0246 相場チェック(2019.12.22.)
年末恒例の話題は「今年の一枚」であるが、しかし今年は困ったことになっている。ほとんど購入していないのだ。RSDも何だか興味が湧かなくて一枚も購入しなかった。年間を通して果たして何枚買っただろうか?LPは10枚にも満たないし、7インチ盤も100枚に届かないだろう。7インチ盤は仕入れという名目だが、状態のいい国内盤は入手困難になってきたし、お値段も仕入れ価格とは言えないものしかない。30年~40年前に購入したストックを大事にしていくしかないのだろうか?それでも「時々はレコード屋を覗かないといけないなあ」と思わせる収穫が昨日はあった。嬉しいということ以上に、今後の行動方針を考えさせられた。やはり商品が動いていないと、お客様も面白くないだろう。
昨日は少々ストレスが溜まってしまい、ブチ切れそうになっていたので、つれあいにお願いして新宿に出かけたのである。クリスマス・シーズンの新宿は当然ながら猛烈な人混みで、普段なら人の多さに気分が悪くなりそうなレベルだったが、昨日は何ともなかった。とにかく気分を入れ替えたいという一事でレコ屋に向かったのである。店内に入り、いきなり目に飛び込んできたのが、スリーヴもない輸入盤で8000円9000円程度の値札を付けたプレミアム盤だった。最近は随分値上がりしている印象は当然持っているが、モノによっては以前より適正な価格になったものもある。ここしばらくのアナログ・ブームで混乱していたのだろう。レコ屋の店員さんを含め、若い世代には何がどの程度価値のあるものなのか、ようやく情報が整理されて伝わったか。しかし粗い値付けだ。
毎度思うが、スリーヴなしの輸入盤にどれほどの価値があるのか、正直なところ分からない。オリジナル志向が強ければ洋楽なんぞ輸入盤がいいに決まっているが、では英国のアーティストの米国盤は価値があるのか、見極められているのだろうか?自分のようにオリジナル志向は強くないが、自分の記憶とリンクした懐かしさが重要なポイントの人間にとっては、スリーヴ付きの国内盤でないと意味がないのだ。本来は自分が何歳のときに聴いた曲かでも価値は左右される。大人になってからの曲の7インチ盤は用がないかもしれないし、そもそも見た事がないスリーヴの盤に関しては、懐かしさという物差しは通用しない。実にニッチな世界である。それでも、「大好きだった曲の7インチ盤は持っていたい」とおっしゃるお客様は一定数いらっしゃるので、全く意味がないわけではない。最近はウチ(清澄白河にあるカフェ・ジンジャー・ドット・トーキョー内の7インチ盤専門店45rpm)の価値が分かるお客様が増えていることが嬉しい。
さて昨日の収穫は、ずっと探していたものが3枚、状態のいいものなら欲しいと思っていたものが5枚、その他諸々計22枚、結構お安く入手できたのである。何はともあれ、デヴィッド・ボウイ(スリーヴの表記は「ボウイー」)の「スターマン」だ。状態の悪い輸入盤は何度か目にしたが、それでも4000円程度していた。それが、状態はまあまあだがスリーヴ付き国内盤がある程度のお値段で売られていたのである。ボウイの盤は亡くなってから急騰した時期があり、ウチでも売り切れていたが、最近は少し落ち着いてきた。B面は「サフラゲット・シティ」(スリーヴの表記は「サフラゲッド・シティ」)、いいカップリングである。
ずっと探していたものは、エドガー・ウィンター・グループ「フランケンシュタイン」、ストローブス「パート・オブ・ユニオン」、バックマン・ターナー・オーバードライブ「レット・イット・ライド」の3枚である。いずれもとりたてて珍しいものではないが、これまでご縁がなかった3曲である。「フランケンシュタイン」はギターがロニー・モントローズであり、自分にとって何はともあれ必携なのである。また1972年~75年頃のヒット曲は自分自身を形成したものであり、忘れように忘れられるものではない。ドーン「嘆きのジプシー・ローズ」、アース・ウィンド&ファイヤー「シャイニング・スター」、バーブラ・ストライザンド「追憶」、ニール・ダイアモンド「ソング・サング・ブルー」などは普段から聴いているようなものではない。それでも耳にすると当時の記憶も蘇ってくるし、それぞれにひとしきり語りたくなる思い出もある曲なのである。
昨日はヘンリー・マンシーニ「大草原の小さな家」などというものも入手した。こちらは100円である。スティーヴィー・ワンダーとジャクソン5の共演曲「悪夢 You Haven’t
Done Nothin’」なども100円だ。以前と違って100円盤も多く販売していたが、こういう棚をチェックしているのは、時間を忘れてしまうほどに楽しい。久々に「100円箱」でも作るか、という気分になってしまう。それにしても玉石混交甚だしい。この棚だけはいまだに急なアナログ・ブームの混乱を引きずっているようだ。クリスマス・シーズンにつれあいと一緒に行くべきところでないことだけは確かだが、思い切り気分転換はできた。やはり時々相場チェックと称して出かけるべきなのだろう。
|
Links : | GINGER.TOKYO | saramawashi.com | ||
Mail to : | takayama@saramawashi.com | |||
Sorry, it's Japanese Sight & All Rights Reserved. |