0244 年末進行(2019.12.08.

前職は年度末と年度初めが妙に忙しく、年末進行などという言葉とは無縁だった。忘年会やクリスマス・パーティともあまり縁のない人間だったので、師走の忙しさは道路の混雑状況などで感じる程度だった。役所を退職しカフェを始めてからも、クリスマスだからといって混む店ではないし、飲み屋ではないので忘年会がそうそう多く入るわけでもない。日常使いの店という個性は厳然として維持しており、特別12月が忙しいという記憶はない。悲しいかな売上も落ち着いてしまう時期である。今年も悪天候続きや急な気温の低下もあって12月に入った途端に客足が途絶えてしまった。ただカフェとは直接関係ない個人的な仕事や作業が積もり積もって、所謂「年末進行」的な状況に追い込まれており、連日のタクシー帰宅となっている。それに加えて、どういうわけかパーティの予約も少しは入っており、今年ばかりは本格的な年末進行を味わうことになりそうだ。

 

何はともあれ、今週は自分自身のトーク・イベントと毎年恒例のGINGER PARTYがあり、それだけでかなりの時間を割かれそうだ。前回、前々回のトーク・イベントで酷く喉を潰してしまい、今週のイベントで3時間喋れるのか自信がない。新たな参加者のご予約が数名入っており、嬉しいことは嬉しいが、少々不安でもある。忙しい日々を送るには健康管理が大事なのは重々承知しているが、如何せん3時間睡眠の日々ではなかなか厳しいものがある。イベントの資料やパーティの福袋の準備などは早め早めに済ませてあるので心配はないが、自分自身がどこまで頑張れるかといったところだ。さあ年末だ、頑張るしかない。

 

今回のGINGER PARTY7インチ盤福袋は大判振舞いだ。例年笑えるハズレ盤も含ませていたが、今回ハズレはない。有名曲の状態が頗るよいものばかりを選出してしまった。目玉はクイーン「ボヘミアン・ラプソディ」やローリング・ストーンズ「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」あたりか。数年前まではさほどレアでもなかったボヘは今でこそ貴重盤になってしまったものだし、ストーンズは状態のいいものが少ないだけに、相当貴重なものだろう。また最も印象的なドヤ顔に送るスペシャルな一枚はビートルズ「ハロー・グッバイ」の370円定価盤である。51年を経過したとはとても思えない、ピカピカの一枚である。なぜかこの曲の7インチ盤は多く手元にあり、いずれもコンディションは良好だが、その中でオリジナル・リリースの一枚が最も状態がよいという、笑うに笑えない状況がこれで解消してしまう。おかしな話だ。

 

GINGER PARTYに関しては、何をかけるかという問題もある。例年皆さん気合を入れてオススメ曲を持ち込んでいらっしゃる。毎度「ドヤ」と切り返す曲を用意するが、今年はいいネタが思いつかない。トーク・イベントは1970年代前半に差し掛かっているので、頭の中はその時期の古い曲が巡っている。ブラック・サバス「パラノイド」という気分でもないし、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルをかけて受ける連中ではない。何気にマニアックな音楽好きの集まりだ。皆さん詳しいとか造詣が深いなどといったありきたりな言葉では足りない好き者である。普通にいい曲などでは通用しないし、面白くない。普段のカフェのBGMとは裏腹に、インパクトの強いものを探さなければいけない。

 

少し前から5分の暇を見つけては売り物のレコードを眺めているが、まず俎上に上がったのがクラフトワーク「電卓」だ。相変わらずのミニマリズム、元祖テクノの延々と繰り返されるメロディは脳みそに染みつく。突き刺さるのではなく、まさに染み入ってくるのである。気が付いたら口ずさんでいる。インパクトが十分かというと疑問だが、日本語で歌われる訳の分からない歌詞には確実に耳を奪われる。この曲はさまざまな言語で歌われるテイクが存在するということだが、我々は当然日本語が気になるではないか。Side Bには英語バージョンが収録されているが、どうも演奏は別物だ。各言語で違っているのだろうか。マニアックに追及したいほどの曲でもないが、やはり気になる。まずは一曲、当確といったところだ。

 

トーク・イベントであれ、パーティであれ、ある曲を貶すことは絶対にできない。何かしら懐かしい思い出とリンクしている場合もあれば、特別の思い入れを持った方がいらっしゃった場合に失礼なことになるからだ。自分が好きではなくとも他の方が好きな場合は多々ある。皆さんそれぞれの好みは尊重しないといけない。オススメ曲を持ち込んでワイワイやるだけのパーティであれ、実は結構気を遣うのである。音楽の好みは人それぞれ、毎年GINGER PARTYのプレイリストは多岐にわたる。トーク・イベントで100%の満足が得られるプレイリストを組むことは不可能だが、できるだけ皆さんに楽しんでいただけるような選曲を心がけている。パーティはその心配がないだけ、まだ気がラクというものだ。せいぜい酔っ払って失態をやらかさないよう心がけることとしよう。

 


   

         
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