0228 古い音源は楽しいが…(2019.08.18.

毎度のことだが、お盆休みを使って23日のドライブ旅行に行ってきた。ここ数年、蓼科に宿をとり、そこから動き回るというパターンで、今回は思いつきではあったが小布施まで足をのばし、3日で900km近くを走破することになった。台風が近づいているなか、降ったり止んだりを繰り返しながらも、なかなかに楽しめた。慌てて出かけたために、CDを一枚も持っていないということに走り出してから気づくという有り様で、3日間ラジオが頼りだったがそれなりに楽しめた。良好な音質で届く範囲内ではJ-WAVEを聴いていたが、山梨県に入ると途端に音が悪くなる。そこからはローカル局をいろいろ試したり、こまめにチューニングしながらNHK-FMを聴き繋いで行った。NHKは初日がRADWIMPSざんまい、2日目がYMOざんまいなどやっていて、期待以上に楽しめたのである。

 

RADWIMPSは最近気に入って結構聴いているが、曲をばらしていかに複雑なフレーズを弾きこなしているかを解説してくれたあたりは非常に楽しめた。もっと曲を多く聴かせて欲しかったという恨みはあるが、いやはや内容が判り切っているCDなどを流しているより余程楽しめたように思う。YMOはいろいろなゲストの話がむしろ面白かったが、おおよそ読み知っている内容ばかりだったように思う。こちらももっと曲を聴かせろと思いつつ、意外なほど低音がしっかり出るラジオの音に喜んでいた。先日来、店で聴くたび、YMOの録音が非常によいという話になっている。ピコピコした音は今も昔もあまり好きではないのだが、当然ながら演奏はしっかりしているし、特に細野晴臣のベース音が素晴らしく良い音で録音され、しかも大ぶりなJBLのスピーカーで実に気持ちよく鳴ってくれる。店を始めてから認識を新たにした代表でもある。

 

最近はニュー・ミュージックとかJ-POPなどと呼ばれる古い音源が海外で人気だということをよく耳にする。実際ウチのお店にも海外からレコードを見にくるお客様は一定数いらっしゃる。そしてお求めは、ほぼ決まり、山下達郎、大瀧詠一、YMOである。たまに大貫妙子などと言われて驚かされる。シンガポールからきたという男性は思い切り買い付けという様相で、あればすべて欲しいなどというスタンスだった。台湾でも人気だという。イタリア人の某ミュージシャンは、やはりYMO目当てだったが、その後SNSで繋がってこちらの世界をグイッと広げてくれた。実に有り難いお客様だった。

 

何でも竹内まりやの曲がサンプリングなどで使われ、YouTubeで人気になっているとも言う。結局のところ、山下達郎の拘りが感じられる音づくりがバックにあるのだろうが、意外なところが受けるものだ。普段から70年代80年代の音源に埋もれている我が身としては、認識を新たにすることも多いと言いたいが、リアルタイムでは洋楽しか聴いていなかったことをここにきて反省している。ただし音質に関しては玉石混交である。繰り返しになるが、YMOの録音は素晴らしいし、山下達郎や大瀧詠一も文句なした。久保田利伸やBOOWYの一部もかなりいい音で鳴る。正直なところ、竹内まりやはものによる。

 

意外なことにサザンオールスターズとユーミンという、当時は洋楽耳の人間でも聴けると言われた2大アーティストの名前は出てこない。元々癖のあるユーミンの発声は、気にしない人は気にしないのだろうが、気にする人は全く聴かないに近い。桑田佳祐のヴォーカルも個性的だが、こちらはむしろ海外の愛好家はとっつき易い気もするが、何故か求められたことが一度もない。個人的には、中森明菜や松田聖子といったモンスター級の80年代アイドルのブームもくるかもしれないと期待しているが、いかがなものか。80sアイドル、楽曲はいいものが多い。ただ演奏はまだ昭和歌謡的なものも多く、モノを選ぶ必要がある。

 

この期に及んでアナログの奥深さに辟易とすることもある。フォノイコライザーのカーブ、録音特性の違いに関するお問合せを頂戴して、説明に四苦八苦しているのである。1954年以降のレコードはみんなRIAAカーブというもので録音されているということを信じてここまできたが、どうもそうではない録音も結構あるというのだ。古い盤を聴いて、どうも鳴りがヘンだとか、イマイチだなと思うことがなかったわけではないが、RCAビクター主導のRIAAカーブに沿ってない盤はコロンビアを中心に相当ありそうだ。

 

元々それぞれのレコード会社ごとに昇圧トランスを切り替えて聴いていた古いオーディオマニアの皆さんに言わせると、当たり前のことかもしれないが、自分はそれほどのマニアではない。むしろ一枚でも多くレコードが欲しかったので、オーディオ趣味を避けてきたような人間だ。ある程度で我慢できているうちはよいが、アナログを聴かせる店なんぞ始めてしまうとそうも言ってはいられないようだ。持ち込みで聴かせてくれというお客様も時々いらっしゃるので、あまりいい加減なこともできない。深掘りしたくない世界ではあるが、ついついちょっと掘ってしまったがために、困ったことになっているといったところである。「ああ、懐かしいねぇ」、「この曲よくかかってたねぇ」などといった呑気な会話で済むようにできないものか。そういえば、まさかBOOWYや竹内まりやの音質のばらけ方って、…まさかカーブの違いではないよね?…まさかね。随分落差あるけど、…まさかね。

 


   

         
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