0257 非常事態を笑い飛ばせ(2020.03.07.

全くもって腹立たしい。せっかく伸びてきていたカフェの売上高も激減し、固定費ばかりがかさむ構造に逆戻りだ。音楽好きが集まるトークイベントも延期し、自粛ムードの中大人しくしてはいたが、こんな状況が長く続くと爆発しそうでイライラばかりが募ってしまう。普段と違い時間はあるので、レコードの整理ばかりしていることになる。アルバイトさんの出勤を止める手もないわけではないが、お互い生活がかかっているし、ここはむしろ出勤してもらって自分が普段できないことに時間を使うという考えがよかろう。カフェはテレワーク族が重宝がって利用してくれるという面もあり、お初の方もいらっしゃるので今後に期待というところだが、これまでと店の雰囲気まで変わってしまったような気がする。世の中全体の傾向だろうから仕方がないと思うが、何だか落ち着いて楽しめない空気は早く払拭したいものだ。

 

とにかくできることはやってみるかという気力だけは維持している。これまでも時間が足りないことを理由に手をつけていなかった部分がいろいろあるのだ。愚痴ってばかりいてもしょうがない。できることからということで、まずはLPレコードの販売開始だ。これまで7インチ盤専門店としてLPの販売はしていない。元々ウチのキッチンを手伝ってくれていた、両国のコーヒー・スタンド「チルアウト」のオーナーM君の委託販売というかたちで、段ボール箱3つほどは置いてあったが、これは窓辺の棚貸し本屋と同じスタイル、委託販売では内容も自分の好みとは別の話である。自分自身のLPを売るのは正式には初めてである。これまでイーグルス「ホテル・カリフォルニア」をはじめとした極限られたものだけ、乞われてお譲りしたものが何枚かあるが、あくまで例外的なものだ。

 

まずは、自分自身のコレクションに影響がないところ、つまりは予備として購入しておいたものを一箱ほど出してみた。多くが未開封盤でありシュリンクも切ってない。コンディション表記はSABC4段階にしたが、大半がSAである。Bはほんの数枚、リアルタイムに購入しておいたドナルド・フェイゲン「ザ・ナイトフライ」やスティーリー・ダン「エイジャ」など人気タイトルのみである。とりあえず一日で準備できるのはここまでと踏んでいたので、販売開始にこぎつけたところでよしとしよう。今後はSNS等で新規投入を告知していく予定だ。とにかく手っ取り早くということで、不要なものを安く売る箱を置き始めたのではないことはご理解いただきたい。音楽好きのお仲間ではゴミ箱とエサ箱と言っているが、ゴミ箱を置くスペース的な余裕はない。エサ箱は確か、極めつけのお宝箱にしてみた。後が続かない気もするが、少し頑張ってやってみようと思っている。何はともあれ、こんな非常事態を乗り切るには楽しみながらでないとやってられないではないか。

 

さて、カフェの方はどうするか。いろいろ話し合った結果、新規メニューの投入等は見送った。ここにきてお店にいらっしゃる方々はテレワーク族か、お初の方が多い。求められるのはドリンクのみか、せいぜいで最も人気のあるポーク・ジンジャーやバター・チキン・カレー程度である。新規メニューとなると、食材の仕入れ価格や仕入れ量等もしっかり検討したうえででないとやりたくない。ここは必要とされるものに集中する道を選ぶことにした。そもそも、立ち上げ時とも随分違った店になってしまったのは、お客様の好みを最大限反映することに努めた結果なのだ。これはこれで王道の選択肢だと思っている。

 

では何もしないかというと、そうも言ってはいられない。接触してウィルスを媒介することを避けることも考えれば、ヴァーチャルな世界での活動を増やすことがまず重要だ。現代はSNSをはじめとしたヴァーチャルなフィールドでの活動も企業や店舗に求められる。とにかくこれまで以上にマメに情報発信するしかない。これまで時間が足りないという理由が大きいが、あまりに多く発信するのも鬱陶しがられる恐れもあって、ときどき発信するということを意識的にやってきたのだが、今後は日に数回発信する程度に増やそうと思う。まずは店でやっていることと変わらない音楽談義的な内容で構わないだろう。つまらないことだが、こんな状況下では政府の付け刃的な方針に振り回される愚痴しか出てこない。もう少し明るい話題で乗り切りたいと考えている。

 

それにしても、役所を退官したころは体調不良だったこともあって、とりあえずの目標が5年、そして還暦までというところだった。先月無事に、いや決して無事ではないが、何とか5年が経過した。そして今月には還暦となる。まさかこの期に及んでこういう事態になるとは想像もしていなかったが、後々笑い話にできるよう、せいぜいおバカな情報でも発信したろかと考えている。例えば昨日発信したDr.Johnの「In The Right Place」のジャケットには心底呆れた。よくよく見れば見るほど、ヘンだ。ヴードゥー教だかなんだか知らないが、底知れぬ笑いに裏打ちされたカルチャーを探るのはなかなか楽しい。そういえば世界一楽しい葬送行進曲があるニュー・オリンズだ。ハリケーンによる大災害後、情報がうんと減ったようにも思うが、この連中に学ぶことがまだまだあるかもしれない。よし、楽しく行こう。

 


   

         
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