0240 1971年の日本、2019年の日本(2019.11.10.

クルマを買い換えた。あと5か月もすれば還暦という年齢になって、自分はいつ免許証を返納するかなどと真剣に考え始めているので、自分の好みだけで決める気はさらさら無かった。今乗っているプジョー308はデザインが非常に気に入っていたので、これまで以上に長く使った。それまでの平均が2年半なので短い方かもしれないが、3085年乗った。タイヤに難があり、タイヤ交換をして乗り続けるかと思い、車検の相談ついでにディーラーを訪れたとき、展示してあった208をつれあいが気に入り、いきなり買い換えとなったのである。買い替える気がなかったかと言えば嘘になるが、新しい機能をいろいろ検討してからにしてと思っているうちに車検の時期になってしまったのだ。

 

いつまでもガソリン車というわけにもいくまいと思いつつ、やはり成熟した技術の安心感というものはある。高齢ドライバーによる悲惨な事故が絶えない昨今、慣れない技術に戸惑いながら運転するのは嫌だなという考えもある。運転に集中できないのが嫌でカーナビも付けていない人間である。新しいクルマも付けるつもりはなかったが、最近のカーナビ装着率は40%まで落ちてきているのだそうだ。最近はスマホをつないでグーグルマップをモニターに表示できるということで、もうカーナビの時代ではないということなのだ。時代が一巡して戻ってきてしまった。とうとうカーナビとは無縁のまま終わることになる。問題はオーディオだが、こればかりはしばらく試してみないと判らない。思うに車内の空間が小さくなる分、音はよくなるように思う。楽しみだ。

 

さて、自分のトーク・イベントが4巡目に入り、早くも今週は1971年の回になる。アップルをはじめとした英国勢の音は猛烈によいが、モータウンをはじめアメリカ勢の鳴りはしょぼい。ソニーですらひどい鳴りのものが多い。こればかりは音に集中して、しかも大音量で鳴らすようなイベントで繰り返しているので、確信を持って言える。この時期の音質は明らかに英国勢に軍配が上がる。では日本はどうかというと、やはりまだアメリカにすら追い付いていない。今回鳴らすのは欧陽菲菲、小柳ルミ子、南沙織、PYGあたりの予定だが、まあ低音がどこかに行ってしまったような鳴りだ。欧陽菲菲が妙にリアリティを伴う魅力的なヴォーカルを聴かせてくれることがせめてもの救いだ。そもそもヴォーカルとその他の演奏のバランスがへんだ。

 

アメリカものでいえば、CCR、シカゴ、カーペンターズは比較的よく鳴る。またキャロル・キングの声は素晴らしくいい鳴りなのに、ジェームス・テイラーのヴォーカルがイマイチなのも如何ともしがたい。マーヴィン・ゲイは高音質の再発盤で鳴らすので文句はないが、どうもまだまだばらつきのある時代である。また面白いのがスリー・ドッグ・ナイトで、曲によってばらつきが凄いのだ。概ねクリアでバランスも良く低音もしっかり入っているのだが、ビルボードのシングル・チャート年間No.1である「ママ・トールド・ミー」が残念な鳴りなのだ。アルバムと複数のシングルを保有しているので聴き比べてみたが、どれも満足できる鳴りではない。リアルタイムでは小さなラジオにかじりついて文化放送のポップス・ベスト10などを必死にチェックしていた時代、想像力の賜物だろうが、AMであってもインパクトのあるスリー・ドッグ・ナイトのヒット曲が大好きだった。

 

イギリス勢は安定の迫力だ。ジョージ・ハリスン「マイ・スイート・ロード」はまあまあだが、ポール・マッカートニー「アナザー・デイ」やジョン・レノン「イマジン」は文句なし、バッドフィンガーも素晴らしい。ローリング・ストーンズやロッド・スチュワート、ザ・フーも全て文句なし。極めつけはジェスロ・タルとピンク・フロイドそしてレッド・ツェッペリンで、この時代によくぞここまでという恐れ入りました級の鳴りである。「アクアラング」と「ブラック・ドッグ」(マト1-A-1)のド迫力は今回のイベントの目玉だろう。加えて、映画は「小さな恋のメロディー」という懐かしさを喚起する極めつけの一作がある。他にもいろいろトレーラーをご紹介することが楽しみだ。ベタな選曲とはいえ、外せないものばかりと考えることもできる。いやはや、なかなか楽しい回になりそうだ。いまの時点で悩ましいのは、ヘドバとダビデ「ナオミの夢」を日本語版で聴くか、ヘブライ語版で聴くかという一事である。

 

1971年という年、自分はまだ小学生だ。東京の学校に馴染めず、つまらない日々を送っていた。英語塾の先生に社会のいろいろなことを教えてもらった記憶がうっすらと残っているが、社会との接点はラジオが中心だった。マクドナルド1号店オープンや沖縄の返還、成田闘争も記憶にはあるが他人事だった。11歳では致し方ない。ともあれ、まだ戦後という色がしっかり残っている時代だった。アニメを紹介する動画を観ても、貧しさの中力強く生きている日本人がそこにはいる。明らかに今の日本とは違う「明るさ」が何によってもたらされていたのか、今一度考える機会にしてみようと思う。

 


   

         
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