0261 ポスト・コロナへの期待(2020.04.08.

新型コロナウィルスに関しては、緊急事態宣言が出るということで臨時休業に向けての準備に奔走していたが、完全自粛ではないという。中途半端なことをするなという気もしないではないが、これで感染拡大を封じ込める効果が出るのであればそれでもいい。しかし、経済的な影響は既に出てしまっているし、中途半端に売上げがダウンして補償の対象にならないなどと言われた日には怒りが収まらない。半分は人災のような今回の騒ぎは落ち着いたらしっかり責任を追及すべきだし、賠償請求もちゃんとしたほうがいいように思う。とりわけ音楽業界に与えたダメージは激甚災害並みであり、放っておけるものではないだろう。まったくもって文化に対する冒涜と同等レベルの罪悪だ。政治への不満は言い出したらキリがないのでここでは触れないようにしたい。

 

沈みがちな気分は致し方ないとしても、ポスト・コロナに向けて何ができるか、ポジティヴな姿勢は維持しておきたい。これほど激甚な非常事態ではあるが、いつかは収束すると考えて、無駄なく動けるように備えたい。外出自粛ということであれば、普段は滅多に得られないまとまった時間があることになる。自宅で何ができるか、よく考えておけば、その後にチャンスがやってくると思えなくもない。PC一台あればいろいろなことができるが、時間がかかり過ぎて諦めていたことを見直して、トライしてみるのも悪くないだろう。レコードのWEB通販はヤフオク活用でもいいかと考えていたが、最近はいろいろ便利なASPもあるので、独自の通販サイトを作ってみるのもありだ。「お店に遊びにきて欲しいから通販はやらない」という基本姿勢でこれまできたが、ことフィジカル・ディスタンス(ソーシャル・ディスタンス)ということが求められるようになるのであれば、ヴァーチャルな時間の共有というところに落としどころを求めるのが素直な考え方だろう。

 

ポスト・コロナに求められる行動変容は、これまで徐々に進められてきたユビキタスも方向性を見直さなければいけなくなりそうだ。空間共有がこれまでほど求められない時代になるのであれば、ライヴ・イベントの在り方も変わるだろう。今回のように、スタジアム級やホール級のライヴが、ミュージシャン及びプロモーター・サイドの倒産という危険性を伴うのであれば、これまで以上に余裕のある大物ミュージシャンでないとできなくなるということだ。つまりはコンパクト化が求められるわけで、これは大歓迎だ。またその分、ウェアラブル・デバイスなどは進化し、ヴァーチャルに空間共有するようなサービスがどんどん出てくるのだろうか。つまらない世の中になっていくような気もしないではないが、いつでもどこでも好きなアーティストのライヴが楽しめることになるだろうし、飛行機に乗れない海外のアーティストのライヴも楽しめるのであればメリットとも考えられるだろう。ボーダーレスはどこぞの大統領に邪魔されずに進められる。

 

Gだのと言って通信インフラも進化するなら、3次元データの送受信もできるわけで、これからが楽しみな分野だ。インタラクティヴなサービスもSNS周辺で充実してきているが、ネトウヨだのと言われる過激な発言も多く見受けられ、自分自身はまったく楽しめない環境なので、情報をシェアする相手は慎重に選びたい。所詮は人間のなせる業、利便性が増すのは大歓迎だが、問題は使い人間なのであって、そういう意味では昔と何ら変わらない世界が展開していくだけなのか。

 

現役の頃の自分は人事異動でやたらと動かされることが多い人間だった。職場の人間関係が上手くいかないとかいうことではなくて、何か目新しい事業などが降ってきたり、湧いて出たようなときには大抵招集されるクチだったのだ。役人の世界は前例踏襲が仕事の中で重視されることが多い。安定、継続性といったことを考えれば当然なのだが、社会の変化に伴って、行政サービスも変わらなければいけないフェーズはいくらもある。そういうときに、前例踏襲に拘っていたら仕事にならないわけで、いかに新規事業を短時間で軌道に乗せられるかが勝負の分かれ目になる。自分の基本スタンスは何度も書いていることだが「温故知新」であり、こういった場合も、考え方のコツというものがある。言ってみればアレンジ能力とでもいうものだろう。そこが自分の得意分野だったというわけだ。

 

さて、時代が大きく変わろうとしている。自分のような中小企業経営者の不安はこれまでの何倍も大きい。それでも明けない夜はない。過去の例に倣って、ポスト・コロナの時代に何ができるか、変化にどうやって順応していくか、しっかり考えよう。柔軟性が勝負の分かれ目かもしれない。幸いウェブ上には無料の情報が溢れている。玉石混交の情報から自分に必要なものを選り出す能力も求められるだろう。これは嗅覚に近いものかもしれない。今現在、自分の嗅覚が反応するのは、前回も触れたラーキン・ポーやサマンサ・フィッシュといった、これまでと違う売り方でメジャーになってきたミュージシャンたちであり、エスビョルン・スベンソンに似ている気もしなくはないが、ゴーゴー・ペンギンのような新しいジャンルの音楽だったりする。勿論そこにあるのは古いストラクチャーの上に築かれた新しい世界観であり、自分自身が変わっていくキッカケを見いだせればいいだけだ。さあ、時間はたっぷりある。研究し尽くしてみようではないか。

 

 


   

         
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