0242 レコード・ジャケットは面白い(2019.11.24.

昨日は「猫見豪&むらたぬきの気になるジャケットーーク!」というイベントが、GINGER.TOKYOで開催された。冷たい雨が降る土曜日の夜だったこともあり、そこそこの客入りではあったが、なかなか楽しいイベントだった。ミュージシャンの2人が語るものだけに、視点の違いが面白い。やはり自分の周辺に多いレコード・コレクターとは、音楽に対する姿勢も違うようで、いろいろ面白い気づきがあった。

 

前半は気になるジャケットについての語りであり、ニルソン「サンドマン」の裏ジャケにある巨大蟹やら、オーリアンズの目に関する話題など、こちらは重々承知のものもあったが、なかなかどうして、その筋では高額取引されるような盤からはかけ離れた世界の、純粋にジャケット・デザインを楽しんでいるやりとりが面白かった。後半はジャケ買いした盤を5枚ほど持ち込み、中身を予測しながら聴くというもので、我々世代なら誰でも知っているレターメンが含まれている点はお笑いだったが、こちらも面白かった。全く知らない、いかにも80s的な盤がまだまだあるんだということも発見と言ってよかろう。

 

帰宅後、つれあいから「面白いジャケットはウチにもいろいろあるでしょ」と言われ、調子にのって夜中まであれこれ引っぱり出しては語ってしまった。勿論面白いものはいっぱいある。ピラミッド型のジャケットや飛び出す絵本的なもの、変形ジャケットなどいろいろなギミック・ジャケットがある。そして、これまで珍しいものはカフェには持ち込んでいないので、無尽蔵に記憶が蘇ってくる。当然のように自分もジャケットに関するトーク・イベントをやってみるかという気になってしまった。確かにそういう視点ではこれまでやったことがない。ロジャー・ディーンやヒプノシスのデザインなどについて語り始めたら止まらないような気もするので、ある程度テーマを絞り込まないと、いつもと同じく時間が足りないと泣きが入ることになりそうだ。

 

世の中には窓があるジャケットが多く存在する。レッド・ツェッペリンの3枚目や「フィジカル・グラフィティ」のように凝ったものもあれば、フォガットのライヴ盤のように二重になっていて差し込むだけのものも多い。ハンブル・パイの鍵穴型の窓から覗くエッチなジャケットはようやるわといったところだが、窓の中にメンバーの顔が見える紙は少々ズレるところがお笑いだ。貴重なところでは、ジェスロ・タルの「ジェラルドの汚れなき世界」のタブロイド紙ジャケットも忘れられない。タイトル曲のパート1とパート2をA面とB面に分けて収録しているだけというコンセプトも凄いが、この訳の分からないジャケットは現物を手にしてみないとどれだけ凄いか理解できないだろう。とにかく経時変化に弱そうなものなので、状態のいいものはどれだけの数現存するのだろうか。大昔に購入してほとんど触っていないはずだが、シミが出てきた。残念だ。

 

フォーカスのレインボー・シアター、ロバータ・フラックのピアノ、ラズベリーズのいちごの山、はたまたエマーソン・レイク&パーマーの気持ち悪いヤツなど、扉を開くと別の絵柄になる作りのジャケットも楽しい。やはりこういった手のこんだジャケットはヒット曲が出た次のものが多いようなので、予算的に遊びが許される環境だったことがうかがい知れることもまた楽しい。そもそも先述4枚を一人が所有していることは少なかろうから、自分の浅く広くといった傾向があってこそ知れる共通項かもしれない。

 

また初回盤のみギミック・ジャケットだったものも多いだろうから、リアルタイムに購入してきてないと辿り着けないものだったりもする。初期盤と再発盤の違いを比べるのも面白いし、両方の現物が手元にないとこれはお話しにならない。エルトン・ジョンは初回盤のみゲートフォールドが多いし、紙質も全然違うものだったりする。ポール・ヤングは写真を消されて文字だけになったりする。グランド・ファンクは輝きが取り除かれ、金色が茶色になっていたりもする。これはほんの一例だが、世の中には沢山同様のものがありそうだ。曲を聴きながらのイベントでご紹介するとなれば、やはり自分の手元にある、好きな曲を収録している盤があれば十分だろう。紙質に関しては、もう手にとってみないとわからないので、イベントとして実施する価値があるというものだ。

 

イベント参加者の皆さんに使い捨ての手袋でも配布した方がいいかもという話も出ている。ウチのイベントを知る人間が皆口を揃える。確かに食事をしながら飲みながらの楽しいイベントだが、何回か油染みがついてしまったこともある。ジャケットに関するイベントで使えるような貴重盤・希少盤はお見せするだけのほうがという声もある。やり方はやはり工夫が必要そうだ。それでもはじめに「そのへん、よろしく」と申し上げておけばいいことでもあろう。おそらく来年2月の回になろうが、相当ディープで面白い内容になりそうだ。こればかりは現物を手にしないとわからないものばかりだし、一方で店に置いておくべきものではないことは重々承知してもいる。イベントが終われば持ち帰ることになる。ぜひとも当日参加をオススメする。いまから運ぶ枚数の多さにげんなりしているが、楽しみは楽しみだ。

 


   

         
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