづし」「深川節」などといったものが、深川という土地にとってどれほどの価値があるのか、計り知れないほどのものと思っているのは自分だけではないと思いたい。そういったものを整理して情報を発信したいと思いつつ、これもできないでいる。結局愚痴になってしまう。

 

そもそも、関東大震災や東京大空襲でまる焼けになった土地だけに、古い資料などが残っていないことは致し方ないと思う。それでも各家庭に眠っている古写真などはデジタル・アーカイブ化して町の共有財産にしないといけないのではということも提唱しているが、これも動いていない。そもそも公立図書館が機能しているのかという疑問もある。現状ではフィールドワークもできないだろうし、そういった活動を支援する予算もなかろう。ただの貸本屋に堕している気もするが、今現在のスタッフにクレームを言う気はさらさらない。こういったものは、大いに政治的なものであって、区政のあり方の問題だろう。元区役所職員としては、一定のラインから先は踏み込みたくない領域なので、結果的に愚痴にとどまってしまう。情けないとしか言いようがない。

 

カフェで開催している音楽イベントは、1970年代80年代が中心で、懐かしい曲を聴きながら記憶の整理ができるようにやっているが、このスタイルは当時洋楽を聴きまくった音楽好きの方には楽しめるが、一般の方には恐ろしく敷居の高いものになっているようだ。前回も書いたが、今般、10インチ盤しばりのイベントをやることになった。このSP盤サイズの古レコードを鳴らす機会が得られたことは非常に有り難いと思っている。その一方で、ある程度しっかり準備して、本来自分がやりたかった活動を普及紹介する機会にもしなければいけないのではないかという気にもなっている。

 

カフェの経営も難しいが、そこからさらに一歩踏み込んだ領域はさらに難しい状況が待ち受けているようにも思われる。やれやれ、体力がいつまでもつものか…。そもそも、カラダを壊して区役所を退職してやっているはずなのに、以前より忙しいというのもいかがなものか…。そろそろやり方を変えなければいけない時期にきているようだ。

 


   

         
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