0241 忘れられた名曲たち(2019.11.17.

昨日は今週2つ目になるイベント「The Forgotten Masterpiece」、忘れられた名曲を集めてご紹介するものだった。以前東京FMの衛星デジタル放送の音楽専門チャンネル「ミュージックバード」でゲストとして出演させていただいたときも、なぜか日本では人気のない曲をテーマにしたが、要は自分の得意分野である。自分の好みがしっかり固まっており、しかもジャンル的には浅く広くといった人間なので、昔売れていたのに最近はラジオでかかることが無くなった曲というのは、無理に記憶を辿らなくても常に頭の中にあるのである。それでも、それを30曲ほど集めてトークイベントとしてかたちにするには、一工夫が必要である。なぜ忘れられてしまったのかという理由をいくつかに分類し、お客様に納得のいくかたちにしなければいけない。しかも3時間楽しんでいただくには、それなりに選曲も練る必要がある。

 

イベント当日になってまだプレイリストをいじくりまわしていたので、見つけられない盤が何枚かあり、泣く泣く諦めた曲もあるのだが、結果的には概ね満足のいくものにはなったかと自負している。全体としてブリティッシュ・ロックの有名どころから8曲、アメリカン・ロックから7曲、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルから5曲、そして中止になってしまった前回イベントでご紹介予定だった1970年代終盤から80年前後の曲から趣旨に合致するものを10曲ほどピックアップしておいた。

 

オープニングは、エリック・クラプトン「揺れるチャリオット」である。歴史的な観点からは重要曲なのに他のヒット曲が有名すぎるからか、あまり耳にしない。レゲエと言えば「アイ・ショット・ザ・シェリフ」になってしまうあたり、忘れられていないかと言いたくなる。続けてビッグネームの顔合わせ、エリック・クラプトンとエルトン・ジョンの「ラナウェイ・トレイン」、クラプトン人脈でゲイリー・ブルッカーを介し、プロコル・ハルム「グランド・ホテル」と続けた。やはり「青い影」しかかからないプロコル・ハルムの忘れられた名曲である。ジェフ・ベックは「ユー・ノウ、ウィ・ノウ」、スレイドのムーヴ・オーヴァー」、ウィッシュボーン・アッシュ「永遠の女神 Persephone」と「F.U.B.B.」、プリティ・シングス「カム・シー・ミー」、スーパートランプ「スクール」と続けた。

 

アメリカ勢のトップはKGB「レット・ミー・ラヴ・ユー」である。お客様に「今でもヘビロテで聴いている」と言われ、討ち死に。「ポエトリー・マン」しかかからないフィービー・スノウは「サンフランシスコ・ベイ・ブルース」、そしてクライマックス・ブルース・バンド「クドゥント・ゲット・イット・ライト」と続けた。ボブ・ディランは「追憶のハイウェイ61」だが、こちらは1984年のライヴ音源のシングルである。ミック・テイラーやイアン・マクラガンなどが演奏している好盤である。アメリカ「シンプル・ライフ」はレナウンのCMでやたらと耳にしていたが、最近は全く聴かない。フォトメイカー「どこにも行かないで Where Have You Been All My Life」はラズベリーズやラスカルズあたりにも言及しなければならない。ランディ・ニューマン「ショート・ピープル」は凄いメンツがバックアップしているものの、歌詞で聴かせる曲だけに日本では人気があるとは言えない。

 

映画のコーナーも兼ねて、ハード・ロック等はナイト・レンジャー「摩天楼はバラ色に The Secret Of My Success」からである。続けてジーノ「リトル・モア・ラヴ」、テッド・ニュージェント「キャット・スクラッチ・フィーバー」、ラム・ジャム「ブラック・ベティ」、デリンジャー「セイラー」といったリストである。時代もテイストもバラバラだが、普段は滅多に耳にすることがない曲群ではなかろうか。

 

残る時間は前回のリベンジだ。バグルス「思い出のエルストリー」、ゲイリー・ニューマン「コンプレックス」あたりは超有名曲の陰に隠れてしまった曲だろう。YMO「ライディーン」、クラフトワーク「ショールーム・ダミー」も同様か?ラッシュ「ゼナドゥ」、アラン・パーソンズ・プロジェクト「静寂と私」辺りは曲が長すぎて全曲聴く機会が少ない曲ではなかろうか。この辺は大音量で聴くと壮観である。その他にはコーギス「永遠の想い Everybody’s Got To Learn Sometime」、ディック・セント・ニクラウス「マジック」あたりも懐かしい。

 

今回のトリはライ・クーダーの「アクロス・ザ・ボーダーライン」である。パイオニアのカー・ステレオ「ロンサム・カーボーイ」の広告映像を流しながら、片岡義男の世界観にも通じる気分を味わった。時代の変化が急激すぎてついていけないなと思ったようなとき、こういう映像と音に触れると元気にもなれるし、まあいいかという気分にもなれる。個人的には時々使っている特効薬である。アフター・アワーズはジャクソン・ブラウンの「ザット・ガール・クッド・シング」「ブールヴァード」などで気分よく談笑できた。今回は準備万端ではなかったが、やはりこの企画は楽しめるので、あと何回かやってみたいと思っている。

 


   

         
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